山形県の最上小国川ダム、竣工式

 山形県が最上川の支流で建設を進めてきた最上小国川ダムが完成し、昨日8月3日に竣工式が開催されたとのことです。
 山形県では7月29日、梅雨末期の豪雨で最上川が氾濫し、流域で甚大な水害となりました。3日時点の山形県のまとめによると、浸水被害などを受けた住宅は698棟に上るということです。
 最上小国川ダムは最上川の支流、最上小国川に計画され、2015年2月に本体工事が始まりましたが、最上小国川がわが国屈指の清流であることから、ダム建設による河川環境の悪化を懸念する声が大きく、2014年にはダム建設に反対していた漁協組合長が自死するという痛ましい経緯がありました。山形県は最上小国川ダムを治水専用の穴あきダムとし、沼澤組合長が亡くなると一気にダム建設のレールが敷かれました。
 最上小国川ダムは最上小国川の流域にある赤倉温泉街を洪水から守ることを名目としていますが、その中身は欺瞞に満ちており、利権ありきのダム事業であったことは明らかです。

 今回の最上川の氾濫では、最上小国川と最上川の合流点の下流でも水害が発生していますが、以下の日経新聞によれば、山形県は最上小国川ダムの治水効果が期待できるのは最上小国川流域の赤倉地区などに限定され、最上小国川の下流域ですら治水効果は期待できないようです。昨年10月の台風豪雨では、赤倉地区の水位を13cm下げたと書かれていますが、それだけの治水効果であれば、河川環境に影響の少ない安価な河川改修ではるかに有効な治水対策が行えたはずです。

◆2020年8月3日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62235170T00C20A8L01000/
ー山形・最上小国川ダムが竣工 30年越し、反対運動もー

 山形県は3日、最上小国川ダム(最上町)の竣工式を開いた。下部に2カ所の穴があり、通常時はダムに水をためない東北では初めての流水型ダム。県が管理する13番目のダムで規模は最も小さいが、激しい反対運動があり現在も裁判が続いている。吉村美栄子知事は式典で「流域は幾度も浸水被害が発生したが、ダムで治水能力が大きく向上した」と述べた。

 1991年度に調査を始め、2012年度に着工。88億3000万円の事業費をかけ今春完成した。普段は水をためないため「水質の悪化を抑えられる」(県最上総合支庁)という。小国川漁業協同組合(舟形町)が最上町や県と協定を結び流木を除去するなど、「地元も一体となって水質保全に取り組んでいる」(最上町の高橋重美町長)という。

 反対運動を巡っては板挟みとなった小国川漁協の組合長が2014年に自殺するなど曲折があった。式典で唯一、過去の経緯に触れた自民党県選出の加藤鮎子衆院議員は「大変な曲折があったにせよ、後世に感謝されるダムになると思う」と述べた。同漁協の高橋光明組合長は「複雑な思いもあるが、アユの生育に影響はでていない」と語った。

 建設に反対するグループは河道改修などダムに頼らない治水を求めていた。一方、県は2キロメートル下流の赤倉地区は川沿いに温泉街があり、源泉への影響などもあり改修は難しいとしていた。吉村知事は式典後、記者団に対し、「(反対の声は)心外な思い。最近の雨は尋常ではなく、治水ダムという仕組みは必要。環境にも配慮している」と理解を求めた。

 ダムは完成前の19年10月に発生した台風19号による大雨で約20万立方メートルの洪水を貯留。流量を約3割減らし、赤倉地区の水位を13センチメートル下げたという。また、式典では7月下旬の最上川が氾濫した豪雨にも効果があったという声もあり、かつての「脱ダム」の動きに対し、ダムの成果を示す発言が目立った。

 ただ、7月下旬の大雨の際、ダム周辺の降水量は県内他地域ほど多くはなかったといい、「ダムが洪水調整機能を発揮する流量はなかった」(県最上総合支庁)としている。また、ダムが治水対策として効果があるのは赤倉地区などで、他に支流が流れ込む下流域は河川改修で洪水対策を進めている。

◆2020年8月4日 朝日新聞山形版
https://digital.asahi.com/articles/ASN836WGKN83UZHB00P.html?iref=pc_ss_date
ー最上小国川ダム、完成式 賛否割れた事業に区切りー

  最上小国川の治水を目的とする最上小国川ダム(山形県最上町富沢)の完成式が3日開かれ、吉村美栄子知事や流域の2町長、地権者ら約100人が出席した。県が1991年度に調査を始め、天然アユのすむ清流の環境保全を巡り賛否が割れた事業は、反対派の起こした訴訟が終結しないまま区切りを迎えた。

 県管理ダムとしては13基目となる最上小国川ダムは堤高41メートル、総貯水量230万立方メートル。全国で5基目、東北地方では初という「流水型」で、二つの穴が開いていて水をためず流れを妨げないため、環境への負荷が少ないという。

