リニア大井川問題、JR全量回復の方針撤回 

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴い、大井川の流量が減少することが下流の静岡県で大きな問題となっています。

◆2019年8月30日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/675229.html
ーリニア大井川問題、全量回復を事実上撤回 JR「約束ではない」ー

  リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題で、JR東海の新美憲一中央新幹線推進本部副本部長は29日、昨年10月に同社が表明したトンネル湧水の全量を大井川に戻す方針に関し「約束ではない」との認識を示した。全量回復とした当初の方針は「工事完了後との認識だった」と釈明し、工事中を含むトンネル湧水の全てを大井川に戻すとする方針を事実上撤回した。
 静岡県庁で開かれた利水関係者との意見交換会後に記者団の取材に答えた。新美副本部長は「その時点(昨年10月)で工事中、工事完了後など、細かいところまで詰めて話をしていなかった」と説明。全量回復の具体策について「私の頭には浮かんでいない。これ以上はノーアイデアだ」と述べた。一方でトンネル湧水の県外への流出量を減らす努力は、引き続き検討する考えを示した。
 流域市町や利水団体は「全量」には、工事中に発生する湧水も含まれるという認識で「約束が守られていない」(大井川土地改良区の内田幸男理事長)と不信感を募らせている。利水関係者とJRとの今後の協議に影響する可能性もある。
 JRは昨年10月、利水団体との基本協定案で「原則として静岡県内に湧出するトンネル湧水の全量を大井川に流す措置を実施する」と明記。金子慎社長は昨年11月の記者会見で協定案の「原則として」の削除も可能との認識を示したが、29日の都内の記者会見では「(意見交換会で)技術者が丁寧に説明しているので(私の)説明は控えたい」とした。
 全量回復の方針に関しては、愛知県の大村秀章知事が「JRは全量返すから影響ないと言っている。次に何があるのか」と発言し、本県の対応を批判する根拠にもなっていた。

◆2019年8月30日 静岡新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190830-00000008-at_s-l22
ー大井川・利水関係者が問題視「国交省に働き掛けを」 リニア問題、JR東海と意見交換ー

  リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題を巡り、29日に県庁で初めて開かれた大井川の流域市町と利水団体、JR東海による意見交換会。流量減少の影響を回避するため、利水関係者からは大井川上流部の田代ダムから山梨県側の富士川水系に流れ出ている水量を問題視する発言が相次いだ。

 島田市の染谷絹代市長は「田代ダムから山梨県側に流れ出ているのは理解できない」との認識を示した上で、県が中心になって水利権を所管する国土交通省に、大井川に水を戻すように働き掛けるべきだと提案した。金谷土地改良区の大石好昭理事長も水利権更新をきっかけにした「水返せ運動」の歴史に言及し、田代ダムの水利権を調整して大井川の水量を増やす好機になるとの考えを示し、JRにも対応を求めた。

 JRに対しては、多岐にわたる注文が出された。染谷市長は大井川の水の恵みによって地域が発展した経緯に触れ「大井川の水が経済活動の根幹だ。確実に水を大井川に戻してほしい」と強調。トンネル湧水の全量回復▽中下流域の地下水への影響▽工事中の情報開示―などで具体的な対策を要請した。

 流量減少を巡っては大井川土地改良区の内田幸男理事長や県大井川広域水道企業団の秋山雅幸企業長が、県内区間が含まれている山梨、長野両県の工区については工事を県境で止め、影響を最小限に抑えるよう促した。

 一方、JRの担当者は南アトンネル工事に関し、山梨県との県境付近に「畑薙山断層」があり、地下水がたまった破砕帯が存在しているため、出水する可能性が高いと説明。作業員が水没しないように山梨県側から上り勾配で掘り進める必要性を強調し「作業員の安全を確保するのが大前提。なかなか難しい問題だ」とトンネル湧水の県外流出を完全に防ぐ方法はないとの認識を示した。

 【流域市町や利水団体の主な発言】 
 ▽島田市の染谷絹代市長
 ・田代ダムで大井川の水が山梨県側に流れ出るのは理解しがたい。県が中心になって水 利権を所管する国土交通省に働き掛けてほしい

