八ッ場ダムの事業用地には多くの遺跡があります。
八ッ場ダム事業では1994年から発掘調査が行われてきており、調査が終わった遺跡については、報告書も続々と刊行されています。発掘調査が行われた遺跡数は2017年の国と群馬県の協定変更の時点で60遺跡に上っています。
参照➡「水没する歴史遺産」
八ッ場ダム事業用地では、縄文草創期から江戸時代・天明期まで、各期にわたり、大量の遺構、遺物が出土しています。
発掘調査を実施している群馬県埋蔵文化財調査事業団では、縄文時代の八ッ場の遺跡の一部の展示会を行っています。
右写真=出土品が展示されている5遺跡の位置図。
★群馬県埋蔵文化財調査事業団ホームページより
http://www.gunmaibun.org/excavation/oshirase/?num=61
題:「八ッ場の縄文時代」
期間:5月26日(日)~10月20日(日)
場所:発掘情報館2階 資料展示室内
群馬県渋川市北橘町下箱田784-2
平成6年度に始まった八ッ場ダム建設に伴う発掘調査は、今年度で終了する予定です。これに伴い、八ッ場の遺跡をテーマにした最新情報展を開催します。
第1期となる本展示では、八ッ場の縄文時代を代表する5遺跡(長野原一本松遺跡、横壁中村遺跡、林中原Ⅱ遺跡、石川原遺跡、東宮遺跡)を取り上げ、それぞれの遺跡を特徴付ける遺物を展示します。以前当事業団ホームページで紹介したハート型土偶の他、岩版などの希少な特殊遺物も公開しています。この機会にぜひお越しください。
【関連イベント】
6月23日(日)に当事業団職員によるギャラリートークを行います。事前の申し込み不要(無料)
6/23 13:00~15:00
発掘情報館のカレンダー(同事業団HP)
関連記事を転載します。
◆2019年5月28日 NHK群馬News Web
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20190528/1060004581.html
ー八ッ場ダムと周辺の縄文土器展ー
来年春の完成を目指して建設が進められている八ッ場ダムとその周辺で発掘された縄文時代の土器などを紹介する展示会が、渋川市で開かれています。
長野原町で建設が進められている八ッ場ダムとその周辺では、30年ほど前から発掘調査が続けられ、縄文時代の遺跡が数多く発見されています。
渋川市の県埋蔵文化財調査事業団では、これらの遺跡を紹介し、地域の歴史を知ってもらおうと、人が特に多く住んでいたとみられる5つの遺跡の出土品など、合わせておよそ100点を展示しています。
展示されているのは独特な装飾が特徴の土器や珍しいハート型の土偶など縄文時代後期のものが中心で、中には耳飾りなどの装身具や「岩版」と呼ばれる祭りなどで使われたとされる模様入りの石などもあります。
県埋蔵文化財調査事業団の大西雅広普及課長は「土器や装身具、石器など、現代から見ても美術的で手の込んだもが多いので、ぜひ、多くの人に見てほしい」と話していました。
この展示会は10月20日まで開かれ、入場は無料です。
◆2019年7月12日 群馬テレビ
—転載終わり—
写真下左=長野原一本松遺跡。長野原地区の水没住民の移転代替地として造成工事が行われた。
写真下右=丸岩山麓の横壁中村遺跡。横壁地区の水没住民の移転代替地として造成工事が行われた。
写真下左=吾妻川を挟んで横壁中村遺跡の対岸にある林中原Ⅱ遺跡。道路等の関連工事が行われた。
写真下右=川原湯地区の水没予定地、上湯原に広がっていた石川原遺跡。
写真下=石川原遺跡から出土した勾玉とハート形土偶。
写真下=石川原遺跡では今も発掘調査が続いている。2019年5月22日。
参照➡平成31年4月調査(群馬県埋蔵文化財調査事業団)
写真下=東宮遺跡のある川原畑地区(吾妻川の右手)。境沢を挟んで下流側が東宮、上流側が西宮。
写真下=八ッ場ダムの本体工事は間もなく終わるが、本体工事現場の大岩の周辺には石畑Ⅰ岩陰遺跡がある。この遺跡も東宮遺跡と同じく川原畑地区にある。
埋蔵文化財調査事業団の昨年度(平成30年度)事業計画には、「川原畑工区では、縄文時代の集落が折り重なった東宮遺跡と、縄文時代草創期の希少な生活跡が検出されている石畑Ⅰ岩陰の調査が佳境を迎えることになる。」と書かれている。事業団では、「発掘調査の最新情報」としてその都度、ホームページに発掘調査の報告を掲載しているが、石畑Ⅰ岩陰遺跡の発掘調査については、昨年度の「発掘調査の最新情報」に何も掲載されていない。