八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

石木ダム9度目の工期延長で、佐世保市は事業再評価

 長崎県とともに石木ダム事業を推進している佐世保市が事業の工期延長に伴い、石木ダム事業の再評価を行うことになりました。石木ダム事業は現在の完成予定が2022年度ですが、このたび9回目の延長で完成予定は2025年度に延期されました。石木ダムダム予定地では、住民らの反対運動により、道路の付替えなどの関連工事も進まず、本体工事に着手する見通しは立っていません。

 石木ダムの建設目的の一つは、佐世保市の水源開発です。佐世保市では人口が減少し、水需要が低迷し、水道漏水の問題なども発覚しているのですが、過大な水需要予測を立てて、事業への参画を正当化してきました。これから行われる再評価には水需給計画が含まれており、佐世保市はまたまた、実績無視の架空の水需要予測を行わなければなりません。
 前回、2022年度まで工期が6年間延長されたときは、佐世保市は事業再評価をパスしてしまいましたが、今回、また、パスするのは無理と判断したようです。
 石木ダムの建設強行を食い止めるために、佐世保市の水需要予測のでたらめさを追求していく必要があります。

 一方、すでに事業評価を終えている長崎県は、中村法道知事が反対住民へ書簡を送ったということです。県はダム予定地に今も暮らす13世帯の住民の土地と家屋を取得する協定収容の手続きを進めており、書簡は行政代執行という強硬手段に行くためのステップの一つとみられます。

◆2019年11月17日 長崎新聞
https://this.kiji.is/557393074171429985?c=39546741839462401
ー工期延長で事業再評価も 石木ダム、佐世保市水道局が見解ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県が工期を3年延長する方針を示したことについて、市水道局は16日の市議会石木ダム建設促進特別委員会で、県が正式決定をした場合、市は利水面における事業の再評価をする可能性が高いという認識を示した。実施すれば、本体関連工事の着手前だった2012年度以来となる。
 利水事業として厚生労働省の補助を受けており、市には適宜、再評価することが義務付けられている。県が15年度に工期を6年延長した際には、市は「大きな社会情勢の変化はない」として、実施しなかった。社会経済情勢の急激な変化などがない場合、次回は22年度の予定だった。
 今回は、前回と合わせて9年の工期延長が、厚労省の実施要領が定める「大幅な工期の延長」に該当する可能性があるという。
 再評価では、水需給の動向を含めた社会経済情勢、コスト縮減や代替案の可能性、費用対効果などを分析する。特別委で市水道局の谷本薫治局長は「今のうちから、できる準備を始めたい」と述べた。
 市水道局は、事業の進捗(しんちょく)状況も説明。委員からは「渇水のリスクが3年延びる。危機感はあるのか」「ダム事業をいつまで引っ張っているのか、と多くの市民は思っている。知事も市長も決断する時期にきている」との指摘も出た。
 県は完成目標を3年延期する方針を県公共事業評価監視委員会に諮問、承認された。今後、委員会の意見書提出を受け正式決定する。

◆2019年10月17日 日本テレビ
http://www.news24.jp/nnn/news16362282.html
ー石木ダム建設事業 再評価の必要性示すー

 川棚町の石本ダムの完成峙期を3年遅らせる方針が示されたことを受け佐世保市は事業の再評価をする必要性を示した。
 佐世保市は市議会の特別委員会で県が石本ダムの工期を3年遅らせ2025年度に完成させる方針を明らかにしたことを報告した。
 その上で事業の再評価をする必要性を示し「今のうちからできる準備を始めたい」と述べている。
 市民の水の需要予測やダムを建設することへの費用対効果などを検証するという。
 再評価は2015年に工期が6年延長された際行われておらず、今回実施されれば2012年以来となる。

◆2019年10月16日 長崎新聞
https://this.kiji.is/557017717182137441?c=39546741839462401
ー反対住民に書簡送付 石木ダム事業 面会求め知事ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム建設事業を巡り、中村法道知事は15日の定例会見で、反対している住民13世帯に話し合いの場を求める書簡を送ったことを明らかにした。9日付で、まだ返事は来ていないという。
 中村知事と反対住民は9月19日、県庁で5年ぶりに面会。住民側は建設反対を訴え、今後の面会にも前向きな姿勢を示していた。
 県によると、書簡では住民が故郷を大切にする思いに理解を示した上で、8割の地権者が事業に協力して移転したことや渇水、洪水対策に対する県民の要望が強いとして事業に理解を求めた。生活再建や地域振興に誠意を持って対応するとしている。
 石木ダムを巡っては9月、県と同市が建設に必要な全ての未買収地約12万平方メートルの権利を取得。家屋など物件を含む土地の明け渡し期限が11月18日となっている。
 中村知事は家屋などを撤去する行政代執行について「最後の手段と考えている。その前に理解をいただける機会があれば活用し、努力を重ねていく」と慎重な姿勢を示した。
 一方、住民側は建設を前提とした話し合いには応じないとしている。

◆2019年10月15日 長崎新聞
https://this.kiji.is/556673346825045089?c=39546741839462401
ー「石木ダム いらない」 市民団体がパレード 佐世保ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業の必要性を疑問視する市民グループ「#ダムより花を」は13日、市中心部のアーケードでパレードし、参加者約70人が「ダムはいらない」と通行人に呼び掛けた。
 石木ダムを巡っては、県と市が反対住民13世帯の全未買収地約12万平方メートルの権利を取得。反対住民との対立が続いている。
 グループはダム事業に疑問を持つ市民ら約20人で9月に結成。「若い人にも関心を持ってもらいたい」と、明るい雰囲気で訴えるパレードを企画。会員制交流サイト(SNS)などで参加を募った。
 パレードの前に反対住民の松本愛美さん(45)が「古里を守りたい。力を貸してほしい」とあいさつ。参加者は花を持ったり、ダム建設予定地に生息する川魚などに仮装したりして約1キロを練り歩いた。グループの共同代表、内田初美さん(40)は「パレードを通じ、本当にダムが必要なのか多くの人に疑問を持ってほしい」と話した。
 グループは11月10日午後1時から島瀬公園で集会を開き、パレードをする。