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<只見川ダム訴訟>住民側の控訴棄却 仙台高裁

 2011年7月の新潟・福島豪雨では、只見川が氾濫し、大きな水害となりました。福島県金山町の被災者住民らは、この水害は発電用ダムにたまった土砂の除去を怠ったことが原因であるとして、東北電力とJパワー(電源開発)に損害賠償を求めてきました。さる3月15日に控訴審の判決言い渡しが仙台高等裁判所でありました。
 昨年12月20日の控訴審第1回口頭弁論が即日結審になりましたので、判決には何も期待できませんでしたが、予想どおり、原告の訴えを棄却しました。
 只見川では1969年にほぼ同規模の洪水があって、その時は氾濫がなかったのですから、2011年の氾濫の原因は土砂堆積による河床上昇にあることは明らかなのですが、判決は堆砂除去の責任を認めませんでした。仙台高裁(小川浩裁判長)の判決文は「ダム設置者である東北電力の管理権限はダムにとどまり、河川の従前の機能を維持する義務はない」というものでした。
 ダム管理者の責任を一切問わない司法は、水害被災者の僅かな希望をうちのめしました。「絶望の裁判所」というしかありません。

 関連記事をお伝えします。

◆2019年3月15日 NHK福島
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20190315/6050004742.html
ー只見川水害訴訟 2審も控訴棄却ー

 平成23年の豪雨により只見川で水害が発生したのはダムの管理に問題があったためだとして金山町の住民らが電力会社2社に損害賠償を求めた裁判で、2審の仙台高等裁判所は1審に続き住民らの訴えを退ける判決を言い渡しました。

この裁判では平成23年7月の「新潟・福島豪雨」で只見川があふれ住宅などに被害が発生したのは、流域に設置された水力発電のダムの底にたまった土砂を取り除かなかったことなどが原因だとして、金山町の住民など20人がダムを管理する東北電力と電源開発に対し、あわせておよそ2億円の損害賠償を求めています。
1審の福島地方裁判所会津若松支部は去年3月、「電力会社と住民の被害との間に因果関係を認めることはできない」として住民らの訴えを退け、住民側が判決を不服として控訴していました。
15日の判決で仙台高等裁判所の小川浩裁判長は「洪水によって生じた被害は未曾有の豪雨が原因であって電力会社が土砂を取り除く作業を怠ったために被害が発生、もしくは増大したとは認めることができない」として1審に続き住民らの訴えを退ける判決を言い渡しました。
原告団の事務局の黒川廣志さんは「判決には納得できない。上告するかについては弁護士と今後、相談して決める」とコメントしています。 

◆2019年3月16日 河北新報
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201903/20190316_63024.html
ー<只見川ダム訴訟>住民側の控訴棄却 仙台高裁ー

 2011年7月末の新潟・福島豪雨の只見川氾濫に伴う浸水被害を巡り、福島県金山町の住民ら20人が流域の発電用ダムを管理する東北電力と電源開発(Jパワー)に約2億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は15日、請求を棄却した福島地裁会津若松支部判決を支持、住民側の控訴を棄却した。
 小川浩裁判長は、ダム設置者が負う河川機能の維持義務は河川管理者の指示に基づくものに限られるとした上で「東北電は只見川の利用者であって管理者ではない」と指摘。支部判決が認めた東北電の注意義務違反について、只見川管理者の国土交通省から河床維持に関する指示はなく「東北電の義務違反は認められない」と結論付けた。
 住民側は11年7月29、30両日の豪雨による河川流量は想定内で、堆積土砂(堆砂)を除去してダム設置当時の河床高に戻しておく義務を怠ったと主張したが「豪雨の流量を具体的に予見できたとは言えず、河川整備計画は一定の自然堆積を前提に策定されている」と退けた。
 昨年3月の支部判決は、堆砂に伴う河床上昇による被害発生の恐れを認識できたとして、堆砂を除去しなかった東北電の注意義務違反を認めたが、浸水被害との因果関係は否定した。

◆2019年3月15日 日本テレビ
http://www.news24.jp/nnn/news16272154.html
ー只見川豪雨裁判控訴審 原告の訴えを棄却(福島県)ー

豪雨災害で被害を受けた住民がダムを管理する電力会社を訴えた民事裁判の控訴審で、仙台高等裁判所は、原告らの訴えを棄却する判決を言い渡した。
この裁判は、2011年の「新潟・福島豪雨」で洪水の被害を受けた金山町などの住民らが、東北電力と電源開発を訴えていたもの。
原告側は「電力会社がダムの土砂を取り除くことを怠ったため被害が拡大した」と、2億円あまりの賠償を求めていた。
きょうの控訴審で、仙台高等裁判所は「電力会社は、国の指示でダムの機能を保つ立場にあり、注意義務違反があったとは認められない」などとして、訴えを棄却した。
原告側は、上告するかを含め、今後、検討するとしている。

◆2019年3月16日 毎日新聞福島版
https://mainichi.jp/articles/20190316/ddl/k07/040/175000c
ー新潟・福島豪雨 只見川ダム損害賠償訴訟 控訴棄却 「電力側、河川管理義務なし」 仙台高裁判決 /福島ー

 2011年7月の新潟・福島豪雨で只見川が氾濫した水害を巡り、被災した金山町の住民らが、発電用ダムを管理する東北電力とJパワー(電源開発)に約2億円の損害賠償を求めた控訴審で、仙台高裁(小川浩裁判長)は15日、1審の福島地裁会津若松支部の判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。

 原告側は水害の原因として「ダム上流部の河川にたまった土砂が河床を上昇させた」と主張。電力会社側は「河川管理者の国から指示はなく、土砂の浚渫(しゅんせつ)はしている」と反論。電力会社にダム設置時の河床高まで土砂を浚渫する義務があったかなど…(以下略)