 ▽川根本町の鈴木敏夫町長
 ・トンネル掘削で発生する土砂の管理は厳しくしてほしい

 ▽焼津市の福与直己副市長
 ・中下流域の地下水への影響を明確化し、安心安全を確保するのが大前提

 ▽藤枝市の栗田隆生副市長
 ・水質の保全と水資源の確保を通じて、住民の懸念を払拭(ふっしょく)してほしい

 ▽牧之原市の横山裕之副市長
 ・大井川の水を返す方法を具体的に示し、最終的には協定書を結んでほしい

 ▽掛川市の林和範上下水道部長
 ・回答案の「検討」「必要に応じて継続」の表現は市民に説明できない。「実施する」と書いてほしい

 ▽県大井川広域水道企業団の秋山雅幸企業長
 ・他県からのトンネル工事を県境で止めてもらいたい
 ・水質への対応を長期で検討してほしい

◆2019年8月29日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/674963.html
ーリニア大井川水問題 流域市町長「具体的対策を」ー

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題で、大井川の水を使う流域市町や利水団体とJR東海の意見交換会が29日、静岡県庁で開かれた。同問題を巡って利水関係者とJRが直接、意見交換するのは初めて。島田市の染谷絹代市長と川根本町の鈴木敏夫町長が出席し、流量減少に懸念を表明した上で、具体的な対策を示すよう強く求めた。
 トンネルから湧き出た水に関し、JRは大井川に全量を戻す方針を表明する一方、工事中は一定期間、戻せずに他県に流出することを明らかにしている。
 染谷市長は改めてトンネル湧水の全量を大井川に戻すよう要請し、中下流域の地下水への影響を防ぐ対策を含め「具体的な手法について納得できる説明がほしい」と強調。「一日も早く協定を結び、本体工事に取り掛かってもらえるよう願っている」と述べた。
 JRの担当者はトンネル湧水の県外流出に関し「難しい問題だ」との認識を示した。
 鈴木町長はユネスコエコパークに登録されている南アルプスについて「表流水がなくなると環境が破壊されて(登録から)外れることを懸念している。そうなれば町の施策に大きな影響を与える」と指摘し、上流部の表流水の減少にも強い危機感を示した。
 意見交換会は同日午後も続き、利水団体とJRが議論する。
 一方、県は同日、川勝平太知事が9月5日に愛知県庁を訪れ、リニア工事への本県の対応について、大村秀章愛知県知事と面談すると発表した。

◆2019年8月30日 朝日新聞静岡版
https://digital.asahi.com/articles/ASM8Y43LXM8YUTPB008.html?iref=pc_ss_date
ー「全量戻す約束守って」大井川利水者がJR東海にー

  リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事を巡る問題で29日、大井川の利水者や流域市町の代表者とJR東海が意見交換をした。市町の首長や職員のほか、土地改良区や水道事業の担当者が参加。工事で出る湧水(ゆうすい)の「全量」を大井川に戻すよう改めて求める声が上がった。

 JR側は、トンネル工事で発生するわき水への対処や、工事で発生した土を山中に積む方法などを説明。山梨、長野両県からトンネルを掘り進める際、静岡側のトンネルと接続するまでは大井川水系に水を戻すのは難しいとの説明には「全量戻す約束を守って」といった声が上がった。

 島田市の染谷絹代市長は「水は経済活動の根幹で1滴たりとも失えない。全量を大井川に戻す手法を説明してほしい」と語り、川根本町の鈴木敏夫町長は「沢の水が枯れたらエコパークの登録から外れると懸念する人も多い。表流水の減少に対応してほしい」と訴えた。

 利水者からは「静岡が遅延しているのではなく、将来を考えて協議中だとJRから(他県などに)説明してほしい」「水問題では苦労してきた。後世に負の遺産を残すわけにはいかない」といった意見が相次いだ。

 終了後、JR東海の新美憲一・執行役員は県境での水の流出について、「トンネルがつながるまでの間は流出を防ぐのは難しい」とし、「できる限り全量に近い形で戻すことは考えてきたが、現時点ではノーアイデアだ」と語った。

川勝・大村知事 来月5日会談
 静岡工区の未着工によりリニア中央新幹線の開業の遅れが懸念されている問題で静岡県は29日、川勝平太知事が9月5日に愛知県の大村秀章知事と会談すると発表した。

