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国交省、ダムの治水機能強化に関する有識者会議の初会合、「事前放流」促進の具体策検討

 12月24日、国土交通省が「第1回 ダムの洪水調節に関する検討会」を開催しました。

 国交省が検討会の配布資料を以下のページに公開しました。

国交省 水管理国土保全局 河川環境課 
 第1回 ダムの洪水調節に関する検討会(令和元年12月24日開催)配付資料一覧

 検討会委員名簿
 佐々木 隆 国土技術政策総合研究所河川研究部長
◎角 哲也 京都大学防災研究所 教授 (委員長)
 中北 英一 京都大学防災研究所 教授
 中津川 誠 室蘭工業大学大学院工学研究科
 室井 ちあし 気象庁予報部数値予報課長
 山口 嘉一 (一財)ダム技術センター審議役
 矢守 克也 京都大学防災研究所 教授
 
 検討会を傍聴した嶋津暉之さん(当会運営委員)が公開メーリングリストに投稿した意見を紹介します。
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 昨日の検討会を傍聴しました。
 昨年7月の西日本豪雨で愛媛県肱川の野村ダムと鹿野川ダムで緊急放流(国交省の表現は「異常洪水時防災操作」)を行い、ダム下流ですさまじい氾濫を引き起こしたことから、今年10月の台風19号での対応を踏まえて、より効果的なダム操作や情報提供の改善を検討していこうというものです。

 といっても、緊急放流の影響を緩和するのは簡単なことではありません。最も有効な方法とされたのは利水兼用ダムについては、事前放流を行って水位をできる限り下げることです。
 気象予報技術が開発されてきたので、それを駆使して雨量を予測し、事前放流を的確に行っていく考えが示されました。しかし、気象予報技術が進歩してきても、ダム集水域の範囲の雨量を量的にきちんと予測することは困難であると思います。
 雨がかなり降ると予測して、予備放流量を大きくして予測が当たらなければ、カラ放流になり、利水の供給の問題が生じることになります。

 ダムの緊急放流の問題はダムがある限り、避けることができないように思います。

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 関連記事を転載します。

◆2019年12月25日 日本経済新聞(共同通信)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53773350V21C19A2000000/
ー事前放流促進の検討着手 ダム治水機能向上へ国交省ー

 国土交通省は25日までに、相次ぐ台風・豪雨被害を受け、ダムの治水機能強化に関する有識者会議の初会合を開いた。降雨前に水を放出して災害リスクを下げる「事前放流」促進に向けた具体策を検討し、来年5月に対策を取りまとめる。

 事前放流を巡っては、昨年の西日本豪雨に伴い愛媛県のダムの緊急放流後に下流で犠牲者が出た教訓から、活用を求める声が出ている。

 ただ全国で治水機能を備えたダムのうち、事前放流の実施要領を関係者と取り決めているのは、10月時点で全体の1割程度にとどまっている。利水者との調整に時間がかかるなどの理由だ。台風19号で事前放流が実施されたダムも少数だった。

 有識者会議は、利水に影響を与えずに効果的な放流を実施するため、雨量予測の精度向上や、利水状況に応じた柔軟な放流量の設定方法などを議論する。

 このほか、緊急放流を実施する際の情報提供の改善策も検討する。台風19号では城山ダム(神奈川県)などで開始時間を巡って混乱が生じた。
〔共同〕