八ッ場ダム等の建設に反対してきた私たちは、水害対策として巨大ダムよりはるかに有効で費用もかからない耐越水堤防工法の導入を訴えてきました。日経コンストラクション2月24日号が「消された堤防」というタイトルの特集で、この耐越水堤防工法を大きく取り上げています。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00085/
特集はSTORY 1からSTORY7からなり、スーパー堤防の弱点や耐越水堤防工法がお蔵入りになった経緯も含め、様々な角度から耐越水堤防工法を取り上げていて、大変参考になります。なかなかの力作です。一般のネットでは各STORYの前半しか読めませんが、情報としてお知らせします。
STORY 1 もう越水破堤から目を背けられない
STORY 2 性能見えぬスーパー堤防
STORY 3 頭や尻を隠して破れにくい堤防に
STORY 4 先端堤防は30年前に存在
STORY 5 設計指針から消えた幻の堤防
STORY 6 リスクだけ切り取られた越水実験
STORY 7 堤防の進歩を止めた時間と向き合え
先日、お伝えしたように、2月14日の国土交通省「第1回 令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会」は耐越水堤防工法を取り上げました。
⇒参照ページ https://yamba-net.org/wp/50321/
国土交通省は2000年、越水破堤を防ぐ耐越水堤防工法の全国への普及を目指して関係機関に通知したにもかかわらず、この工法を採用すれば川辺川ダムが必要なくなるとの意見が公の場(2001年)で出され、注目されると、ダム反対運動に利用されることを恐れてか、2002年に通知を撤回し、この工法をお蔵入りにしてしまいました。しかし、台風19号以降の動きをみると、国土交通省は従来の姿勢からかなり変化してきたように思います。
台風19号による洪水では、国管理河川の12箇所、県管理河川の128箇所で堤防決壊が発生しました。国土交通省も封印してきた耐越水堤防工法の検討を始めたようです。日経コンストラクションが特集号を組んだのも、そのような流れがあるからではないでしょうか。