 大村知事はリニアの整備促進を目指す沿線自治体や経済団体による期成同盟会の会長。大井川の流量減少を懸念し、JR東海と協議を続けている静岡県に「遅れは受け入れられない」と苦言を呈してきた。7月には同県の難波喬司副知事が愛知県の副知事を訪問。静岡側の立場を説明したが、大村知事は「(川勝氏が)自分で直接説明に来ればいい」と述べていた。

 川勝知事は今月7日の定例会見で「川勝一人がJR東海に物申しているかのようにとられているが、それは違う。多くの人が水問題で心配している」と話し、県内の事情を大村知事に説明する意向を示していた。(矢吹孝文)

◆2019年8月30日 毎日新聞静岡版
https://mainichi.jp/articles/20190830/ddl/k22/020/081000c
ーリニア中央新幹線 大井川流量減少 JR東海と利水者意見交換 「命の水」譲れない 懸念の声相次ぐー

  リニア中央新幹線建設工事に伴う大井川の流量減少問題で、流域自治体や利水団体とJR東海の意見交換会が29日、県庁で開かれた。南アルプストンネル工事で出る湧き水について一定期間、山梨、長野両県に流出し、大井川に全量を戻すのは困難としているJRの説明に対し、流域の市町から流量減少を懸念する声が相次いだ。JRは「流出量を減らす検討はする必要がある」と述べるにとどめた。【山田英之、古川幸奈】

 意見交換会には10自治体の首長らや利水団体の代表者が出席。工事に関する質問や流量減少への懸念に、JRの担当者が答えた。

 染谷絹代・島田市長は「確実に水を戻してほしい。経済活動の根幹であり、命とも言える大井川の水を一滴たりとも失うことがあってはならない」と語り、農業、工業、生活用水に使われる大井川の水で譲歩することはできないという姿勢を明確にした。

 県が本体工事着工の前提条件にしているJRとの基本協定について、染谷市長は「お互いに誠実に話し合いをする中で、具体的な手法が示され、基本協定書を納得のいく形で締結したい」と述べ、JR側も基本協定を結ぶ強い意思を示すように呼び掛けた。

 南アルプス地域は、自然と人間社会の共生を目的としたユネスコ(国連教育科学文化機関)のエコパークに登録されている。エコパークに含まれる川根本町の鈴木敏夫町長は「大井川の源流にトンネルを掘り、今まで流れていた水が無くなると、環境が破壊されたということで登録から外される可能性がある。町の政策に影響を与える」と危惧した。

 焼津市の福与直己副市長は「山梨、長野両県側に湧水が流出する期間、量、流域への影響を明らかにしないと議論が進まない」と注文をつけた。牧之原市の横山裕之副市長は「牧之原市は生活用水、農業・工業用水を全て大井川に頼っている。全量返してもらうのが大前提」と語った。

 JR側は、湧き水が県外に流出する期間を短くすることや、湧き水自体を少なくする施工方法を説明。湧き水の量を計測して、県外への流出量を県に報告するとした。

 閉会後、大井川土地改良区の内田幸男理事長は「全量を戻す約束が守られていない。先人が努力して確保した水を、現在の関係者が減らすのを避けないと私たちの責任が果たせない」と話した。

 JRは意見交換会の内容を踏まえて9月以降に県の中間意見書に対する回答を示す方針。新美憲一・中央新幹線推進本部副本部長は「県外流出を完全に防ぐのはなかなか難しい。流出量をゼロに近づける検討はする必要がある」と語った。

◆2019年8月31日 テレビ静岡
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190831-00010000-sut-l22
ー水のない川、干上がった田 山梨で起こった“異変” リニア工事で“水枯れ”は起こるか?ー

 生き物や産業を支える命の川「大井川」
 アマゴやアユなどそこに暮らす生き物を知ったり、流域の林業について学んだり、子供たちが様々な視点で理解を深めているのは大井川。
 
 県が主催して開かれた大井川「川まつり」です。
 県が大切さを知ってもらおうと、力を入れる大井川の水源は南アルプス。
 そしてその真下に計画されるのは、JR東海によるリニア中央新幹線のトンネル工事です。

