児童減少の長野原第一小と中央小、統合検討を再開

 群馬県樹木診断協会が八ッ場ダム水没予定地にあった長野原東中学校の校庭の桜の木を一本、赤城山麓の公園に移植したことを各紙が大きく報道しています。
 このニュースは、移植のプランが決まった2018年秋にも各紙によって報道されました。
 https://yamba-net.org/44030/

 美談としてたびたび取り上げられる桜移植のニュースですが、今回の報道で特に目新しいことは書かれていません。
 長野原東中学は2007年、水没地の背後の高台に移転しました。昨秋も報道されたように、水没地の中学の校庭にあった桜8本のうち、7本は伐採されました。1本のみ移植して7本を伐採したのは、費用が嵩むことが理由だったとのことです。
 なぜ同じ中学の校庭に移植しなかったのか、説明している記事はありません。移転した同校の校庭に移植するのであれば、費用を抑えることができたでしょうし、在校生や卒業生にも喜ばれたでしょう。水没地にあった中学校から移転地までは車で回り道をしても5~10分ですが、移植地である赤城山麓のフラワーパークは、同じ群馬県内でも八ッ場ダム予定地から遠く離れており、2時間はかかります。
 読売新聞の記事によれば、群馬県樹木診断協会の会長でフラワーパークの石橋照夫社長は「立派な桜に育って、沈みゆく町を県民が思い出す象徴になってほしい」と話したということです。

 地元紙、上毛新聞では、桜移植の記事の下に、長野原東中学の学区域にある長野原第一小学校と長野原中央小学校が統合検討を再開するという記事を掲載しています。現在の長野原東中学の生徒数は、水没予定地にある第一小学校の児童数激減の影響で80人を割っています。
 この記事にも書かれているように、両小学校の統合は2007年に浮上したものの、長野原町が撤回した経緯があります。
(参考➡「長野原第一小の統廃合問題」

 水没予定地にあった長野原第一小学校は、2002年に代替地へ移転しました。
 2002年の第一小の児童数は52人でした。当時から中央小と統合したらどうか、という意見はあったということですが、第一小の新校舎は代替地への移転第一号として建設され、中央小の校舎も改築されました。
 両校の統合案が浮上した2007年には、第一小の児童数は31名に減少していました。一旦は統合案が見送られましたが、ダム予定地域の人口が減少の一途を辿り、高齢化が進む中、少ない児童数には大きすぎる新校舎は、地元ではいずれは老人福祉施設として利用されることになるのだろうと言われていました。
 その後、第一小の移転地の近くにダム事業で建設された町営住宅の入居条件を児童のいる家庭を優先するなどの措置を取りましたが、現在の児童数は20名とさらに減少し、来年の入学者はいないとのことです。

 水没地にあった小中学校の代替地への移転は、いずれも八ッ場ダム事業における「生活再建事業」の一環として行われましたが、”大人の都合”で施設整備が優先され、肝心の子どもたちが置き去りにされてきたのではないでしょうか?
 上毛新聞では桜移植の記事はネットに転載していますが、二番煎じの桜移植のニュースよりはるかに価値ある小学校の統合検討についての記事は、ネット未掲載です。

◆2019年2月6日 上毛新聞
ー第一小と中央小 統合検討を再開 長野原町ー

 八ッ場ダム建設に伴う移転後に児童減少が進む長野原第一小(同町林)について、長野原町は5日までに、中央小(同町大津)と統合する検討を再開した。2007年に統合案が浮上したが、建設費を負担した下流都県の理解を得られないと判断し撤回した経緯がある。今後は月一回程度の会合を開いて議論し、秋までに方針を決める。

 第一小は02年、旧校舎が水没予定地にあったため12億円かけて新築移転した。当時52人だった児童は現在20人となり、今春の入学者はゼロの見込み。児童減少を背景にPTAや町議会から検討再開を求める申し入れがあり、町は統合問題検討委員会を設置した。

