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堆砂が進む雨畑ダム、事前に警告されていた洪水被害

 山梨県にある日本軽金属の雨畑ダムは、総貯水容量の93%が土砂で埋まっており、これまでにもダム湖の上流では洪水被害が発生していました。この問題について静岡新聞がダム湖上流の住民にアンケートを行ったところ、9割超の住民が不安を抱いていたとのことで、同紙はこの調査結果を7月30日付で報道しました。

 国土交通省関東地方整備局はさる8月13日、雨畑ダムの堆砂問題について、行政指導を行ったことを記者発表しました。➡「国、日軽金に行政指導 雨畑ダム堆砂「抜本解決を」」

 以下の毎日新聞によれば、台風10号により、雨畑ダムの上流では家屋の浸水被害が発生したとのことです。NHKは道路の冠水のみを報道しています。浸水被害を受けて、ようやく山梨県が行政指導を行うことになりました。

◆2019年8月21日 毎日新聞山梨版
https://mainichi.jp/articles/20190821/ddl/k19/040/078000c
ー台風10号 雨畑ダム上流、家屋浸水 県、日軽金を指導へー

  早川町の雨畑ダムに土砂が堆積(たいせき)し上流の雨畑川で河床が上昇している問題で、15日夜から16日未明に県内に接近した台風10号の影響で雨畑川周辺の家屋で浸水被害が確認された。県は20日、ダムを所有する日本軽金属(東京)に対し、行政指導する方針を明らかにした。

 浸水被害があったのは雨畑川沿いの本村地区の家屋1棟と小屋1棟。川の横にある町道が冠水し、家屋にも土砂や水が流れ込んだ…(以下略)

◆2019年8月20日 NHK甲府放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20190820/1040007504.html
ー雨畑ダムで日軽金を行政指導へー

 先週の台風10号の影響で、早川町の雨畑ダム上流の川があふれ、道路が冠水するなどの被害が起きたことから、県は、ダムを管理するアルミニウム製造大手、「日本軽金属」に対し、期日を定めて具体的な対策を求める行政指導を行うことを明らかにしました。

 先週15日から16日にかけて県内に接近した台風10号の影響で、早川町の雨畑ダム上流の川があふれ、集落の道路が冠水するなどの被害がでました。
 ダムを管理する日本軽金属は、川沿いにコンクリートの壁を設置するなどの対策を取ってきたということですが、ダムの上流では、去年も台風の影響で同じような被害が起きたことから、県は、日本軽金属に対し、河川法に基づく行政指導を行うことになりました。

 長崎知事は、20日の記者会見で、「去年と同じ事が起き、遺憾以外のなにものでもない。地域の住民の皆さんに申し訳ない。県としてできる限りのことをやっていきたい」と述べ、期限を定めて川底の掘削や堤防の強化などの具体的な対策を取るよう求めるということです。

 雨畑ダムをめぐっては、ダムの状態や危険性についての国の検査でも、堆積した土砂で川の底が上昇し洪水被害のおそれがあるとして、4回連続で最も悪い状態と判定されていて、抜本的な対策を取るよう求められています。

◆2019年8月13日 NHK甲府放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20190813/1040007427.html
ー雨畑ダム「洪水被害おそれ」判定ー

 アルミニウム製造大手の「日本軽金属」が管理する早川町の雨畑ダムについて国がダムの状態や危険性を調査した結果、「洪水被害のおそれがある」として、会社側に対し抜本的な解決に向けた対策を取りまとめ、報告するよう求めました。

 早川町の雨畑ダムは昭和42年に完成したアルミニウム製造大手の日本軽金属が管理する発電用のダムです。
国土交通省の甲府河川国道事務所がこのダムの状態や危険性について定期検査を行ったところ、堆積した土砂によって川の底が上昇し洪水被害のおそれがあることがわかり、4段階中最も悪い「A」判定、「直ちに改善の措置が必要」と判定されたということです。
 雨畑ダムの状態が「A」と判定されるのは平成26年以降、4回連続です。
 そのうえで、会社側に対し抜本的な解決に向けた対策を取りまとめ、報告するよう求めました。
 通知には報告の期限は記されていませんが、国土交通省甲府河川国道事務所は「できるだけ速やかに報告を求めたい」としています。

 これについて、日本軽金属は「ダムおよび上流域において土砂を掘削し、移動する作業を鋭意進めているところです。こうした対応を含めて国からの指摘事項について具体的な検討を行い報告する予定です。近隣のみなさまの人命や財産の確保を最優先の課題として認識しており、今後、国や県、町など関係者のみなさんと協議を進め対応していきたい」とコメントしています。