 “ゴーサイン”出さない川勝知事
 工事により、減ると試算される川の水の量は最大で毎秒2トン。県の求めに応じる形でJRは、トンネル内に湧き出る水すべてを川に戻すと約束しました。

 しかし…
 
 静岡県・川勝知事
 「(Qトンネルの本体工事にゴーサイン出せる?)ゴーサインを出せる状況ではない」

 県が求めているのは、「どう戻すのか?」や「水が枯れた場合にどうするのか?」などの具体策です。
 県の求めに対して、最近になってJRも具体的な対策を示すなど進展も見られますが…

 川勝知事
 「『湧水を全部戻す』ということでしたから、ここをクリアしなければトンネルは掘れない」

 まだまだ、妥協点を見つけるには時間がかかりそうです。

 県が譲らない理由のひとつには、工事が始まっている他の県で起きた「水枯れ」があります。
 山梨県笛吹市御坂町。ここはリニアの試験運転をする、山梨実験線の西の端に位置する場所です。周辺の山々を、リニアのトンネルが貫きます。
 
 笛吹市の市議会議員を務める野沢今朝幸さんに、ある場所に案内してもらいました。

 笛吹市・野沢今朝幸市議
 「ここを水が絶えることなく流れていた。まったく今は流れなくなった」

 カラカラに乾いた農業用の水路。
 2008年、約1キロ離れた場所でリニアのトンネル工事が始まると、すぐに水が枯れたといいます。水路のすぐ上にある田んぼだったという場所に、その面影はありません。

 枯れた川にJRがパイプで水を戻していた
 また、近くの川では…

 池谷庸介記者
 「こちらはリニアの沿線近くの川になります。ご覧のように水が流れていますが、見てみるとパイプから水が流れているのが分かります。そしてこの川の上流部分に目を向けると、何も水が流れていないことが分かります」

 水が枯れた川。前日に夕立が降ったものの水は流れていません。
 パイプの水はJRが補償として近くの地中から取水し、川に戻している水です。

 工事が始まった当時、市には水枯れの通報が相次ぎました。

 野沢市議
 「これだけ広く影響があるなんて、とても考えられなかった」

 トンネルから水が湧き出ると 飲料水は枯れた
 御坂町で桃を栽培する藤巻進さんです。

 藤巻さんの畑の周辺では、農業用の水に影響はなかったものの生活用の簡易水道が出なくなり、JRが補償して新たに水道を引きました。

 モモ農家・藤巻進さん
 「飲料水ですね。枯れたというのは一番大きい。JRが掘っていたらトンネルから水が湧き出た。それと同時に、簡易水道のタンクに水が入らなくなって枯れてしまった」

 水はどこに消えたのか…
 リニアのトンネルに向かうと、排水溝から大量の水が流れ出ていました。

 市議会議員の野沢さんは、山から消えた水がここに集まっていると話します。

 野沢市議
 「色々なところが枯れてしまって、ここ(トンネルの排水溝)に入ってくる。今まで溜まってた地下水、地層に溜まっていた水も流れてくるし、上に降った雨も染み込んでいると思う」

 他の地域でも同じ事は起こるのか?
 一方で市によりますと、川の水が集まる中下流域にある笛吹川について、影響を指摘する声は上がっていません。
 水枯れが大井川周辺でも起きるのかどうか、実際に掘ってみないと、JRにも県にもわかりません。
 しかし、ほかの地域で実際に起きた水枯れを軽視すべきではありません。

 JR東海の回答
 JR東海は山梨県の水枯れについて、テレビ静岡の取材に以下のように回答しています。

 【山梨県の水枯れについて】
 「調査を行い公共工事の基準に基づいて適切に補償しております」
 ※なお戸数など、どのぐらいの規模で水枯れが起こっているか詳細は明らかにしていない。

 【山梨県内ですすむ南アルプスのトンネル工事について】
 「掘削に伴う周辺の河川や井戸・湧水の流量の減少は確認されていません」

 【静岡県内で予定される南アルプスのトンネル工事について】
 「山梨と同じく『先進ボーリング』と呼ばれる調査で、トンネルを掘る場所の
 地質状況などを事前に十分に確認しながら掘り進めていきます」

