八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場発の新技術を伝える上毛新聞記事

 八ッ場ダム予定地を抱える群馬県の地元紙がダム建設を請け負っている清水建設の案内で取材した本体工事現場の様子を伝えています。
 清水建設は工事現場で活用されている新技術をアピールしたようで、二つの新技術についても紹介されています。
 二つの技術とは、ダム本体の骨材を3Dセンサーと人工知能(AI)で振り分ける「骨材粒度分布検出システム」と、盛り土造成地における締め固め度の測定技術です。
 盛り土造成地とは、水没住民が移転するために造成されたダム湖予定地周辺の代替地のことです。記事によれば、これらの技術は、国交省が公募した「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術」に採択されており、清水建設の担当者は「新技術は実証段階だが、国の認定を得れば他の現場でも利用される可能性がある」と、八ツ場発の技術の普及に期待を寄せているとのことですが、肝心なのは盛り土造成地の安全性です。
 本体工事が進み、ダムの湛水が近づいていますが、国交省はこの問題について公に何の説明も行っていません。

◆2019年1月31日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/108618
ー八ツ場発 新技術も ダム工事 最終段階《現場発》ー

 ◎巨大設備を撤去「今だけの風景」

 計画から67年。八ツ場ダム(群馬県長野原町)は新年度に完成が迫る。堤体のコンクリート打設は9割を超え、工事は最終段階に入った。工事用のベルトコンベヤーなど一部設備の撤去が始まり、風景は刻一刻と様変わり。工事では八ツ場発の新技術も試されており、今後への活用が期待される。施工業者の案内で最新技術が集結する現場を歩いた。

 車で工事用道路を走り抜けて到着したダムサイト上流部。巨大なダンプカーが砂ぼこりを巻き上げながら行き交う。旧広報センター「やんば館」や旧国道145号が面影をかすかに残し、そこに人々の営みがあったことを伝えている。

■コンベヤー10キロ
 旧JR吾妻線の上空に張り巡らされた細長い茶色の構造物が目を引く。山から採取した岩を砕いた骨材というコンクリート材料をダムサイトへ運ぶ総延長約10キロのベルトコンベヤーだ。運ばれた骨材は高さ約13メートルの筒状の施設で保管され、再びベルトコンベヤーでコンクリート製造設備へと運ばれる。

 ダム本体の打設が9割を超えたことで、こうした設備の撤去が始まった。既にベルトコンベヤーの一部は取り除かれ、堤体近くにそびえる巨大なクレーンも今後、姿を消す。国土交通省はこうした大型設備の撤去の様子も「今だけの風景」として、人気の見学会の新プランに加える計画だ。

■大幅な効率化
 工事を担う企業共同体の1社、清水建設の担当者が、八ツ場発の新技術を説明してくれた。「骨材粒度分布検出システム」は、ベルトコンベヤー上に取り付けた3Dセンサーで骨材の表面の形状を読み取り、人工知能(AI)が大きさの分布状況を判別する仕組みだ。

 骨材の大きさが偏るとコンクリートを十分に締め固められず、重力式コンクリートダムにとって重要な重さを確保できない。骨材のより分けは、ダムの品質を左右する重要な技術。現在国から認定されている方法は手作業で2日間かけて骨材をふるい分ける手法で、新技術は大幅な作業効率化を可能にする。

 ダム建設に伴う造成地でも、新たな技術が試されている。盛り土面の締め固め度を測る際、重りを落とす高さを段階的に変えて地盤の変位を測定する方法だ。穴を掘って中に入れた水の体積を測るなどした従来の方法に比べ、短時間で広範囲の強度が分かるようになるという。

 これらの技術は、国交省が公募した「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術」に採択されている。

 清水建設の担当者は「新技術は実証段階だが、国の認定を得れば他の現場でも利用される可能性がある」と、八ツ場発の技術の普及に期待を寄せる。
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写真下=両岸の代替地を結ぶ八ッ場大橋(湖面橋)より下流側のダム本体工事現場を望む。ダムの骨材を運ぶベルトコンベヤーがJR吾妻線の線路跡に設置されているのが見える。ベルトコンベヤーの左手に見える渓畔林の中を吾妻川が流れているが、水の大半の水利権を東京電力がもっているため、水量は少ない。国交省はダムに水を貯めるために、東電に補償金を払って水利権を得なければならない。2019年1月27日撮影。

写真下=ダムの右岸側に造成された川原湯温泉の打越代替地。八ッ場大橋の上流側。写真右手の斜面の部分が代替地の安全対策箇所の一つ、打越③。2019年1月29日撮影。

写真下=上記写真と同じ打越代替地の安全対策箇所、打越③を八ッ場大橋から撮影。2019年1月21日撮影。今冬は12月から降雨が極端に少なく、この時はまだ雪が積もっていなかった。

写真下=ダムの左岸側に造成された川原畑地区の代替地。穴山沢の谷埋め盛り土の上には、町営住宅やクラインガルテン(菜園付き別荘)などが並んでいる。ボーリング調査を行っているが、川原湯地区で行われている「代替地の安全対策」は予定されていない。2018年12月25日撮影。