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西日本豪雨から2年、仮設暮らし今も4300人 生活基盤の支援課題

 地球温暖化の影響か、このところ毎年のように大水害が発生しています。
 総務省消防庁などによると、一昨年の西日本豪雨では、災害関連死を含めて14府県で計296人(今月5日現在)の犠牲者が出ているとのことです。
 誰もが被災者になる可能性がありますが、二年目を迎える被災地の現状を伝える報道からも、被災者をサポートする仕組みがきわめて貧弱であることが伝わってきます。

◆2020年7月4日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200706/k10012497941000.html
ー西日本豪雨から2年 仮設暮らし今も4300人 生活基盤の支援課題ー

 西日本を中心とした豪雨災害から6日で2年です。死者・行方不明者305人のうち、災害後に亡くなった関連死と認定されたのは、この1年で22人増えて74人にのぼり、今も4300人が仮設住宅などでの暮らしを余儀なくされていて、生活の基盤をどう支援していくかが課題となっています。

 おととし7月の西日本豪雨では、四国・中国地方を中心に土砂災害や川の氾濫、浸水の被害が相次ぎました。
 NHKが全国の自治体に取材したところ、今月1日現在、死者・行方不明者は特に被害が大きかった広島県や岡山県、それに愛媛県など14の府県で305人でした。
 死亡した296人のうち、土砂災害や川の氾濫など直接的な被害で亡くなったのは222人で、災害後に亡くなった災害関連死と認定されたのは74人と去年より22人増えました。
 県別に見ると広島県では死者が149人でこのうち災害関連死が40人、岡山県では死者が89人でこのうち災害関連死が28人、愛媛県では死者が33人でこのうち災害関連死が6人となっています。

 また、仮設住宅やいわゆる「みなし仮設」での暮らしを余儀なくされている人は9つの府県の1885世帯4300人にのぼっていて、岡山県では1310世帯3058人、広島県では257世帯589人、愛媛県では268世帯562人などとなっています。
 自宅を再建できず復興の遅れが懸念されるほか、孤立や体調の悪化を訴える被災者もいて、生活の基盤をどう支援していくかが課題となっています。

◆2020年7月4日 毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/b0211a78a46320e19744831cc2296374de1d1bb9
ー西日本豪雨2年 岡山、広島、愛媛3県でいまだ4000人超が仮設住宅暮らしー

 平成最悪の水害となった2018年7月の西日本豪雨から6日で2年を迎える。特に被害の大きかった岡山、広島、愛媛各県では自宅再建や災害公営住宅への入居が一部で進むものの、毎日新聞のまとめでは3県の計26市町で1774世帯4069人が6月末時点で仮設住宅での暮らしを続けている。世帯数はピーク時の4割以下に減ったが、生活再建の見通しが立たないまま仮設暮らしが長期化する懸念があり、きめ細かい支援が求められる。

 仮設住宅の入居期間は原則2年だが既に1年間延長がされ、やむを得ない事情がある場合に利用を続けられる。再延長もできる。

 仮設入居者が最も多いのは岡山県で、10市町に1281世帯2992人。住宅地や市街地が広範囲に浸水した倉敷市真備町地区がある同市が全体の9割以上を占める。広島県は11市町に208世帯466人。愛媛県は5市に285世帯611人。仮設住宅には、災害後に造られる建設型のほか、民間賃貸住宅を借り上げて提供する「みなし仮設住宅」があり、3県ともみなしの利用者が多い。

 仮設後の恒久的な住宅としては、自力での住宅確保が難しい人向けに自治体が整備し低家賃で提供する災害公営住宅があるが、3県で計画されているのは350戸(岡山は市営住宅転用分を含む)にとどまる。広島県では坂町で既に85戸が完成し入居が始まっており、呉市で7月末に44戸の完成が予定されているが、岡山県や愛媛県では大半の入居時期が年末から来春以降となる見通しだ。

 ◇災害関連死、3県で昨年比21人増の74人に

 総務省消防庁や関係自治体によると、西日本豪雨では直接死で14府県の222人が死亡、住宅1万8000棟余りが全半壊した。災害関連死は岡山、広島、愛媛の3県で昨年より21人増の74人で、直接死と合わせ犠牲者は少なくとも296人となった。【柳澤一男】

◆2020年7月5日 山陽新聞
https://www.sanyonews.jp/article/1028144/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
ー岡山県内1281世帯仮設暮らし 西日本豪雨発生から2年ー

 岡山県内に戦後最大級の水害をもたらした西日本豪雨は6日、発生から2年となった。県内の被災地では、仮設住宅を出て元の住居に戻る人が相次ぐ一方、今も1281世帯2992人が仮設での暮らしを強いられ、さらにその半数を超える711世帯は原則2年の入居期限内に退去できないとして延長を希望している。月日の経過とともに、生活再建への歩みに格差が広がっている。

