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国交省、気候変動を踏まえた水害対策検討する初会合

 国土交通省は気候の変動により激甚化する災害への対策を検討するため、さる11月22日、「社会資本審議会河川分科会 気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」(第一回)を開きました。
 この委員会の配布資料が国土交通省のホームページに掲載されましたので、お知らせします。【資料8】の「今後の検討スケジュール」によれば、今後、小委員会を数回開催し、来夏ごろをめどに答申案をまとめる予定のようです。

◆国土交通省 社会資本審議会 河川分科会 第1回 気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会 配付資料
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kikouhendou_suigai/1/index.html

議事次第
委員名簿
資料目次
【資料1-1】諮問書及び付託書
【資料1-2】審議会規則
【資料1-3】分科会規則
【資料2】小委員会の議論の進め方
【資料3】国土交通省等における水災害対策の取組状況
【資料4】気候変動の影響について
【資料5】今後の社会動向について
【資料6】令和元年台風第19号による被害
【資料6(参考資料)】令和元年台風第19号による被害(参考資料)
【資料7】台風第19号や気候変動の影響・社会動向等を踏まえて対応すべき課題
【資料8】小委員会の今後の検討スケジュール

【資料7】「台風第19号や気候変動の影響・社会動向等を踏まえて対応すべき課題」3ページ

 関連記事を転載します。

◆2019年11月22日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52505170S9A121C1CR8000/
ー土地開発規制も、国交省検討 台風19号受け治水見直しー

 国土交通省は22日、各地で大きな被害をもたらした10月の台風19号など激甚化する水害を受け、新たな対策の検討を始めた。水害リスクの高い土地の開発規制、集団移転などを含む街づくりと一体化した対策作りを進める。気候変動で想定を超える降水量増加や海面上昇が懸念されるとし、インフラ整備だけでなく、様々な洪水の発生を前提にして減災や被害からの早期回復に重点を置く。

 国交相の諮問機関、社会資本整備審議会に「気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」を設置し、22日に初会合を開いた。2020年夏までに答申をまとめる。

 同省はこの日の会合で、台風19号で都心部の大規模浸水を防ぐなど、ダムや堤防などのハード整備には一定の効果があったと総括。ただ今後の水害対策では「洪水発生を前提に被害を軽減し、被害から早期に回復する対策が必要」と強調した。

 会合では委員を務める専門家からハザードマップでは浸水想定区域に指定されつつ、自治体の都市計画では居住誘導区域となっている事例があることなどが報告された。

 その上で、将来的な人口減少や少子高齢化を踏まえ、土地利用の規制や誘導策が必要とした。浸水想定区域の新規開発の規制、河川沿いの小規模集落の集団移転の促進などを想定する。

 商業施設や住宅を集約する「コンパクトシティー」を進める際も浸水想定区域を避けるなど、街づくりにも防災の視点を反映するよう求める。

 台風19号では中小河川の堤防決壊や氾濫が相次ぎ、浸水想定区域外でも人的被害が出た。今後ハザードマップの策定時に、過去に人的被害が発生したことを載せるなどリスク情報を充実させるほか、緊急避難場所の確保策なども議論する。

 利水ダムを治水に活用したり、都市部の大規模施設に雨水貯留施設を整備したりと、民間施設などの活用も促す。被害後の回復を早くするため、自治体や企業の事業継続計画(BCP)策定、水害保険の普及も進める。

 ハード整備を巡っては過去に発生した災害に基づく従来の計画や基準の限界に言及した。気候変動による激甚化を踏まえた基準とする。

 同省によると、温暖化による平均気温の2度上昇を前提とした場合、降水量は全国平均で1.1倍になり、洪水発生の頻度は2倍になると試算されている。

◆2019年11月22日 毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191122-00000073-mai-soci
ー国交省が水害対策の初会合 河川合流地点の堤防強化方針示すー

