シラスウナギ 国内漁獲、過去最低ペース、出所不明の「香港産」、養殖稚魚の8割

 今年のシラスウナギの漁獲量が過去最低ベースと報道されています。不足分を中国や台湾から輸入しているとのことですが、出所不明の香港ウナギが大量に輸入されていることを共同通信が伝えています。

◆2019年3月20日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42656470Z10C19A3QM8000/
ーシラスウナギ 国内漁獲、過去最低ペース 年初から5割高ー

 ニホンウナギの稚魚、シラスウナギの国内漁獲量が過去最低ペースとなっている。漁期は12月から4月までだが、全国の漁獲量は今のところ2トン未満と前年度の5分の1。土用の丑(うし)の日に向けて養殖業者は不足分を中国や台湾から輸入している。最大の消費地、日本での不漁を受けて東アジアの稚魚相場は1キロ250万円と、年初から5割値上がりした。稚魚の値上がりは小売価格の押し上げ要因になる。

 「40年以上稚魚をとっているが、こんな不漁は経験したことがない」。シラスウナギの一大産地、宮崎内水面漁業協同組合連合会(宮崎市)の緒方逸夫代表理事組合長はため息をつく。ニホンウナギは日本から約2千キロ離れたマリアナ諸島付近の海域で生まれ、春に日本や台湾、中国の沿岸へ北上してくる。養殖業者はその稚魚を池で太らせ、夏に出荷する。

 宮崎県では12月中旬に漁が始まり、今月17日までに終了した。3カ月でとれたのは同組合でわずか17キロ。過去最低だった去年(18キロ)を下回る。漁期の延長も検討したが「とにかく今年は稚魚がいない。期間延長してもとれんだろうね」と話す。

 宮崎県全体でもとれた量は73キロと過去最低を記録した。これまで最も少なかったのは昨年の99キロ。数年前までは「300〜400キロはとれていた」(県水産政策課)。

 高知県の漁獲量も「現在集計中だが、平成で最低となるのは確実」(高知県漁業管理課)。漁期は12月中旬から3月11日まで、県内で350キロを上限にとっていいことになっているが、今年は100キロに満たない。

 鹿児島県の漁獲量も去年に引き続き低調だった。千葉県、茨城県、徳島県などでは4月末まで漁が続くが、今のところ「全国的に不漁」(水産庁)となっている。「海流の変化や、何らかの理由で日本の沿岸に稚魚が接岸できなかった可能性がある」(同)という。

 国内全体でみると、昨年は漁の序盤は不漁だったが、2月以降にとれはじめ、3月をピークに約9トンの水揚げがあった。今年は今のところ2トン弱。1957年度以降、最低だった2013年度の約5トンの半分以下だ。養殖業者は不足分を中国や台湾からの輸入物でまかなっている。今年、池入れされた稚魚は11トン。うち8割強が輸入物だ。

 東アジアの稚魚相場は前年度が平均299万円とかつてない高値だった。今年度は漁序盤の12月には1キロ170万〜180万円でスタートしたが、日本の不漁傾向が色濃くなるにつれてじりじり上昇、現在は250万円前後で推移する。5年前の2倍以上の水準だ。

 スーパーなどが18年に売っていたかば焼きの中には、比較的豊漁で安かった17年産の在庫を使った商品もあった。その分、コストが抑えられていた。ただ、稚魚の2年連続の高騰を受け、養殖業者の仕入れコストは確実に上昇。店頭価格に転嫁される可能性もある。

◆2019年3月25日 共同通信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190325-00000016-kyodonews-soci
ー出所不明の香港ウナギ6トン輸入 日本の養殖稚魚の8割ー

 出所の不透明さが指摘される香港産のニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」を日本が昨年12月と今年1月に計約6トン輸入し、同じ期間に日本の養殖池に入れられた稚魚の約8割を占めることが日本の貿易統計や関係者の話から25日、明らかになった。

 香港にはシラスウナギ漁の実態がほとんどなく、輸出を禁じる台湾などから不法に持ち出された可能性が高いと指摘される。5月下旬からスリランカで開かれるワシントン条約の締約国会議でニホンウナギの国際取引の透明化が議題に上る予定で、日本の輸入に厳しい目が向けられそうだ。

◆2019年3月25日 東京新聞夕刊
https://jp.mg5.mail.yahoo.co.jp/neo/launch?.rand=64p3g65q3eqhp#tb=9nsva3l2
ーウナギ稚魚「香港産」8割 漁実態なく 不法ルートで日本へ?ー

 出所の不透明さが指摘される香港産のニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」を日本が昨年十二月と今年一月に計約六トン輸入し、同じ期間に日本の養殖池に入れられた稚魚の約八割を占めることが日本の貿易統計や関係者の話から二十五日、明らかになった。

 香港にはシラスウナギ漁の実態がほとんどなく、輸出を禁じる台湾などから不法に持ち出された可能性が高いと指摘される。五月下旬からスリランカで開かれるワシントン条約の締約国会議でニホンウナギの国際取引の透明化が議題に上る予定で、日本の輸入に厳しい目が向けられそうだ。

 財務省の貿易統計によると、日本は香港から昨年十二月に約一・六トン、今年一月には約四・四トンのシラスウナギを輸入。漁業の実態がある中国や台湾からはゼロだった。

 一方で水産庁によると、この間に日本の養殖池に入れられたシラスウナギは計六・二トンだった。同時期で見ると極度の不漁だった二〇一八年漁期より多いが、一七年漁期の一一・三トンと比べ大幅に少ない。

 国内の関係者は、日本国内のシラスウナギ漁が低調なことが理由だと説明する。今年一月末までの総漁獲量は一トン余りと昨期を下回り、過去最低となる可能性もある。池入れ量の残り五トン程度は香港産と考えられるという。香港産の残り約一トンは、輸入と池入れの報告時期にずれがあるため池入れデータに反映されていないとみられる。

 香港からのシラスウナギ輸入は、台湾が輸出を禁じた〇七年以降に急増。関係者は、台湾などから不法に持ち出されたものが「香港産」として日本に入っていると指摘する。

◆強制力ある枠組みを
<海部健三・中央大准教授(保全生態学)の話> 昨シーズンに続き、今シーズンのシラスウナギ採捕も低調で、ニホンウナギ資源の減少が危惧される。その中で、違法行為が強く疑われる取引で入手されたウナギが依然として国内養殖の大半を占めている現状は危機的といえる。資源が減り、東アジア全域での管理が進まないのなら、今後、ワシントン条約など強制力を持った国際的な枠組みで資源を守るべきだ、との声が強まるのは必至だ。日本で食べているウナギの大部分がこのような取引を経て提供されることに、消費者が反対する意見を明確にすることも重要だ。

<シラスウナギ> ウナギの稚魚の総称。ニホンウナギの場合、太平洋のグアム島周辺で生まれ、海流に乗って日本沿岸などに回遊、河川に上る直前のものをいう。形は小さなウナギだが色が透明に近いため、この名がある。国内外で採捕したシラスウナギを育てた養殖物が、日本のウナギ消費のほぼ全てを占める。ニホンウナギは絶滅危惧種となるまでに数が減る一方、価格高騰で密漁や密輸を招いていると指摘される。