台風19号、荒川水系の越辺川、都幾川の堤防決壊は越水が原因と特定

 荒川水系の越辺川(おっぺがわ)と都幾川(ときがわ)では、台風19号豪雨により3か所で堤防が決壊しました。
 国土交通省関東地方整備局は台風19号で堤防が決壊した箇所について、専門家による調査委員会を立ち上げており、12月2日に第3回荒川水系越辺川・都幾川堤防調査委員会及び第3回那珂川・久慈川堤防調査委員会が開催されました。
 現時点では当日の配布資料は掲載されていませんが、当該ページは以下になります。

◆国土交通省関東地方整備局ホームページより「堤防調査委員会」
 http://www.ktr.mlit.go.jp/bousai/bousai00000216.html

 12月2日の委員会を傍聴した嶋津暉之さん(当会運営委員、元・東京都環境科学研究所研究員)からの報告をお伝えします。

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 委員会では、越辺川と都幾川の破堤の原因は、堤防の土質によるものではなく、越水によるものという判断が示されました。
 委員会では議論されませんでしたが、堤防の越水を防ぐために耐越水堤防工法(注)の導入が緊急の課題であると思いました。

(注)耐越水堤防工法は、旧建設省土木研究所が技術を確立した堤防強化工法。2000年には設計指針を全国の地方建設局や都道府県に通達し、全国への普及を目指したが、川辺川ダムの是非をめぐる熊本県での公開討論会で、ダム建設の代替手段として提起されたことをきっかけに、2年後に指針が廃止され、お蔵入りになっている。
 耐越水堤防工法では、越水により洗堀されやすい堤防の裏のり(川の外側)を補強することにより、越水破堤が起きにくくする。

 一方で、本豪雨で水位が異常上昇したことの原因も考える必要があると思いました。
 第2回(11月17日)の委員会の資料を見ると、本豪雨の雨量は確かに大きく、既往最大雨量を超えるところもありましたが、下回っているか、あるいは同程度のところも少なくありません。それでも、水位が異常上昇したのは河床が上昇してきているからではないでしょうか。
 河床掘削を適宜行って河床面を維持する日頃の河川管理がきちんと行われているのかという問題も考える必要があると思いました。

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 関連記事を転載します。

◆2019年12月3日 東京新聞埼玉版
https://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201912/CK2019120302000134.html
ー「越水」で決壊と結論 台風19号で越辺川など 強化策など復旧方針もー

 台風19号による堤防決壊の原因などを調査する国土交通省関東地方整備局の「荒川水系越辺(おっぺ)川・都幾(とき)川堤防調査委員会」は二日、さいたま市内で第三回会合を開き、東松山市から川越市にかけての越辺川と都幾川の堤防計三カ所の決壊原因を「越水」と結論付けた。会合では決壊区間の復旧方針も議論され、堤防の強化策や段階的な拡大整備などの方向性が決まった。 (藤原哲也)

 会合では越水範囲の特定に加え、堤体や基礎地盤の土質調査内容などが報告された。その結果、三カ所とも、堤防を越えた水によって川と反対側の堤防の斜面などが徐々に削れるなどして土台が緩み、水圧に耐えられなくなるなどして、決壊に至ったとした。

 復旧方針の話し合いでは、川底を掘って水位を低くする「河道掘削(かどうくっさく)」などを基本とし、決壊箇所は新たに盛り土した堤体をコンクリートで強化し、再び越水した場合を想定して堤防上部も舗装するなどの「危機管理型ハード対策」を実施することなどを決めた。今後は、現場ごとに詳細な設計を詰めていくという。

 会合終了後、東京電機大名誉教授の安田進委員長は「越水対策はさまざまなやり方があるので、総合的に考えていかなければならない」と述べた。

◆2019年12月3日 毎日新聞埼玉版
https://mainichi.jp/articles/20191203/ddl/k11/040/221000c
ー台風19号 越水で堤防が決壊 越辺川、都幾川 国交省調査委判断ー

