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八ッ場ダム、最低水位に 試験湛水大詰め

 試験湛水中の八ッ場ダムが12月12日に最低水位に達したと、地元紙が一面で報道しました。
 記事によれば、国土交通省八ッ場ダム工事事務所は「現時点で地滑りなどの異常は確認されていない」とし、最低水位を維持しながらダム堤体とダム湖周辺の安全性を確認し、計器類の数値のチェック等も行うとのことです。

 国土交通省の当初の説明では、ダム湖の貯水位は試験湛水が開始された10月1日から3~4か月かけて最高水位に達する見込みとのことでしたが、10月12日に関東地方を直撃した台風19号による大雨で、水位が一気に約54メートルも上がりました。ダム湖周辺ではまだ未完了の工事も多く、工事で使用していた発泡スチロールが大量にダム湖に流出した工事現場もありました。
 現在も、ダム湖周辺では地盤の安全対策を含む様々な工事が続いています。写真を見ると、水面下から再び姿を現した斜面は、地面が崩落している所も見られます。

 試験湛水の状況については、国土交通省八ッ場ダム工事事務所HPに掲載されています。
 http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/yanba_index050.html

 
 
◆2019年12月13日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/180030
ー八ツ場ダム 試験湛水大詰め 最低水位に 当初予定より大幅前倒しー

 水をためて安全性を確認する試験湛水たんすい中の群馬県の八ツ場ダム(長野原町)の貯水位が12日、最低水位(標高536.3メートル)となった。台風19号に伴う豪雨の影響で10月15日に満水(同583メートル)となり、その後は放流を行い、1日1メートル以内で水位を下げていた。安全確認の最終工程となる試験湛水は当初予定よりも早く大詰めを迎えた。

◎年度末の完成予定 変更なし
 国土交通省八ツ場ダム工事事務所によると、最低水位となったのは12日午後4時ごろ。現時点で地滑りなどの異常は確認されていない。今後は水位を維持しながら、引き続きダム堤体と貯水池周辺の安全性を確認する。堤体や貯水池周辺に設置した計器類の数値をチェックし、斜面の状況も目視する。ダム本体は建屋工事などが残っており、本年度末の完成予定に変更はないという。

 試験湛水は10月1日に開始。3、4カ月かけて満水となる想定だった。

—転載終わり—

写真下=ダム堤と貯水池。貯水池の水位が徐々に下げられていった痕跡が岸壁に残されている。
このページの写真は12月11日撮影。

写真下=ダム堤右岸側の打越代替地(川原湯温泉の移転代替地)。

写真下=八ッ場大橋(湖面1号橋)より上流側を望む。

写真下=不動大橋(湖面2号橋)より下流側を望む。右手にJR川原湯温泉駅のある上湯原。

写真下=不動大橋から下流側右手の上湯原を撮影。

写真下=上湯原の不動沢周辺。

写真下=不動大橋より上流側を望む。試験湛水によって貯水池に沈んでいた上湯原橋が再び姿を現している。橋の手前の川原湯勝沼では、湛水直前まで遺跡の発掘調査が行われていた。対岸には、林地区勝沼の地すべり対策、廃校が決まった長野原第一小学校が見える。