 政府は昨年12月、西日本豪雨の被災者が暮らす仮設住宅の入居期限について1年の延長を閣議決定。だが、岡山県内ではその1年が経過した後も約30世帯は資金難などで退去できない見通しであることが県の調査で判明している。期限が何度も延長された2011年の東日本大震災では、仮設住宅での独居高齢者の孤独死が社会問題化しており、心身のケアや孤立を防ぐ取り組みも求められそうだ。

 岡山県によると、6月末現在で自治体が民間住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」に1146世帯2706人、倉敷、総社市に整備された建設型仮設住宅(計312戸)に135世帯286人が入居。被害の大きかった真備町地区のある倉敷市が計1185世帯と9割余りを占める。既に仮設住宅を退去したのは2293世帯で、その8割が被災前の場所に自宅を再建したとみられる。

 一方、入居の延長を希望している711世帯のうち、6月末までに延長申請が認められたのは598世帯。申請の理由は「期限内に自宅を再建できない」が最多の349世帯、次いで「希望する公営住宅が建設、修繕中」が166世帯、「希望する条件の民間賃貸住宅が見つからない」が83世帯だった。新型コロナウイルスの影響で家屋の再建や修繕が進まず、延長を余儀なくされたケースは少なくとも50世帯に上る。

 西日本豪雨の他の被災地では、広島県で257世帯589人(今月1日現在)、愛媛県で285世帯611人(6月末現在)が依然として仮住まいで、広島県は100世帯弱、愛媛県は6~7割が期限内の退去は困難としている。

 総務省消防庁などによると、西日本豪雨の犠牲者は災害関連死を含めて14府県で計296人(今月5日現在)で、岡山県は89人(うち災害関連死28人)、広島県は149人(同40人)。岡山県で3人、広島県で5人の行方が分かっていない。

◆2020年7月6日 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070600090&g=soc
ー仮設暮らし、消えぬ不安 自宅再建に迷い、コロナも影響―岡山・真備ー

 甚大な被害をもたらした西日本豪雨から2年。堤防が決壊し、全域の3割が浸水した岡山県倉敷市真備町地区の住民のうち、今も約2800人が市内外の仮設住宅で暮らす。入居期限は2年、自宅をどうするか―。住民は将来の不安を抱えながら、選択を迫られている。

 真備町岡田の岡田仮設団地は2018年9月に完成した。全25戸のうち入居中は6月末で8戸。年金生活という男性(65)は、母親(89)と2人で暮らす。入居期限は来年9月まで1年間延長が認められたが、次に住む場所の見通しは立っていない。

 自宅を再建するには2000万~3000万円かかる。来春完成の災害公営住宅は被災した家屋を解体することが応募の条件だが、男性は自宅を壊す決断ができなかった。被災当時のままの家に、今も週に数回、家具や小物を洗いに戻る。「今心配なのは被災者の医療費免除が6月いっぱいで打ち切られたこと。新型コロナウイルスの影響もあり、なかなか相談する相手もいない。早くゆっくりできる所で生活したい」と不安をにじませた。

 同じ仮設団地に1人で暮らす花田茂さん(80)は、新型コロナの影響で輸入建築資材が手に入らず、自宅の補修工事が休止になった。9月の退去を1年延ばしたが、仮設団地で楽しみにしていた住民参加の「サロン活動」も4月から全面中止に。茶話会などいろいろな交流イベントがなくなり、「誰とも話さない日もあった。先が見えなかった」と振り返る。

 6月に入り、サロン活動は徐々に再開。16年前からの趣味という四国遍路のツアーも今月から再開される。入居期限までに自宅の補修工事が終わるか分からず、不安は残る。それでも花田さんは「またみんなに会える」と笑顔を見せた。

◆2020年7月6日 共同通信
https://this.kiji.is/652772043622433889?c=39550187727945729
ー西日本豪雨の被災地、人口減続く 岡山・真備は1年前から微増ー

 2018年7月の西日本豪雨で、広範囲が浸水した岡山県倉敷市真備町地区の人口が1年前と比べると微増したことが分かった。一方、広島県や愛媛県の被災地では、ペースは落ちたものの人口減少が続いている。子育て世代の転出が目立ち、局所的な高齢化が進むことが懸念される。

 集計は住民基本台帳人口に基づき、被災前の18年6月末と昨年6月末、今年6月末を比較した。住民票を残し、移動した住民もいるとみられる。

 真備町地区では2万2797人だった人口は昨年6月末、9.8%減の2万573人にまで落ち込んだ。だが今年6月末は2万686人で、この1年で113人増えた。