令和2年台風19号の多摩川水害、被災住民ら川崎市提訴へ

 昨年10月の台風19号では、多摩川下流部の両岸でかなりの氾濫がありました。右岸側は神奈川県川崎市、左岸側は東京都の世田谷区と大田区です。
 右岸側の川崎市側では、川崎市に損害賠償を求める集団訴訟の準備が進められています。

◆2020年8月30日 神奈川新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/13e50affb7094279561a0ef2db1b3626fa9ea81f
ー川崎の台風浸水、被災住民ら市提訴へ 多摩川水門操作の責任追及ー

 昨秋の台風19号による大雨で多摩川の水が排水管を逆流して市街地にあふれ出た川崎市の浸水被害を巡り、被災した住民らが30日、年内にも市を相手に、建物の修理費や慰謝料などの損害賠償を求めて提訴する方針を明らかにした。住民らは、逆流を防ぐための水門の閉鎖措置を行わなかった市の判断に対して、責任を追及する構えだ。

 同市中原区の中原市民館で開かれた被災住民向けの学習会で、代理人の西村隆雄弁護士が具体的な方針を示した。住民らは、浸水被害を受けた建物の修理費や家具・家電などの損害額、避難するために必要になった費用に加え、精神的苦痛を受けたとして1人当たり100万円の慰謝料などを市に請求する。

 浸水被害を巡っては、市が内水氾濫を防ごうと排水管の水門を閉めず、市内5カ所で逆流現象が発生。市の関係部局でつくる検証委員会は4月の最終報告で、逆流が確認された際は水門を全閉すると従来の操作手順を改定する方針を打ち出した。ただ今回は想定以上に多摩川の水位が上昇したとして、対応に瑕疵(かし)はなかったと結論付けた。

 西村弁護士は「台風19号の勢力が相当強いことは事前から呼び掛けられており、逆流の危険性があることは十分予測できた」と指摘。「全開の維持」の原則を見直した新しい水門の操作手順については、「ゲ-トを閉めなかった責任を、市が自ら認めているに等しい」と語気を強めた。

 学習会は市民団体「台風19号 多摩川水害を考える川崎の会」が主催し、被災住民ら約60人が参加。同会事務局で、自宅が浸水した男性(68)=同区=は「私たちが提訴せざるを得なくなるまで市は責任を認めず、怒り心頭。50~100人規模の集団を目標に、一つになって闘っていきたい」と力を込めた。

 今後は、台風襲来から1年を迎える10月12日に、被災住民らで集会を開くなどして原告を募り、年内の提訴を目指すという。

◆2020年9月1日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/52367
ー台風19号「水害は人災」 被災者グループが川崎市に賠償請求へー

 昨年10月の台風19号による浸水被害は「人災だ」として、川崎市内の被災者グループが30日、同市中原区内で開いた集会で、川崎市に損害賠償を求めて年内にも提訴する方針を明らかにした。今後、中原区や同市高津区で相談会を開催し、原告団への参加を働きかけるという。
 集会を開いたのは、「台風19号多摩川水害を考える川崎の会」。事務局の船津了さんが約60人の参加者を前に、約7600人分の請願署名や要望書を提出してきた経緯を説明し、「市は責任を回避する答弁を繰り返すだけ。司法に訴えるしかない」と語った。
 昨年の浸水被害は、多摩川河川敷の山王排水樋管(中原区)など、市が管理する排水ゲートを通じて、増水した多摩川の泥水が、武蔵小杉駅周辺などの市街地に逆流したとされる。

 集会で、西村隆雄弁護士は「今回の水害は、ゲートを閉めないという市の判断の誤りの結果だ。想定外の自然災害ではなく人災」と指摘。1999年に和解が成立した川崎公害訴訟の経験も踏まえて「集団訴訟を勝ちきるには大きな原告団が必要」とも語った。
 訴訟では、真相究明とともに損害賠償などを求める方針で、10人近くの弁護団を結成する準備に入っていることも明らかにした。
 台風被害から1年になる10月12日にも、中原区上小田中のエポックなかはらホールで集会を開催予定という。問い合わせは、事務局の船津さん=電044(434)4290=へ。(石川修巳)