川辺川ダム、水没地抱える五木村に「不安と動揺」市民団体、知事に意見書

 7月4日の球磨川水害を機に、中止された川辺川ダム計画が蘇ろうとしています。
20200910itsuki_ikenshoのサムネイル 川辺川ダムで村の中心部が水没することになっていた熊本県五木村は、長年ダム事業に翻弄され、「苦難と対立の歴史」を歩んできました。五木村は熊本県の支援を受けて、水没予定地を活用した地域振興策を進めてきましたが、ダム計画復活の兆しがある中で、村の住民たちは再び悩ましい状況に追い込まれているということです。
 このほど、「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」と「美しい球磨川を守る市民の会」が川辺川ダムの水没予定地だった五木村に関する意見書を熊本県に提出しました。

 意見書全文は右の画像、あるいは以下のURLをクリックするとご覧いただけます。
 http://kawabegawa.jp/2020/20200910itsuki_ikensho.pdf

 関連記事をお伝えします。

◆2020年9月10日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20200910/5000009970.html
ー「知事発言で混乱」意見書提出ー

 記録的な豪雨で氾濫した球磨川の治水対策をめぐり、蒲島知事が川辺川ダムの建設も選択肢に含める考えを示したことについて、熊本市の市民団体が10日、「知事の発言は住民が集団移転した五木村の村民に混乱と戸惑いをもたらしている」などとして慎重な対応を求める意見書を県に提出しました。

 意見書を提出したのは、「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」のメンバーなど4人です。

 意見書では蒲島知事が、記録的豪雨で氾濫した球磨川の治水対策に、川辺川ダムの建設も選択肢に含める考えを示したことについて、「村民の間に混乱と戸惑いをもたらしている」として蒲島知事に慎重な対応を求めています。

 そのうえでダムの建設計画で、村では過去に反対運動や裁判闘争などが起こったことから「村民たちは、ダムに頼らない将来への地域づくりを行っている。ダムによって村を再び翻弄させ、対立を招くべきではない」としています。

 県の担当者は「知事に届けたうえで、対応を協議する」と答えていました。

 市民団体の代表、中島康さんは「『また犠牲になるのか』といった声が、村民から出始めている。国や県などは、その声をしっかり聞き、議論を進めるべきだ」と話していました。

◆2020年9月11日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASN9B6T5XN9BTLVB00C.html
ー川辺川ダム「地域に混乱・対立」市民団体、知事に意見書ー

 川辺川ダム建設計画に反対してきた市民グループが10日、ダムの水没予定地だった五木村に関する意見書を熊本県に提出した。ダム計画は地域社会に不要な混乱や対立をもたらすとし、蒲島郁夫知事に慎重な姿勢で臨むよう要望している。

 提出したのは「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(中島康代表)と「美しい球磨川を守る市民の会」(出水晃代表)の2団体。

 意見書では、蒲島知事が「(川辺川ダムも)選択肢の一つ」と発言したことについて「五木村民の間に大きな不安と動揺をもたらした」と指摘。地球温暖化時代の大水害に対してダムや堤防による水害対策は限界があるとし、「流域全体で水害リスク対策を考え、幅広い視点から川と地域を捉える必要性」を強調した。

 中島代表は「(知事がダム計画を白紙撤回した)12年前の大英断をもう1回考えてほしい」と話した。(伊藤秀樹)

◆2020年9月11日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1597549/
ー「五木村翻弄するな」 ダム反対派、知事に意見書ー

 7月の豪雨災害を受けた熊本県の球磨川流域の治水対策について、川辺川ダムに反対する二つの市民団体が10日、蒲島郁夫知事に対し、「ダム建設の最大の犠牲者は中心部が水没する五木村。村を再び翻弄[ほんろう]してはいけない」とする意見書を提出した。 
 「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(熊本市)と「美しい球磨川を守る市民の会」(八代市)の2団体。県は現在、国や球磨川流域12市町村長と共に委員会を設け、今回の豪雨災害を検証している。

 意見書は、12年前の県議会で蒲島知事が「ダム建設計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきだ」とした決断を「英断だった」と評価。半面、今回の豪雨後に知事が「ダムも選択肢の一つ」と発言したことが、「五木村民の間に大きな不安と動揺をもたらしている」と危機感を訴えた。
 その上で、流域住民の意見も踏まえた合意形成のプロセスや、情報の全面公開、説明責任を最重視した検証と判断を求めた。
 市民団体側は、被災者の聞き取り調査を実施して結果を県に示すことも目指している。(太路秀紀)

◆2020年9月11日 毎日新聞熊本版
https://mainichi.jp/articles/20200911/ddl/k43/040/269000c
ー九州豪雨 ダム案「五木村混乱」 熊本の団体が県に意見書ー

  7月の九州豪雨で氾濫した球磨川の治水対策で蒲島郁夫熊本県知事が「選択肢の一つ」と発言した川辺川ダム建設計画について、県内の二つの市民団体が10日、「(水没予定地の)五木村に不要な混乱や対立をもたらす」として、慎重な対応を求める意見書を県に提出した。

 熊本市の「子守唄(うた)の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」など。国は8月に県と流域市町村と開いた豪雨被害の検証委員会初会合で「川辺川ダムがあれば、球磨川の同県人吉市のピーク流量が約4割減らせた」とする推計を示したが、団体側は「ダムがあれば水害が防げたかのような結論ありきの検証だ」と批判した。

 また、蒲島知事が2008年にダム計画の「白紙撤回」を表明後に五木村が水没予定地を活用した観光振興に取り組んできたことなどを踏まえ、団体側は「村を再び翻弄(ほんろう)すべきではない」と訴えた。

 一方、五木村議会が10日開会し、木下丈二村長は「より具体的なデータが示される2回目以降の検証委が重要だと考えており、今後の検証結果や下流域の市町村の動きを注意深く見守りたい」と語った。【城島勇人、清水晃平】