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長崎県、地権者の説得継続 石木ダム 生活再建協議に意欲

 長崎県では、13世帯の住民が団結して反対している石木ダム事業が膠着状態にあります。住民と知事との話し合いも平行線に終わる中、県と佐世保市は住民の土地を強制収用しましたが、住民らはダム予定地での暮らしを続けています。
 9月24日には、長崎県議会の委員会質疑で、石木ダムの生活再建協議が取り上げられたと報道されています。
 ダム事業における「生活再建協議」とは、ダム事業によって生活を破壊される住民と事業者との補償交渉を指します。これまで、全国各地のダム事業では、補償金という札びらで住民の頬を叩いて追い出すことを繰り返してきましたが、石木ダム予定地の住民は補償金を受け取らず、補償交渉に応じる気配はありません。

 長崎県の答弁によれば、県は「(水害や渇水など)大変な思いをされた県民の気持ちにも耳を傾けてもらえるよう、(石木ダムの)地権者に寄り添って話し合いをしたい」と言い、ダムを推進する自民党の議員も全国各地で頻発している災害を引き合いに出したようですが、「(水害や渇水など)大変な思いをされた県民の気持ち」は県が勝手につくり上げたフィクションでしかありません。

 石木ダムがなくてもこれまで同様、将来も利水面でも治水面でも誰も困ることはないことを知る反対住民らに同じフレーズを繰り返して呼び掛けても、補償交渉に応じるはずがありません。そこで民主党系会派の「改革21」の議員二人が、県は一体どうやって交渉の糸口をみつけるつもりなのか、「強制収用」で脅しをかけるこれまでのやり方では無理でしょうと質問しているようですが、県の答弁は「誠意をもって対応したい」という精神論に終わっています。
 このままでは、展望のないダム事業に公金が流され続けることになります。

◆2019年9月25日 長崎新聞
https://this.kiji.is/549436896218498145?c=39546741839462401
ー長崎県、地権者の説得継続 石木ダム 生活再建協議に意欲ー

 定例県議会の総務、文教厚生、農水経済、環境生活の4常任委員会が24日、始まった。環境生活委で県の岩見洋一土木部長は、県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り「(災害や渇水など)大変な思いをされた県民の気持ちにも耳を傾けてもらえるよう、地権者に寄り添って話し合いをしたい」と述べ、ダム建設に反対している地権者の説得を続ける姿勢を改めて示した。
 外間雅広委員(自民)の質問に答えた。

 石木ダムを巡っては今月、土地収用法に基づき住民13世帯の宅地を含む未買収地約12万平方メートルの権利を県と佐世保市が取得。物件を含む土地の明け渡し期限は11月18日になっている。

 外間委員は全国各地で災害が頻発している現状に触れ、ダムの必要性を強調。既に移転した人の気持ちも大切にするべきだと主張した。岩見部長は「住み慣れた土地を譲ることは大変なこと」と移転者の心情に理解を示し、生活再建に向けた話し合いに意欲を見せた。

 饗庭敦子委員(改革21)は、県と住民が互いに歩み寄る方策について質問。浦瀬俊郎河川課長は「将来について話し合う機会を得られれば、誠意を持って対応したい」と応じた。
 一方、坂本浩委員長(改革21)は強制測量や事業認定などの経緯に触れ「地権者に不信感が蓄積しているのではないか。県の言い分だけ説明しても円満な解決には結び付かない」と指摘した。

◆2019年9月28日 長崎新聞
https://this.kiji.is/550490335837979745?c=39546741839462401
ー石木ダム反対住民との面会 佐世保市長が難色ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、中村法道知事と面会した反対住民が涙ながらに計画中止を訴えたことについて、朝長則男市長は27日の会見で「情緒的な問題として思いは理解する」と述べる一方、手続きは「法にのっとって進めている」と強調した。自身と反対住民の面会は「司法の場でそれぞれが主張するべきだ」として難色を示した。
 石木ダムを巡っては、県と市が反対住民13世帯の未買収地約12万平方メートルの権利を取得。取得時期となった19日、中村知事は県庁で反対住民と面会した。
 朝長市長は面会の状況について「コメントできるだけの情報をもっていない」と前置きした上で、反対住民の思いを察した。自身との反対住民との面会や討論会は、計画の是非を巡り係争中として拒んだ。
 県側がダムの完成目標年度を現行の2022年度から3年程度遅らせる方向で検討していることについて、朝長市長は「事前に私は聞いていない。市水道局にも正式にそういう話はなかった」と述べた。