北村地方創生相、地元の石木ダムについて「住民の犠牲やむを得ない」

 内閣改造により大臣に就任したばかりの北村誠吾地方創生担当相が、選挙区の佐世保市での記者会見で、強制収用が迫る石木ダム事業について、「住民の犠牲はやむを得ない」と発言したことが大きな反響を呼んでいます。

 ダム行政は「都市用水の開発」や「洪水調節」など、ダムの建設目的を実現するためにはダム予定地住民の犠牲はやむをえないとの論理で進められてきました。ダム事業では土地や家屋を奪われる住民の生活再建を可能とし、多くの土地を水に沈められる地域が立ち直れるよう、犠牲の代償として補償金を支払い、ダム予定地の地域振興を行うことになっています。

 こうした仕組みは、ダム事業が公共の役に立つことを前提としていますが、ダム予定地住民の人権侵害であることには変わりありません。
写真右=石木ダムの水没予定地に住民たちが立てた看板。

 さらに、石木ダムや八ッ場ダムなど、現在、進められているダム事業の多くは、不要で有害であると多くの専門家が指摘していますが、ダム事業者からは説得力のある反論はありません。このため、治水や利水というダム建設の目的は大義名分にすぎず、政官財癒着の利権を維持するための「公共事業」ではないかとの疑問や批判が納税者からあがっています。
 ダム事業では、事業用地の住民の土地や家屋を強制収用する手続きの中で、ダム事業が「公共」の役に立つかどうかを審査する手続きが行われますが、審査するのはダム行政を進める国交省ですので、「公共」の役に立たないという結論は最初からないことになっています。

 八ッ場ダム事業では、かつては水没住民の大半がダムに反対していましたが、長年のダム行政の圧力と世間の無関心の結果、住民はあきらめと共にダム事業を受け入れました。一方、石木ダム事業では13世帯の住民が強制収用の脅しに屈せず、団結して反対運動を続けています。

 マスコミには、北村大臣の発言を政治ネタとして取り上げるだけでなく、人権を蹂躙し、不要で有害なダム事業の実態を広く伝える報道を期待します。

◆2019年9月14日 共同通信
https://this.kiji.is/545533921141408865
ーダム建設に「犠牲やむを得ず」と地方創生相ー

 北村誠吾地方創生担当相は14日、長崎県佐世保市で記者会見し、一部住民が反対する同県川棚町の石木ダム建設について、生活の維持のためには住民の犠牲はやむを得ないとの認識を示した。

◆2019年9月14日 日本経済新聞(共同)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49842700U9A910C1EA3000/
ーダム建設「誰かが犠牲に」 北村地方創生相ー

 北村誠吾地方創生相は14日、長崎県佐世保市で記者会見し、一部住民が反対している同県川棚町の石木ダム建設計画について、生活の維持のためには住民の犠牲はやむを得ないとの認識を示した。「誰かが犠牲(になり)、協力して役に立つことで世の中は成り立っている」と発言した。

 ダムは1962年に北村氏の地元佐世保市の水不足解消や、川棚町の治水を理由に県などが計画。予定地の土地明け渡し期限が11月に迫っており、反対派住民の反発が強まるのは必至だ。

 会見で北村氏は、ダム建設で景観が変わるとの指摘について「原風景への思いは人それぞれに価値観の違いがある。誰もが共通に思うものだと言えるかどうか」と疑問を呈し、「人がそれぞれの立場と生き方の中で、自分自身の何かを犠牲にして生きていると思う」と持論を述べた。

 佐世保市民として渇水に苦しんだ経験からダムの必要性を強調し、反対派住民が納得できるまで議論を尽くす必要があるとも指摘した。

 今年5月、県収用委員会が反対地権者に土地明け渡しを命じる裁決を出し、11月18日までに立ち退かなければ行政代執行が可能となるが、水没予定地には現在13世帯が暮らしており、反対派住民らの座り込み活動が続いている。

