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西日本豪雨災害受け、避難行動など提言 土木学会四国地区調査団

 西日本豪雨災害に関する土木学会の四国地区調査団の報告会が3月2日に開かれました。

★愛媛大学防災情報科学センター 「西日本豪雨水害四国地区調査団報告会」の開催について
 https://cdmir.jp/events/4219/  

 この報告会について、ダム放流後の肱川の氾濫で多くの犠牲者が出た愛媛県の地元紙が翌日の紙面で伝えました。

◆2019年3月3日 愛媛新聞
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201903030008
ー西日本豪雨災害受け、避難行動など提言 土木学会四国地区調査団ー

 西日本豪雨水害に関する土木学会の四国地区調査団の報告会が2日、松山市文京町の愛媛大であり、県内関連では西予市野村地域の浸水被害を踏まえた避難行動への提言のほか、社会福祉施設や医療機関の災害対策の課題などを説明した。

 野村地域の浸水状況を調べた愛媛大の森脇亮教授は、保育所を例に避難シミュレーションした結果、園児が避難場所に徒歩で向かったとすれば15分かかる一方、実際は氾濫から10~20分で2メートル程度浸水しており、氾濫してから避難しても遅い状況だったと分析。「ダム直下では放流量の情報を避難の判断基準とするタイムライン作成が必要だ」と提言した。

 肱川周辺の高齢者施設の対応について、徳島大の金井純子助教は、防災情報を入手しても、入所者を他施設へ移送するタイミングが遅れ、切迫した状況で2階へ避難した例もあったと指摘。「避難行動を始める目安がないと判断が遅れる可能性がある」と述べ、施設独自での目安づくりは難しいとし、行政や社会福祉協議会、専門家なども連携して作成する徳島県内の事例を紹介した。

 徳島大の湯浅恭史助教は愛媛県内44医療機関で浸水被害があったと説明。被災経験がある大洲市の病院では診療機能を2階以上に置くなど対策を講じており、浸水後3日という早期の外来診療再開につながったと評価した。

—転載終わり—

 ダムは満水になって洪水調節機能を失うと、急激に放流量を増やします。昨夏7月、愛媛県を流れる肱川の上流にある国直轄の野村ダムは、放流量を300㎥/秒から一気に1800㎥/秒まで増やしました。これではダム直下の住民が避難することは困難です。

 昨年11月に発表された「野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場」のとりまとめを読んでも、洪水調節ダムが持つこの基本的な問題については改善策が書かれていません。
 http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/kensyounoba/04setumei0402.pdf