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由比港漁協、日軽金と静岡県、山梨県に生態系調査求め、要望書提出。

 日本軽金属蒲原製造所(静岡市清水区)の放水路から海に強い濁水が流れ出ている問題で、サクラエビの不漁に悩まされている由比港漁協(同区)が駿河湾の生態系への影響を調査するよう、行政と事業者に要求したとのことです。

 由比港漁協は駿河湾の漁協で、サクラエビが水揚金額の約9割を占めています。先日、日本軽金属から多額の補償金を受け取っていることが報じられたのは富士川漁協(山梨県身延町)です。

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 ➡静岡新聞「サクラエビ異変」取材班

◆2019年6月28日 静岡新聞
https://www.at-s.com/sp/news/article/social/shizuoka/651080.html
ー日軽金に生態系調査要求、由比港漁協が文書 静岡、山梨知事にもー

  日本軽金属蒲原製造所(静岡市清水区)の放水路から海に強い濁水が流れ出ている問題で、由比港漁協(同区)の宮原淳一組合長と原剛専務らは27日、同製造所を訪れ、幹部らに対し、深刻な不漁にあえぐサクラエビなどが生息する駿河湾の生態系への影響を調査するよう要求した。同日記者会見した宮原組合長は不漁と濁りの関係性への懸念を念頭に、「きれいな海を返してほしい」と悲痛な面持ちで訴えた。

 宮原組合長らは同社の執行役員らに対して「要望書」と題した文書を提出。要望書では、放水路から流れ出る水の取水元になっている早川水系(山梨県早川町)の雨畑ダムの水が極めて強く濁っていることを指摘。「駿河湾の漁業環境に大きな影響を与えている」と訴えた。

 同社が出資する採石業者のニッケイ工業(東京都)が、早川水系の雨畑川に産業廃棄物の汚泥(ヘドロ)を長年、計画的に不法投棄していたとみられることにも言及。サクラエビなど海洋生物への影響を調べるよう強く主張した。

 漁協によると、要望書を受け取った幹部らはニッケイ工業のヘドロ投棄について謝罪した。一方、生態系への影響調査実施には「文書で回答する」と述べるにとどめたという。宮原組合長は「日軽金に対し、雨畑ダム周辺の状況について現地案内してもらうよう要求した。全てメディアにも公開する」と強調した。

 漁協は27日までにニッケイ工業と山梨県の長崎幸太郎知事、静岡県の川勝平太知事宛てにも文書を提出したことを明らかにした。同社に対しては法令順守、両知事には両県合同の早川水系での濁り実態調査の徹底、業者への適正な指導・監督などを要請した。

 山梨県大気水質保全課の渡辺延春課長は「要望の趣旨は承った。合同水質調査を踏まえ適切に対応する」と述べ、静岡県水産業局の中平英典局長は「しっかりと山梨県と連携し対応していく」とコメントした。

 ■日本軽金属に提出した「要望書」骨子
 ・以前より蒲原製造所放水路から駿河湾に流れ出る水の濁りが強く、サクラエビなどの漁獲への影響について苦情が寄せられていた。導水管取水口のある早川水系で濁りを確認した。

 ・早川水系で不法投棄されたとみられる汚泥や、雨畑ダムの極めて強い濁水が放水路から海に注がれ、駿河湾の漁業環境に大きな影響を与えている可能性があると危惧。

 ・ニッケイ工業への指導や、雨畑ダムの堆積土砂の処理について早急に検討してほしい。

 ・導水管から流れ出る汚泥が駿河湾の生態系に影響があるかどうかの調査実施を強く求める。