リニア新幹線と大井川の流量減少

 静岡県では、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題が注目されています。
 大井川は発電用水の大量取水で、農家や漁協が長年悩まされ続けてきた川です。静岡新聞が過去の経過も振り返った大変詳しい記事を掲載しています。
 静岡県の反対によって、リニア新幹線は予定されてきた2027年開業が遅れる見込みです。静岡県を除く沿線9都府県でつくる「リニア建設促進期成同盟会」の会長でもある大村愛知県知事は、静岡県の川勝知事に不満なようですが、仲裁を期待される国交省も「第三者が出ていっても問題をこじらせる可能性が高い、という考えが省内では強い」ため、動きが鈍いと報道されています。(9/6付け朝日新聞)

 JR当会は大井川の流量減少問題について、9日までに静岡県に最終回答を送ったとのことですが、JR東海の回答は抽象的な文言が並ぶもので、静岡県の川勝知事は「南アルプストンネル静岡工区の本体工事着手は認められないとの認識」を示しました。

◆2019年9月1日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/674793.html
ー大井川とリニア どうなる「水の恵み」、流域の歴史・歩み・思いー

◆2019年9月6日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASM9473JRM94OIPE02Z.html?iref=comtop_8_01
ーリニア工事で静岡VS愛知 駅もできず「メリットない」ー

◆2019年9月11日 毎日新聞静岡版
https://mainichi.jp/articles/20190911/ddl/k22/020/047000c
ーリニア工事 大井川流量減 「合格点ではない」JR回答書に知事 ー

  川勝平太知事は10日の定例記者会見で、リニア中央新幹線の建設工事に伴う大井川の流量減少問題を巡りJR東海から県に提出された回答書について、「合格点ではない。今の回答でトンネルを掘れる状態ではない」と語り、回答は不十分で、南アルプストンネル静岡工区の本体工事着手は認められないとの認識を示した。

 6日付の回答書は、南アルプストンネル工事で一定期間、山梨、長野両県に流出する湧き水全量を大井川に戻すことは確約しない内容だった。川勝知事は回答書の満足度を問われ、「半分です。60点以下は…(以下略)

◆2019年9月10日 静岡新聞
https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/679611.html
ーJR東海、事前協定明記せず リニア問題で静岡県に最終回答ー

  リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題で、JR東海は9日までに、県の中間意見書に対する最終回答を県に提出した。トンネルが貫通するまでに湧き出る水の山梨、長野両県への流出に関し「(対策を)引き続き検討する」と記載するにとどめ、利水関係者が求めていた本格着工前の基本協定締結についても明記しなかった。

 流量減少対策とトンネル本体工事を並行して進めようとするJRが今後、県や利水関係者との合意なしに着工を強行する余地を残した。県や利水関係者は「最終回答として認められない」などと反発している。県は12、13の両日、有識者とJRとの会議を開くが、回答に有識者の意見が反映される可能性は低いとみられる。

 最終回答でJRは、引き続き検討するとした湧水の対策について「県や大井川利水関係協議会と意見交換していく」とし、抜本的な工法の変更などは盛り込まなかった。さらに、島田市の染谷絹代市長らが強く求めていた本格着工前の基本協定締結について「実施を表明した(流量減少対策や環境保全の)内容は着工前に文書で確認する用意がある」と記載するにとどめ、工事中を含めたトンネル湧水の全量回復は約束しなかった。

 掛川市の松井三郎市長が要請していた「水量や水質に影響が出た場合の補償の確約」に関しても「工事との関係性の有無を確認する」などとし、補償について触れていない。

 県庁で記者団の取材に応じた川勝平太知事は「先ほど(回答を)渡されたばかりだ」とし、10日の定例記者会見で所感を述べるとした。回答は6日夕にJRから県の担当部局に提出され、県が9日、公表した。

 ◎JR東海の最終回答のポイント
 ▽本格着工前の利水関係者との基本協定締結を明記せず
 ▽県外に流出する山梨、長野両県境付近のトンネル湧水の戻し方は引き続き検討
 ▽中下流域の地下水に異常が見られた場合、工事との関係などを確認。補償は確約せず
 ▽大井川から取水して富士川に流している田代ダムに取水制限を求めるのは難しい
 ▽トンネル湧水は河川流量の減少量より約2~3割多くなると予測

 ■最終回答、抽象的な文言並ぶ 県「誠意ない」
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川流量問題で、JR東海が9日に示した県中間意見書に対する最終回答は抽象的な文言が並んだ。回答案の段階から具体的進展は乏しく、県や利水関係者からは「誠意ある回答とは言えない」などと厳しい受け止めが目立った。

 掛川市の林和範上下水道部長は8月下旬、JRとの意見交換会で「『検討』や『必要に応じて継続』の表現では市民に説明できない」と回答案の文言を改めるよう要請していたが、最終回答には「検討する」や「調整していく」「対応する」などの文言が多用された。焦点だったトンネル湧水の県外流出防止や中下流域の水資源に影響が生じた場合の補償に関し、どのように対応するのか具体策は示されなかった。

 県外流出に関しては対策を全く示さない一方で、工事中や工事完了後の中下流域の流量については「減ることはないと考えている」と明記した。

 現在、田代ダムから富士川水系へ流出している水について、島田市の染谷絹代市長がJRの働き掛けで大井川に戻すよう提案したことについては「(ダムを管理する)東京電力ホールディングスに対して当社から取水制限を要請することは難しい」と記載。複数の県関係者は「これで利水関係者が納得するとは到底思えない」と不満を漏らしている。

 県が6月6日にJRに提出した中間意見書は「流域関係者の十分な納得を得て工事を行うことが工事成功の必須条件で、社会的義務だ。誠意ある回答を求める」としていた。