さる6月20日(土)17:30~のTBS『報道特集』で、石木ダム問題の番組「ダム予定地に生まれて」が放映されました。
この番組は九州で放映されたドキュメンタリー「ダム予定地に生まれて」を短縮したものです。
元の番組はこちらでご覧いただけます。
https://www.dailymotion.com/video/x7ud51q
「ドキュメンタリー傑作選・ダム予定地に生まれて 0110 202006080155」
報道特集の番組案内
https://www.nbc-nagasaki.co.jp/tv-topics/200527/
去年、石木ダム建設に反対する地元住民13世帯の家や田畑が強制収用されました。
事業が計画されたのは半世紀前。水没予定地に暮らす住民達は先祖代々の土地を手放せないと立ち退きを拒んできました。
事業を推進する長崎県との対立で日常のほとんどが抗議活動に染まっています。
強制収用された今も13世帯およそ50人が暮らす川棚町川原地区の半世紀を描く。
長すぎる公共事業がもたらすものとは。
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ダム予定地住民の苦悩を伝えた番組は大きな反響を呼び、石木ダムを初めて知ったという視聴者も少なくないようです。
俳優の伊勢谷友介さんの以下のツイートに対しては、昨年10月の台風の際、八ッ場ダムが首都圏を救ったという自公政治家のアピールを根拠に、洪水を防ぐ石木ダムに反対するなどとんでもないとの批判も見られます。
必要のないダム作り、日本はまだやっています。この計画は自然を壊し、里山を壊すだけじゃなく、利用する人間にとっても必要のない水量を確保して、大量の税金が投じられる。
こんなにも誰もが得しない計画は実行すべきじゃない。 https://t.co/nfMshgjTZh— 伊勢谷友介 《座右の銘☞挫折禁止》 (@Iseya_Yusuke) June 22, 2020
昨年の台風の際、八ッ場ダムが利根川の水位低減に及ぼした効果はきわめて限定的で、八ッ場ダムが首都圏を救ったという事実も科学的根拠もありません。利根川流域一都五県という広域の問題である八ッ場ダムより、長崎県一県だけの石木ダムの場合はさらに、ダムの不要性がわかりやすいと思います。
石木ダムの建設目的は利水(佐世保市の都市用水の供給)と治水(川棚川の洪水調節)ですが、いずれも不要であることを示すデータを紹介します。
図の作成は嶋津暉之さん(元・東京都環境科学研究所研究員)です。
以下の図は、佐世保市の水需要の実績と予測を比較したものです。実績はほぼ減少の一途を辿ってきているのですが、佐世保市は実績と乖離した架空の水需要予測を根拠に、石木ダムが必要だと主張しています。
次の図は、川棚川流域における石木ダムの位置を示したものです。石木ダムが建設される石木川は、川棚川の最下流で合流する、小川のような小さな川です。石木ダムの建設目的は川棚川の洪水調節ですが、石木ダムで対応できるのは川棚川流域の4~5%に過ぎません。川棚川の治水対策として行うべきことは、河道整備や内水氾濫対策であって、石木ダムの建設ではありません。