「台風19号から3ヵ月 加速する復旧工事」(上毛新聞)

 今朝の上毛新聞が一面トップで、台風19号豪雨による被災地の復旧工事を取り上げています。
 この記事は上毛新聞のサイトでも取り上げられていますが、ネットでは紙面記事のかなりの部分が省略されています。
 利根川沿いの群馬県太田市と大泉町では、市街地の雨水を排水できずに内水氾濫が起きたり、利根川の支川や放水路で水が溢れるなどして、浸水家屋がそれぞれ296棟、123棟に上りました。
 参考までに、台風襲来一か月後の毎日新聞の記事も併せて転載します。

◆2020年1月12日 上毛新聞 (紙面より全文を転載します。)
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/185964
ー台風19号発生から3カ月 加速する復旧工事 豪雨対策に動くー

 群馬県内で4人の死者を出すなど各地に爪痕を残した台風19号の最接近から、12日で3カ月が経過する。道路や河川護岸をはじめ、過去最大規模となった土木被害の現場では、復旧作業や対策工事が加速している。生活圏での災害廃棄物の処理はほぼ完了。住宅の浸水被害が多かった太田市や大泉町では、豪雨時の被害の解消、軽減に向けた対策の検討が始まっている。

廃棄物処理めど 豪雨対策に動く

 嬬恋村大笹の国道144号で崩落した鳴岩橋は、昨年末に盛り土形式の迂回うかい路が造られ、住民らが通行できるようになった。国土交通省は今年の梅雨前の完成を目指して仮橋の工事に取り掛かっている。

 土砂災害で男女計4人が死亡した富岡、藤岡両市の現場では、対策工事に向けた作業が続く。いずれの現場も本年度中に本工事前の応急工事が発注される予定で、本工事は2020年度内の完成を見込んで進められる。

 県のまとめで、道路や河川護岸といった土木被害は707カ所、約315億円に上った。国の補助額が決まる査定が近く完了する見込み。緊急性や重要性が高い箇所は先行して復旧に着手したが、補助額が確定すれば、対応が加速することになる。県水害対策室は「優先順位を考え、県民にいち早く安全安心を提供できるよう進めていく」と説明する。

 21市町村で計2950トンと推計される災害廃棄物の処理は、年度内の完了を目指して作業が続く。県廃棄物・リサイクル課は「生活権のごみは処理がほぼ終わっており、県民生活への影響はなくなっている」としている。

 太田市と大泉町の一部地域では、利根川の水位上昇のため流入できなかった八瀬川からの水があふれたり、市街地の雨水を排水できずに内水氾濫が起きたりしたとみられる。住宅の浸水被害が集中した両市町と県は調整会議を設け、被害防止や軽減に向けた具体的な対策の検討に入った。今年の梅雨前には暫定的な対策をまとめる方針。

 大泉、千代田両町を流れる新谷田川放水路は、利根川に排水しきれず、周辺の住宅で浸水被害を出した。利根川の合流地点での排水能力を向上させるため、県は排水機場のポンプの増設を国に要望している。

◆2020年11月13日 毎日新聞群馬版
https://mainichi.jp/articles/20191113/ddl/k10/040/029000c
ー台風19号1カ月 県民生活いまだ影響 不便な生活、長期化もー

 県内に大きな爪痕を残した台風19号。被害からの復旧は道半ばだ。台風襲来から1カ月が過ぎたが、土砂崩れや水害で被災した住宅の再建は長期化する見込みで、道路や橋といったインフラの復旧も多くは見通しが立たない。鉄道でもJRの一部路線の運行再開時期が未定となるなど、県民生活にいまだに影響している。【鈴木敦子、西銘研志郎、高橋努】

地質調査など必要
 損壊や浸水などの住宅被害は東毛や西毛地域を中心に、計914棟に上る。各地で復旧に向けた動きが本格化する一方、一部地域では避難所や仮設住宅での不便な生活が長期化する恐れも出ている。

 大泉町では今年3月配布のハザードマップで水害の危険性が最も高いとされた寄木戸地区を中心に、住宅123棟、約200世帯が床上・床下浸水の被害に見舞われた。町は被災者支援に向けて、住宅改修や一時避難のための家賃補助など1世帯あたり最大50万円相当の独自支援を決定。約2500万円を予算計上した。

 同地区はパナソニックの工場に近く、外国人住民が多い。被災世帯には外国人も多く、10日にはポルトガル語など外国語による説明会を開いた。町幹部は「住居を建てるには盛り土が必要な場所で、古い町民は水害を恐れて住むのを避けてきた。現在の住民には過去の水害を知らない人が多い」と打ち明ける。

 昨今の気象災害の頻発に、今後も水害の発生が懸念される。村山俊明町長は「予算には限界があり、被害を未然に防ぐ点で、災害の危険が想定される地区には居住を誘導したくない」と話す。ただし多くが民有地で使用制限などの措置は難しいのが実情だ。

 一方、富岡市では土砂崩れが発生した内匠地区や浸水被害のあった鏑川沿岸の住民計30人が、公会堂や市営住宅で避難や仮設生活を続ける。市によると、内匠では土砂崩れの原因調査や復旧に向けた地質調査などが必要で、住宅再建には2年以上かかる可能性もある。

 嬬恋村では住宅10軒が全半壊被害を受け、今も5世帯11人が村営住宅や知人宅で避難、仮設生活を送る。被災住宅の解体工事も終わっていない。上野村でも土砂崩れなどで住宅1棟が倒壊。4人が村営住宅に避難している。県内最多の296棟312世帯の浸水被害が発生した太田市では台風接近時に約2000人が避難所などに逃れたが、市によると全員が帰宅したという。

交通インフラ復旧進む JR吾妻線、見通し立たず
 台風19号の影響は道路や橋、鉄道などの交通インフラにも及ぶ。

 大雨の影響で流された国道144号の鳴岩(なりいわ)橋(嬬恋村)。県管理の国道だったが、今回、法律に基づく「非常災害」決定を受けて、国が復旧事業を行う。工事は8日から始まったが、工期のめどは未定。13日に国土交通省や県、嬬恋村による協議会で詳細が決まる。国交省関東地方整備局高崎河川国道事務所は「できるだけ早く復旧させたい」としている。

 県によると、県や市町村が管理する道路、橋、河川などへの被害は10月25日現在、計764カ所が確認された。だが、まだ測量調査などを実施中で、本格的な復旧作業には時間がかかる見込み。現段階では完了時期は未定という。

 鉄道は徐々に復旧が進む。橋脚の安全点検のために運転を見合わせているJR八高線の北藤岡(藤岡市)―寄居(埼玉県寄居町)間は今月下旬に運転再開の見込み。一方、吾妻線は大量の土砂流入などで長野原草津口(長野原町)―大前(嬬恋村)間の再開時期の見通しが立たず、地元自治体がJR東日本に早期復旧を要請。同社からは「一生懸命取り組む」との説明があったにとどまったという。