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「石木ダムを断念させる全国集会」の講演スライドと配布資料

 11月17日に「石木ダムを断念させる全国集会」がダム予定地を抱える長崎県川棚町の公会堂で開かれました。
 11月18日が家屋の明渡し期限になっていましたが、こうばる(ダム予定地)の13世帯は動じることなく、これまで通りの暮らしを続け、長崎県と佐世保市に対して石木ダム建設を断念させる闘いを続けています。
 石木ダムは必要性がなく、地元住民を苦しめるだけの有害無益な事業です。この全国集会は奪われた土地を取り戻す新たな闘いのスタートとなる集会でした。
 
 この集会で嶋津暉之さん(水源開発問題全国連絡会共同代表)が行った講演の配布資料とスライドが公開されましたので、お知らせします。

〈講演内容についての嶋津さんの解説〉
 長崎県は石木ダムの治水目的について、今年10月の台風19号豪雨のような未曽有の豪雨が川棚川流域に降る場合もあるから、石木ダムが必要だと主張していますが、それは全くの間違いです。
 川棚川流域で1/100の雨量に対して石木ダムで対応できることになっているのは、計画上でも流域面積の8.8%に過ぎません。しかも、その中には港湾管理者の管理区間ということで堤防整備計画がない川棚大橋下流区間なども含まれているので、実際に石木ダムで対応できることになっているのは流域面積の4~5%にとどまります。したがって、1/100を超える未曽有の豪雨が降れば、石木ダムがあっても川棚川の各所で氾濫することになります。

 さらに、1/100を超える雨が降れば、石木ダムが洪水調節機能を失ってしまうことも予想されます。

 計画を超える雨が降ることもあることを考えれば、長崎県は石木ダムの建設に拘泥している場合でありません。ダム建設を断念して、川棚川流域の住民の生命と財産を本当に守ることができる治水対策に力を注がなければなりません。

 石木ダムの利水目的は、佐世保市への都市用水の供給です。佐世保市は過去の渇水が再来すれば、市民生活への影響が計り知れないものになると述べ、渇水の恐怖を煽って石木ダムが必要だと宣伝しています。

 しかし、過去の渇水到来時と現在は水需要の状況が大きく異なります。佐世保市水道の一日最大給水量は1990年代後半から横ばいの傾向になり、2000年代になってから、ほぼ減少の一途を辿り、2018年度は1994年度の77%まで減少しています。

 水需要の大幅な減少により、今の佐世保市は渇水に対応できる都市に変わっています。そして、これからも水需要の更なる減少が続くことは確実なので、佐世保市はますます渇水に強い都市になっていきます。

 是非、上記の配布資料、スライドとその解説をお読みいただき、石木ダムが本当に無意味な事業であることを周りの方に伝えてくださるよう、お願いします。