八ツ場ダム年度内完成 国交省見通し 3月29日式典で調整

 今朝の上毛新聞が一面トップで掲載した記事を紹介します。
 上毛新聞は昨年12月21日に、来年度の政府予算案に八ッ場ダムの建設事業費が計上されなかったこと、予定通り今年度で事業が終了する見通しであることをすでに報道していますが、1月6日にNHKが今年度末に八ッ場ダムが完成することを大きく取り上げたこともあり、改めて記事を掲載したようです。
 記事にも書かれているように、事業者の国土交通省からはまだ正式な発表はなく、完成式典の日程を地元と調整しているとの情報が取り上げられています。
写真右=八ッ場大橋(湖面橋)からダム堤を望む。右手に川原湯温泉が移転した打越代替地。1/8撮影。 

 記事の末尾に地元住民の言葉として書かれているように、現地では「道路や施設など年度内に完成しないものも少なくない」状態で、ダム事業が年度内に完了するという雰囲気ではありません。生活再建事業100事業のうち、22事業が今年度中に完了しないことがすでに明らかにされていますが、それ以外にも、ダム湖周辺で終了していない工事が数多くあります。

(ネットでは記事の後半が省略されていますので、紙面より全文を転載します。)

◆2020年1月11日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/185855
ー八ツ場ダム年度内完成 3月29日式典で調整ー

  計画発表から68年が経過した八ツ場ダム(群馬県長野原町)の建設事業について、事業主体の国土交通省が予定通り本年度中にダムを完成させる見通しであることが10日、地元関係者への取材で分かった。同省八ツ場ダム工事事務所は3月29日に記念式典を開く方向で調整している。ダムは水をためて安全性を確認する試験湛水中。現時点で大きな異常は報告されておらず、このままの状況で推移すれば4月から本格運用に移行する。

 八ツ場ダムは昨年10月1日、最終工程となる試験湛水を開始した。台風19号の豪雨で同12日から13日にかけて水位が50メートル余り上昇し、15日に満水(標高583メートル)に到達。その後、水位を下げ、昨年12月12日に最低水位(同536.3メートル)となった。

 現在も最低水位を維持したままダム本体と貯水池周辺の安全確認を続けるとともに、台風19号などで貯水池内に流入した土砂の測量や流木の撤去などを行っている。今後、ダムの運用に支障が出るような問題が確認されなければ、試験湛水が完了し、本格運用に向けた貯水を開始する。

 式典について同省八ッ場ダム工事事務所は「現時点で正式な通知はしておらず、あくまで調整している段階」と具体的な日程についての明言を避けたが、「完成に向けて順調に事業が進んでいる」と説明した。

 ダムの本格運用後は治水や利水といった役割を担うほか、水陸両用バスをはじめとしたダム湖利用など地域の観光資源として期待がかかる。一方で、資材調達が困難な状況が続いていることなどから今春の完成を見込んでいた生活再建事業の一部は延期が決定している。都市部へのアクセスが向上する大柏木トンネル、農産物加工施設、アウトドアレジャー施設など計22事業は完了時期が新年度以降にずれ込む。

 地元住民は「道路や施設など年度内に完成しないものも少なくないので、これで終わりという気持ちにはなれないのが正直なところ。ダムによって壊れた地域の人間関係の修復を含め、本当に完成を祝えるようになるのはまだまだこれから」と話している。

—転載終わり—

写真下=ダム湖は青空が映り込むと青く見えるが、曇ると緑色がかって見える。ダム湖岸では今も工事が続いている。1/8撮影。

写真下=川原湯温泉の移転代替地では、湛水による災害誘発の危険性を防ぐための「代替地の安全対策工事」が1月現在も続いている。対策工事は試験湛水でその効果を確認する必要があるため、本来は試験湛水開始前に終了していなければならない工事。

写真下=八ッ場大橋(湖面橋)から上流側を望む。旧温泉街周辺の大木が切らずに残されたため、水位を下げた湖面から樹冠が水面から出ている。ダム湖観光では遊覧船や水陸両用バスを運航するということだが、水中にはいくつもの橋が撤去されずに残されている。

写真下=ダム湖の水位が下がっているため、旧温泉街の坂道の上の方が水面から姿を見せている。JR川原湯温泉駅と川原湯温泉の打越代替地を結ぶ町道(メタルロード)は建設中。この道路の脇にできる予定の温泉公園も、これから整備する施設の一つ。