 1月31日に開かれた初会合では、統合を求める声の一方、少人数教育の利点も指摘された。検討委は応桑小と北軽井沢小、東中と西中の統合も議論する。

写真下=長野原第一小学校。背後の山に砂防ダムが並んでいる。2007年10月29日撮影。

写真下=長野原第一小学校の校庭からは、正面に地域のシンボル、丸岩の岩峰が見える。

 以下は桜植樹についての記事です。

◆2019年2月6日 上毛新聞 (紙面記事より転載)
 https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/109927
ー八ツ場のサクラ ぐんまフラワーパークで咲かせよう 大木を移植ー

  八ツ場ダムの建設により伐採されるはずだった群馬県の旧長野原東中のサクラ(ソメイヨシノ)が5日、前橋市のカネコ種苗ぐんまフラワーパークに移植された。山あいの学校で60年近く子どもたちを見守ってきた大木が、新たな故郷に花を咲かせるのは1年後。関係者は「花をつけた元気な姿を早く見せてほしい」と来春を心待ちにしている。

 この日は、移植事業の中心となった県樹木診断協会の会員らが作業した。クレーンで高さ8メートル、幹回り3.8メートル、重さ14トンのサクラをゆっくり立ち上げると、招かれた市内の幼稚園児約60人から歓声が上がった。木の生育を助ける活性剤を根元にまいた木の実幼稚園の小須賀凉介ちゃん(6)は「花が咲いたらまた見に来る」と誓った。サクラはダム建設で2007年に新築移転した同校の旧校庭にあり、伐採予定だった。推定樹齢50~60年とされ、長年地元で愛されてきた大木に水没地域の歴史や卒業生の思いを託そうと、同協会と地元住民、県などが話し合い、1本の移植を決定。2年がかりで準備を進めてきた。

 同協会の石橋照夫会長(70)は「サクラは八ッ場ダムの歴史を刻んでいる。長野原の人にも見てもらい、前橋との交流につながればいい」と目を細める。この木から取り木した苗木を同町に植える予定だ。
 同校OBで道の駅八ッ場ふるさと館社長の篠原茂さん(68)は「入学シーズンにきれいに咲いていた姿が印象に残っている。一目見て懐かしい思い出に浸りたい」と新天地で薄ピンクの花が満開となる日に思いをはせた。

 移植事業は、コンビニエンスストアチェーン、ファミリーマートの募金を活用した国土緑化推進機構の補助金100万円を受けた。

◆2019年2月6日 朝日新聞群馬版
https://digital.asahi.com/articles/ASM253TWLM25UHNB006.html
ー八ツ場ダム予定地から 桜1本 フラワーパークへー

 群馬県長野原町で国が進める八ツ場(やんば)ダム建設に伴い、1本の桜の木が5日、前橋市柏倉町の「カネコ種苗ぐんまフラワーパーク」に移植された。移植を手がけた県樹木診断協会(石橋照夫会長)が、地元幼稚園児らを招き、見学会を開いた。・・(以下略)

◆2019年2月6日 読売新聞群馬版
https://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20190205-OYTNT50314/
ー咲き誇れ八ッ場の桜 前橋に移植ー

 八ッ場ダムの建設で一部が水没する長野原町に植えられていた1本の桜の古木が5日、前橋市柏倉町の「カネコ種苗ぐんまフラワーパーク」に植え替えられた。・・(以下略)

◆2019年2月9日 毎日新聞群馬版
https://mainichi.jp/articles/20190209/ddl/k10/040/004000c
ー八ッ場ダム「桜の花 また会おうね」 水没地域、前橋へ移植ー

  八ッ場ダム(長野原町)の建設に伴い水没する旧長野原町立東中学校の跡地に立っていた桜の木が5日、前橋市の「カネコ種苗ぐんまフラワーパーク」に移植された。再び満開の花をつけるには少なくとも1、2年間はかかる見通しで、関係者は「ふるさとのシンボル」が復活する日を心待ちにしている。【杉直樹】

 桜は高さ約8メートル、重さ14トンのソメイヨシノで、樹齢推定50~100年。中学校跡地に8本あったうちの1本。多額の費用がかかることから1本だけ移すことになった。

 5日は前橋市内の三つの幼稚園・こども園から園児約60人が、運び込まれた木を立ちあげる作業を見学し、…(以下略)