八ッ場ダムに続き、阿蘇の立野ダムもインフラツーリズム

 国土交通省九州地方整備局が進める熊本県阿蘇で進める立野ダム事業では、2018年8月に本体工事が始まりました。立野ダムでは八ッ場ダムと同様の手法で、インフラツーリズムによる集客を図っており、地元紙でも取り上げられています。
 最も大きな観光資源である自然を破壊し、その代替としてダムという人工構造物を観光資源に仕立て上げる、倒錯した観光開発が広がりつつあります。
 「立野ダムによらない自然と生活を守る会」は、不要で危険なダム建設に反対しており、今日も現地見学会を開催しています。
右画像=国土交通省九州地方整備局 立野ダム工事事務所ホームページより、ダム建設地にある柱状節理。

◇参考ページ 「八ッ場ダムに沈められる柱状節理と立野ダムで破壊予定の阿蘇の柱状節理」

◆2019年10月18日
https://this.kiji.is/557736039025198177?c=39546741839462401
ー立野ダム 観光資源に 国交省など、工事現場巡るツアー開発 ガイド役住民、複雑な思い 反対派は批判ー

 建設中の立野ダム(熊本県南阿蘇村、大津町)を観光資源として生かそうと、国土交通省立野ダム工事事務所や南阿蘇村などが、工事現場を巡るツアー商品の開発を進めている。村は、熊本地震からの観光復興にもつなげたい考えだが、ダムは自然破壊との批判もあり、ガイド役らは複雑な思いも抱えている。

 15日夜、夜間照明で照らされた立野ダムの工事現場。ダムを支える強固な地盤を表出する掘削作業のために、重機がせわしなく動いていた。モニターツアーの参加者は「立野ダム展望所」と、普段は立ち入ることのできない展望所「たてのてらす」から工事の様子を眺めた。

 ツアーは、立野ダム工事事務所と村などが2018年4月に設立した阿蘇・立野峡谷ツーリズム推進協議会が企画。26日と11月23日に「みなみあそ夜のインフラツアー」として本ツアーを実施する。新阿蘇大橋の建設現場も訪れる。

 10月9日には国交省九州地方整備局が、旅行商品の行程に立野ダムを組み込んでもらおうと、旅行業者を対象にしたインフラ見学会を実施。展望所、たてのてらすのほか、旧立野小に開設した「あそ立野ダム広報室」を案内した。

 展望所、たてのてらす、広報室は、協議会の設立後に立野ダム工事事務所が整備した。現場の案内役は、村が認定した「阿蘇立野峡谷(立野ダム)ガイド」が務める。村内在住のジオパークガイドらで、ジオパークの見どころのひとつである立野峡谷の成り立ちなどを含めて紹介する。

 ダムや橋など、工事中や管理中のインフラを観光に生かす「インフラツーリズム」は全国各地で実施されており、管理者による見学会のほかに民間業者によるツアーもある。国交省は専用サイトを設けるなど普及に力を入れている。

  日本最大規模の流水型ダムである立野ダムは昨年8月、本体工事に着工した。ダム工事事務所の村上裕明工務課長は「ツアーでは、今だけの風景をみることができる。事業目的やダムの役割も知ってもらいたい」と強調する。

 一方、ダムに反対する「立野ダムによらない自然と生活を守る会」は20日、「立野ダム建設現地と北向山を見る会」を開く。中島康代表は「ダムに水がたまると、国天然記念物の北向谷原始林がダメージを受ける可能性がある」と訴える。

 村内在住で認定ガイドの広瀬顕美さんは複雑な心境を明かす。「ダムに積極的に賛成ではないが、下流域の安全を守るために建設を受け入れようとしている現実がある。反対派の人にもこのような思いを説明できるようにしたい」(田上一平)