 2012年度に着工し、今年4月に運用を始めた。事業費は88億3千万円で、国が半分以上補助した。

 最上小国川は最上、舟形両町を通り最上川に合流する約45キロの1級河川。流域面積は約401平方キロ。川沿いの赤倉温泉街(最上町)が洪水被害を繰り返し受けてきたため、対策を検討。河道掘削などは源泉への影響が懸念されたため、ダムの建設を決めた。県は昨年10月の台風19号では、ダムがない場合に比べ水位を約13センチ下げる効果があったとしている。

     ◇

 赤倉温泉で旅館を営む建設促進期成同盟会長の柴田真利さん(69)は「安心が一番であり感無量。観光地の一つとして『生きたダム』にしたい」と喜んだ。

 建設に反対した前組合長が2014年に自殺した後、総代会で賛成多数となった小国川漁協(舟形町)。高橋光明組合長(70)は「大先輩が亡くなったわけだから、一言で喜ぶのは控える。県や町、漁協が手を組んで河川をきれいにし、清流を永遠に守ることが大事だ」と話した。

 地元住民や研究者でつくる「最上小国川の清流を守る会」の会員らは12年、建設が違法だとして、県を相手取って住民訴訟を起こした。一、二審は訴えを退けたが、原告団は7月10日に最高裁に上告。同会の共同代表を務める原告団長の高桑順一さん(74)は「アユの産地にどんな影響が出るのか、懸念はぬぐえない。水質の変化などを粘り強く検証していく」と話した。

 一方、吉村美栄子知事は報道陣の取材に「流域に住む方の安全を守るのが県政の使命。そのところをご理解いただきたい」と述べた。(上月英興、西田理人)

◆2020年8月3日 NHK山形放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20200803/6020007683.html
ー最上小国川ダム竣工式ー

 県が最上町などの治水対策として建設した、最上小国川ダムの竣工式が、3日、行われました。

 最上小国川ダムは、温泉街がある最上町の赤倉地区などを水害から守るため、県が平成27年から建設を始め、ことし3月に完成、4月から運用を開始しています。
 周辺施設がほぼ完成したことから、3日、竣工式が行われ、県や町の関係者およそ100人が参加しました。
 式では、吉村知事が「このダムで水害が減り、地域の発展の礎になることを願っています」とあいさつしたあと、テープカットなどで完成を祝いました。

 最上小国川ダムは、貯水量が最大230万立方メートルで、平常時は、生息するアユへの影響を懸念してきた地元の漁協に配慮し、水を貯めずにそのまま流す構造になっています。
 最上町の高橋重美町長は「長年の懸案だったダムの竣工を迎え、大変嬉しい。安心安全を土台にして町を発展させていきたい」と話していました。
 地元の漁協の高橋光明組合長は「心配していた水の濁りもありませんでした。これからは町とともに清らかな川づくりに取り組んでいきたい」と話していました。

 ダムの建設をめぐっては、「環境への影響が大きい」として地元住民などが建設は違法だなどとして裁判を行っていて、1審に続き住民側の訴えを認めなかった仙台高等裁判所の判決を不服として上告しています。

◆2020年8月3日 さくらんぼテレビ
https://news.yahoo.co.jp/articles/e58d9067d4a318cd0da8150ce7e88184070e9441
ー最上小国川ダム竣工式 東北初の「流水型ダム」 治水機能に大きな期待 山形・最上町ー

 山形県最上町に完成した最上小国川ダムの竣工式が3日に行われました。去年の台風や先月の大雨では早速、治水の役割を果たし、住民の期待も大きくなっています。

 最上小国川ダムは全国では5番目、東北では初めて建設された「流水型ダム」です。高さ41メートル、長さ143メートル、貯水量は210万立方メートルで、今年3月に完成し、4月から運用が始まっています。

 「流水型ダム」は洪水の時だけ水を貯め、川の増水を抑える役割を担っていて、去年10月の台風19号では、完成していなかったものの20万立法メートルの水を貯留し、赤倉地区の浸水被害を防止したほか、先月の記録的な大雨でも治水の機能を発揮しました。

 竣工式には関係者が出席し、吉村知事が「流域に暮らす住民の安全安心の実現に向け引き続き治水対策に万全を期していきたい」とあいさつし、最上・舟形の両町長などとテープカットして完成を祝いました。

(最上町・高橋重美町長)
「(先月の大雨も)ダムがあったが故に治水効果があった。最上町・舟形町の安心安全に向け一層頑張っていきたい」

 自治体と漁協で構成する「最上小国川清流未来振興機構」はダム周辺を森林浴などができる憩いの空間に整備することを検討していて、赤倉温泉やスキー場など他の観光資源と連携して地域の活性化にどうつなげるかが今後の課題となっています。