◆2019年8月31日 しんぶん赤旗
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-08-31/2019083104_02_1.html
ーリニア工事・流量減少問題 “湧水は全量戻せ” 利水関係者ら JR東海を批判 静岡意見交換会ー

 静岡県内のリニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減少問題をめぐり、県庁で29日、流域市町や利水団体とJR東海の意見交換会が初めて開かれました。JR東海が全量を戻すのは困難と表明したことから「約束を守って」「確実に全量を戻す手法を」など厳しい意見が相次ぎました。

 JR東海は、湧水全量を戻すといいながら、隣接する山梨、長野両県とトンネルがつながるまでは湧水が流出する期間が生じるとしています。特に山梨県境には畑薙(はたなぎ)山断層があり、突発湧水などが予測され、JRの担当者は「湧出を完全に防ぐ現実的な対処は難しい」と説明しました。

 島田市の染谷絹代市長は「確実に戻すことを前提として議論が進められてきたと認識している。大井川流域は過去に水を得るのに大変苦しみ、水取り返せ運動もあった。大井川の水は経済活動の根幹であり、一滴たりとも失うことはあってならないというのが地元の切実な思い。湧水全量を取り戻す具体的な手法について、納得できる説明を」と求めました。

 利水関係者からは、ポンプアップされた水が田代ダムを通して山梨県へ流出する懸念や、中下流域の地下水への影響、大井川源流部での水の減少による環境破壊の懸念など多岐にわたる意見が出されました。

 交換会後の会見で、川根本町の鈴木敏夫町長は「水なし川がしばらく続き、水返せ運動をやった当事者でもある。県内に全量流すのが基本的な原則」と主張。大井川土地改良区の内田幸男理事長も「全量戻すと最初に言った約束が守られていない。戻す方法を全力あげて考えていただきたい」と訴えました。

 JR東海の新美憲一・中央新幹線推進本部副本部長は、全量を戻すとした同社の方針について「約束したわけではない」などと発言しました。

◆2019年8月29日 産経新聞
https://www.sankei.com/politics/news/190829/plt1908290022-n1.html
ーリニア工事 静岡県外への水流出「完全防止は困難」とJR東海ー

 リニア中央新幹線工事によって大井川の流量が減少する問題で、静岡県内の地元自治体や利水関係者とJR東海との意見交換会が29日、県庁で行われた。これまでに静岡県と同社はトンネル湧水の全量を大井川に戻す方針で合意しているが、この日は、山梨、長野両県とトンネルがつながるまでは県境付近の湧水が両県側に流出することへの懸念が利水者側から相次いだ。

 利水関係者と同社が直接やりとりするのは昨年7月以来。この日の会議には流域10市町と11の利水者団体の代表が参加し、国土交通省の担当者が同席した。

 意見交換に入ると、県境から他県に流出する水への対応のほか、具体的な水の戻し方や工事が地下水に与える影響などが論点になった。島田市の染谷絹代市長が「県境付近の水が流出することを大変危惧している。大井川の取水に苦労してきた歴史があり、一滴も無駄にできない」と地元の懸念を代弁した。

 これに対しJR側は、山梨工区とトンネルがつながるまでの工事期間中、最大で毎秒約0・31トンの湧水が山梨県側に流出すると予測。防水シートやコンクリート吹きつけなどの対策をとれば流量はより抑えられるという。

 同社の担当役員は「全量を戻すという前提だが、(工事期間中の)県外流出を完全に防ぐ現実的な対処はなかなか難しい」と認めた。その上で「実現可能な対処法は、できるだけ早く県境のトンネルをつないで水をポンプアップすること」と説明。連絡トンネルをなるべく県境近くに設けるなど、できる限り県外流出を減らす対策を検討していると明かした。

 染谷市長は「リニアそのものには反対していない。確実に水を大井川に戻すことを望んでいるだけ。直接意見交換できたことは大きな前進で、JRの努力は分かった」と評価したものの、水の県外流出については「納得していない。本当に手法が何もないのか」とさまざまな対策の検討を促した。難波喬司副知事も「JRができる限りのことをしようとする姿勢は見えた。だからといって水が全量戻らなくていいわけではない。(県外流出対策として)まだまだできることはある」と要望した。

 JR東海はこれまでの意見交換の成果を踏まえ、9月上旬にも県の中間意見書に対する回答書を提出する。