多摩の水道用地下水の汚染と横田基地周辺の地下水汚染

 昨年6月、東京都は「多摩地区にある一部浄水場で、水道水から有機フッ素化合物が高濃度で検出されたとして、水源の井戸からのくみ上げを止め」、「水源を川の水などに切り替え」たということです。この情報は朝日新聞の情報公開請求によって明らかになったとのことですが、なぜこれまで公表されなかったのでしょうか?

 朝日新聞は1月6日付の記事で、都内・福生市の横田基地周辺の井戸で、一昨年1月に高濃度の有機フッ素化合物が検出されていた事実も報道しています。同じ有機フッ素化合物が地下水から検出されているのですが、両者には関係があるのかないのか、記事には書かれていません。

 東京都は八ッ場ダムの完成に伴い、これまで多摩地域の自治体で水道水に利用されてきた地下水を切り捨てる政策を進めようとしています。地下水は有毒物質によって汚染されることがありますが、水道水に地下水を利用する場合には、各自治体の水道局が注意深く水質を監視し、地下水汚染だけでなく、土壌汚染の拡大を防ぐ役割も果たしています。河川水より水質のよい地下水の切り捨てが汚染によって一層進む可能性があります。

〈参考ページ〉「東京の地下水問題の経過」(八ッ場ダム計画との繋がり)

◆2020年1月8日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASMDT4S65MDTUUPI006.html
ー東京・多摩の水道で高濃度有害物質 井戸のくみ上げ停止ー

 東京・多摩地区にある一部の浄水所で、水道水から有機フッ素化合物が高濃度で検出されたとして、東京都が昨年6月、水源の井戸からのくみ上げを止めたことがわかった。水源を川の水などに切り替えて濃度を下げたという。専門家は「(検出された値は)すぐ健康に影響が出るものではないが、体内に長く残る」として実態把握の必要性を指摘している。

 都への情報開示請求で公開された文書をもとに取材して判明した。

 検出されたのはペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS(ピーフォス))とペルフルオロオクタン酸(PFOA(ピーフォア))。米国は2016年、飲み水の水質管理の目安となる勧告値を両物質合計で1リットルあたり70ナノグラム(ナノは10億分の1)に設定。1日2リットルを70年飲んでも健康に影響がない値とされる。この勧告値にあたる目標値は国によってばらつきがある。国内に目標値はなく、厚生労働省が今年春をめどに設ける方向で検討している。

 都は、23区を除いた多摩地区(30市町村、一部除く)などで地下水を飲用に使っている。同地区にある浄水所は停止中を含め71カ所で、都は昨年5月以降、過去に濃度が比較的高かった6浄水所で臨時調査を実施。国分寺市にある東恋ケ窪浄水所で両物質合計で1リットルあたり101ナノグラムを検出した。

 都は、米勧告値の半分(35ナノグラム)を超えないよう管理する方針を独自に決め、府中市にある府中武蔵台浄水所(昨年の臨時調査で60ナノグラム)と、国立市にある国立中浄水所(一昨年の調査で38ナノグラム)を加えた3浄水所の水源井戸の一部からくみ上げを止めた。

 3浄水所から配水されているのは数万件。都水道局の担当者は「都民の安心を考え、より慎重に対応している」と話す。

 都は05年ごろから多摩地区で両物質の濃度を調査。記録が残る11~18年度、東恋ケ窪、府中武蔵台の両浄水所では濃度に応じて年に1~12回計測し、各年度の最大値は79~150ナノグラムだった。都は、過去に使われたものが分解されず地下水に残っているとみている。発生源について担当者は「わからない」と話す。

◆2020年1月6日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASMDS4Q03MDSUUPI001.html
ー横田基地近くの井戸から有害物質 米の飲用水基準19倍ー

 米軍横田基地(東京都福生市など)周辺で有害物質の漏出の有無を調べるため、都が監視地点に定めている井戸で昨年1月、高濃度の有機フッ素化合物が検出されていたことがわかった。うち1カ所の濃度は、米国での飲み水についての勧告値の19倍の値だった。都によると、検出時、井戸の所有者は飲用に使っていなかったという。

 都は、基地内の地下水の濃度などを明らかにするよう防衛省を通じて米軍に照会したが、回答はないという。朝日新聞が都に情報開示請求し、公開された文書と取材で判明した。

 検出されたのは、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS(ピーフォス))とペルフルオロオクタン酸(PFOA(ピーフォア))。米環境保護局は飲み水の水質管理の目安となる勧告値を、両物質の合計で1リットルあたり70ナノグラム(ナノは10億分の1)と定めている。1日2リットルを70年飲んでも健康に影響がない値とされる。国内では厚生労働省が、米勧告値にあたる目標値を今年春をめどに設ける方向で検討している。

 都福祉保健局は昨年1月、横田基地に近い4カ所の井戸で両物質の濃度を調査。このうち立川市にある井戸で両物質合わせて1340ナノグラム、武蔵村山市にある井戸で同143ナノグラムを検出した。

 同基地では1993年、大規模なジェット燃料漏れが発覚。直後から都は、基地近くで都や個人などが所有する井戸18カ所をモニタリング地点とし、水質を調べてきた。PFOSとPFOAは対象ではないが、これらを含む大規模火災用の泡消火剤が過去に基地で漏出した、と英国人ジャーナリストが2018年12月に報道したことを受け、同局が調べた。