八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム利水放流

 八ッ場ダムを管理する国交省利根川ダム統合管理事務所は8月20日、利根川下流域の利水(水道用水、工業用水等)の補給のため、八ッ場ダムは毎秒10立方メートルの放流を実施していると発表しました。
 八ッ場ダムにおける利水補給のための放流は、今年4月の運用開始後はじめてとのことです。
(右画像=利根川ダム統合管理事務所HPより「最新のお知らせ」をクリック)

 八ッ場ダムは洪水期が始まった7月1日時点では2700万㎥を貯水していました。この貯水量は、6月30日までの非洪水期の貯水率としては約30%でしたが、7月1日からの貯水率としては100%でした。
 今年7月は梅雨がなかなか開けず、雨が降り続きました。その後も八ッ場ダムは貯水率100%を維持し続けましたが、8月に入ると雨が降らず、猛暑が続き、利水放流が始まった8月20日以降、貯水量が減り始め、8月27日には湖面の水位が低下したためとして、水陸両用バスが運休となりました。

 先週末からようやく雨が降り始めましたが、八ッ場ダムの貯水量は減り続けており、9月1日15時現在、貯水量は2144.5万㎥、貯水率は85.8%に下がっています。
右画像=利根川ダム統合管理事務所HP 八ッ場ダムライフ情報より 

★9/3追記
 八ッ場ダム貯水池の水位は9/2に下げ止まり、9/3に9月4日より運行再開と発表されました。
 https://naganohara.com/news/nyagaten-unkyu/
 

◆2020年8月29日 読売新聞群馬版
https://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20200828-OYTNT50116/
ー八ッ場で利水放流 少雨の影響受けー

ダム湖の水位低下で水陸両用バスも運休
 利根川下流域の水道水などの補給を目的に、八ッ場ダムで放流が行われている。今月の県内は雨量が非常に少ない状態が続いている。同ダムの運用が4月に始まって以来、利水目的の放流は初めてだ。放流でダム湖「八ッ場あがつま湖」の水位が下がったことから、地元の長野原町が導入した水陸両用バスは運休を強いられている。

 前橋地方気象台によると、県内の8月の降水量は27日時点で835・5ミリと、過去5年の平均(3857・1ミリ)の約22%にすぎない。大陸からのチベット高気圧が今月上旬から強まり、太平洋高気圧の上に重なっていることが少雨の要因という。

 9基のダムを管理する国土交通省利根川ダム統合管理事務所(前橋市)によると、8月初めの梅雨明け以降、利根川上流域でも降水量が例年に比べて少なく、下流域の流量が減少している。このため八ッ場ダムは20日から毎秒10トン以上の放流を開始。28日現在の水位は、大雨などに備える洪水期制限水位(標高555・2メートル)を下回った。

 関係機関による節水の呼びかけは行われていない。しかし、放流による水位低下の影響で、水陸両用バス「八ッ場にゃがてん号」は、湖に入るための坂道に泥が付着して再上陸が難しくなっており、町は安全面を考慮して27日からの運休を決めた。バスツアーは、町が日本水陸両用車協会に委託して7月18日に始まった。車上でダムを案内後に湖面に入り、陸に戻る約80分のツアーは、1日5回行われ、連日ほぼ満員だった。

 同事務所は当面、放流を続ける予定だ。町の担当者は「治水や利水といったダムの機能が最優先なので、運休は仕方ない。雨量が少なければ最悪の場合、11月末までの今季のツアーは断念せざるを得ない」と話している。

—転載終わり—

写真=八ッ場ダム放流中。

写真=水没地の川原湯温泉周辺の雑木林は伐採されずに残されたため、水位が下がると枯れ木が姿を現す。撤去されずに残された橋や樹木は、水位が下がると水陸両用バスの運航の妨げになるという。湖面橋の手前の緑地の斜面に水陸両用バスが入出水するための坂道がある。