  国土交通省は22日、気候変動による降雨量の増加を踏まえた新たな水害対策を検討する有識者会議の初会合を開き、河川の合流地点の堤防を強化する方針などを示した。

 10月の台風19号では、本流と支流の水位が共に高くなり、支流の水が流れにくくなる「バックウオーター現象」が発生して氾濫するケースが相次いでいた。堤防の強化策のほか、ダムの洪水調節機能の向上やまちづくりと連携した治水計画なども含め、来年夏ごろをめどに対策を取りまとめる。

 会合では冒頭、赤羽一嘉国交相が「100年に1度と言われるような災害が毎年、どの地域で起こっても不思議ではない。抜本的な治水対策を議論いただきたい」とあいさつ。国交省は台風19号で大雨特別警報の解除後に河川の氾濫が起きたことなどの課題を説明した。有識者からは「情報はいっぱいあるが、何を決め手に逃げていいか分からない。情報を減らし、情報から行動につなげるブリッジを考える必要がある」などの指摘があった。

 一方、国交省は22日、台風19号で被害のあった堤防や国道などの復旧を迅速に進めるため、宮城、福島、茨城、群馬、長野5県に計6カ所の出張所を設置すると発表した。計74人の職員を置き、復旧工事を専門で担当する。同様の出張所は昨年7月の西日本豪雨でも2カ所設置された。【松本惇】

◆2019年11月25日 建設通信新聞
https://www.kensetsunews.com/archives/391718
ー新たな水災害対策/気候変動 流域全体で備え/国交省、2020年夏取りまとめ 土地利用の規制もー

  国土交通省は22日、社会資本整備審議会河川分科会に設置した「気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」(委員長=小池俊雄土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長)の初会合を開き、気候変動に伴う降雨量の増加や海面水位の上昇に対応した新たな水災害対策の具体的な検討を始めた。洪水が発生することを前提に、行政、企業、住民ら関係者が連携して流域全体で備える対策を2020年夏をめどに取りまとめる。
 初会合で赤羽一嘉国交相は、「気候変動に合わせた形で抜本的な防災・減災対策を取らなければ、100年に1度と言われるような 災害がこれから毎年どの地域で起こっても不思議ではない」と指摘し、官民連携などを踏まえたハード・ソフト一体の水害対策検討を要請した=写真。緊急的に実施すべき施策は、政府が策定を進めている経済対策に盛り込む考えを示した。
 小委員会は、新たな水災害対策の検討と、台風19号など19年の災害で明らかになった課題の包括的な検討を担当する。
 国交省は、新たな水災害対策の方向性として、▽洪水や内水などの制御と氾濫防止▽洪水や内水などの被災対象減少▽洪水や内水などの発生を前提とした被害の軽減と回復力の向上--の3つを示した。ハード整備だけでなく、土地利用の規制、居住誘導、コンパクトシティーの推進、マイ・タイムラインの普及、民間ビルや高台の避難場所確保、企業のBCP(業務継続計画)に沿った対応促進、水害保険の加入促進など、自助、共助、公助の観点から、流域のあらゆる主体が連携した対策を検討する。
 ハードは、これまでに整備してきた防災インフラが台風19号で大きな効果を発揮したとして、計画的・集中的に整備する仕組み検討の必要性を示した。利水ダムの治水協力や官民連携による建物内の雨水貯留施設整備など、民間ストックを活用する方策も探る。
 19年に発生した災害の課題に関しては、国交省が▽堤防強化▽ダムの洪水調節▽水災害リスクを踏まえたまちづくり--の3つのテーマで、12月ごろに検討会をそれぞれ設置することを説明。土砂災害への警戒避難体制づくりは、10月に社会資本整備審議会に対して諮問しており、これらの議論を踏まえて小委員会で包括的に検討する。
 国交省の「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」は、産業革命以前と比べて世界の平均地上気温を2度上昇以下に抑えることを前提としたシナリオの場合でも、21世紀末には降雨量が全国平均で20世紀末の1.1倍、洪水の発生頻度が全国平均で2倍になるとの試算結果をまとめている。