◆2019年9月15日 長崎新聞
https://this.kiji.is/545622011781710945?c=39546741839462401
ー北村地方創生相「誰かが犠牲に」 反対地権者反発 石木ダム問題 ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業について、北村誠吾地方創生担当相は14日、渇水対策のためにダムは必要とする考えを示し「みんなが困らないように生活するためには、誰かが犠牲、協力して役に立つことで世の中は成り立っている」と述べ、反対する地権者に理解を求めた。
 同日に市役所で開いた記者会見で述べた。北村氏は、ダム事業は土地収用法に基づき適正に進めていると強調した上で「(地権者が)納得できるまで議論するべきだ」との認識を示した。
 石木ダムを巡っては、県収用委員会が反対地権者に土地明け渡しを命じる裁決を出し、11月18日までに立ち退かなければ、県と佐世保市は知事に行政代執行を請求できる。
 反対地権者の炭谷猛川棚町議は「宅地が奪われようとしている全国的にもまれな状況を認識しているのだろうか。地元選出国会議員が一部の地域のために犠牲を強いるとはあきれて物も言えない」と反発した。

◆2019年9月14日 毎日新聞政治面
https://mainichi.jp/articles/20190914/k00/00m/010/301000c
ー北村地方創生相 ダム建設「誰かが犠牲に、という積極的なボランティア精神で」ー

 北村誠吾・地方創生担当相は14日、地元の長崎県佐世保市で記者会見し、長崎県と佐世保市が同県川棚町に建設を進める石木ダムについて、多くの人の生活のためには住民の犠牲は避けられないという認識を示した。土地収用法に基づく土地の明け渡し期限が目前に迫っており、発言は議論を呼びそうだ。(以下略)

◆2019年9月15日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASM9H5GHYM9HTOLB007.html
ー「誰かが犠牲に」北村地方創生相、ダム建設めぐり発言ー

 北村誠吾・地方創生担当相は14日、地元の長崎県佐世保市で会見し、地元地権者が反対を続ける石木ダム(同県川棚町)の建設計画をめぐり、「みんなが困らないように生活するためには、誰かが犠牲(になり)、協力して、人のために役に立とうという精神で世の中は成り立っている」と発言した。石木ダムは県と市が建設を進め、土地収用法に基づく土地明け渡し期限が11月に迫っている。

 北村氏は同市役所での会見で、過去の佐世保の大渇水に触れ、地域全体の発展のためにも新たな水源が必要と強調。地権者の水没予定地への愛着にも理解を示しつつ、「何かを犠牲にして人々は生きている」とも述べた。一方、県と市に対して「地権者が『協力せざるを得ない』『収用に至らざるをえない事情があったんだ』と思うような歩み寄りや真剣さが必要」と丁寧な説明を求めた。

 北村氏は15日、発言の意図について、朝日新聞の取材に「互いに犠牲的精神を発揮し、助け合って世の中は回っていると一般論を言った」と説明した。

 石木ダムをめぐっては、県の収用委員会が5月、建設に反対する13世帯約60人が暮らす水没予定地の明け渡しを命じる裁決を出した。今月19日を過ぎると、土地の所有権が国に移り、明け渡し期限の11月18日までに立ち退かなければ、行政代執行が可能になる。(原口晋也)

◆2019年9月15日 スポーツニッポン
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2019/09/15/kiji/20190915s00042000143000c.html 
ー悪い“予感”的中 北村地方創生担当相「誰かが犠牲で世の中成り立っている」ー

◆2019年9月18日 長崎新聞
https://this.kiji.is/546868720845259873?c=174761113988793844
ー石木ダム問題「犠牲」発言を釈明 北村地方創生相 謝罪・撤回は否定ー

  北村誠吾地方創生担当相は17日の閣議後の会見で、東彼川棚町に計画されている石木ダム建設問題を巡り、住民の犠牲はやむを得ないとも受け取れる発言をしたことについて「一方的に犠牲に(なるべきだ)との思いを持っているわけではない」と釈明した。
 謝罪や撤回については否定し「私の不行き届きの発言が不愉快、不快な思いをさせる表現であったということであれば、今後は十分注意する」と述べた。
 北村氏は発言について、閣僚の立場ではなく、長崎の政治家として地元の問題に述べたと強調。「このような事案は地元で適切に対応されるべきもの。発言はそういう思いと、趣旨だった」とした。発言に対する地元の反発は「聞かなかった。むしろ頑張ってくれという激励の言葉をいただいた」と語った。
 発言は14日、大臣就任後初めて地元入りした際の記者会見で、建設に反対する地権者を念頭に「みんなが困らないように生活するためには、誰かが犠牲、協力して役に立つことで世の中は成り立っている」と述べた。

写真下=石木ダム予定地での稲刈り。2015年10月22日撮影。

写真下=八ッ場ダム予定地での稲刈り。2014年9月22日撮影。