 国土交通省関東地方整備局は2日、学識者による荒川水系越辺(おっぺ)川・都幾川堤防調査委員会(委員長・安田進東京電機大名誉教授)をさいたま市内で開いた。調査委は、台風19号による越辺川と都幾川の河川堤防決壊の原因について「20~40センチ超の越水により決壊した」と結論づけ、以前から計画されていた堤防の高さを確保するなどの復旧基本方針を了承した。

 調査委は10月から国が管轄する越辺川2カ所、都幾川1カ所の堤防決壊原因を調査。この日は整備局から報告を受け、3カ所とも土壌が粘土質で水がしみこんだわけではなく、越水によって決壊したと判断した。

 越辺川2カ所のうち東松山市正代の決壊現場については、国が16年度に策定した河川整備計画による必要な高さを既に確保していたため、決壊前の高さに戻す。他の2カ所については計画通りの高さを確保する工事を進める。いずれも堤防の上部や、
住宅側の下部を舗装するなどして補強するとともに、川底や河川敷を掘り起こして水位を低下させる。

 調査委の了承を受け、今後は各地の河川事務所が整備計画を立案し、来年6月ごろまでの完成を目指す。

 安田委員長は終了後、取材に「(洪水対策は)山やダム、遊水池、外郭放水路で雨をためるなどいろいろな方法がある。総合的に考えていくべきではないか」と述べた。調査の概要は後日、関東地方整備局のホームページに掲載される予定。【山越峰一郎】

◆2019年12月3日 朝日新聞埼玉版
https://digital.asahi.com/articles/ASMD24TKGMD2UTNB00G.html
ー台風19号水害の原因は越水 地方整備局が特定ー

 国土交通省関東地方整備局は2日、10月の台風19号の大雨のため、国が管理する河川で県内3カ所の堤防が決壊した原因を「越水」と特定した。対策として川底を削って水位を低くしたり堤防をかさあげしたりする方針を明らかにした。同時に県が管理する河川の治水も含めた総合的な調整が必要との認識を示した。

 同局はさいたま市内で行われた、土木や地質、水工学などの専門家による同局の「荒川水系越辺川・都幾川堤防調査委員会」の第3回会合で、原因分析やそれに伴う対策案を提示。調査委がこれらを了承した。

 県内で決壊したのは、越辺川の川越市平塚新田と東松山市正代、都幾川の東松山市早俣の堤防。同局は、いずれも水が堤防に浸透した形跡がない一方、上昇した水位の痕跡が堤防より少なくとも20~40センチ高かったことなどを確認した。大雨による水位上昇で、堤防を越えた水が堤防を削り、決壊につながったと結論づけた。

 再発防止策として▽川底を掘って水位を低くする河道掘削▽堤防のかさ上げ▽堤防保護のためのブロック補強▽堤防の上部などをアスファルトで補強する――といった対策などをまとめた。

 一方、東松山市正代の堤防は越辺川と合流する手前で九十九川が氾濫(はんらん)し、あふれ出た水が越辺川の堤防を川の外側から削ったことも決壊した要因の一つに推定されるとも説明した。

 このため、地域一帯の総合的な対策には九十九川を管理する県との調整も必要だと位置づけた。同局担当者は「上下流を含めて、全体的な河川整備に向けて国と県で協議していきたい」と話した。

 3カ所の決壊場所はすでに緊急の仮復旧工事は完了している。今後、堤防を拡大する場合の用地交渉や設計作業などを進める。その後、本格的な復旧工事に着手する。

 同調査委員長の安田進・東京電機大名誉教授は会合で、「今回決壊した堤防の復旧だけでなく、総合的に弱点がないようにしないといけない」と指摘した。(笠原真)

—転載終わり—

第2回(11月17日)の委員会の資料より
10ページ「被災の状況(越辺川)」

11ページ「被災の状況(都幾川)」