八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

JR吾妻線の廃線利用、吾妻峡の自転車型トロッコ、本格運用開始

 八ッ場ダム事業では、水没地を抱える長野原町だけでなく、ダム堤下流の東吾妻町でも48世帯の住民が道路建設等のために立ち退きを余儀なくされました。このため、東吾妻町でもダム事業による地域振興策が進められています。
 八ッ場ダム事業ではダム建設地と水没地を走っていたJR吾妻線の付け替え工事が行われましたが、ダム堤の下流側では廃線区間がそのまま残されているため、廃線を利用した自転車型トロッコを観光に活かそうとしています。東吾妻町の廃線区間は、名勝・吾妻峡の区間でもあります。
 7月18日から土日・祝日のみ営業していましたが、9月12日から月・金曜日も営業する本格運用が始まったとのことで、昨日は山本一太知事と小渕優子衆院議員も参加・試乗して賑やかなスタートを切りました。山本知事も小渕議員も先代から八ッ場ダムとは深い関わりがあります。

★自転車型トロッコの営業日・営業時刻・予約方法など
 https://agattan.com/eigyou913/
 

 関連記事を転載します。
 上毛新聞は自転車型トロッコの記事の隣のページに、ダム上流の嬬恋村で計画している吾妻線の利用促進プロジェクトを伝える記事を掲載しています。こちらも併せて紹介します。

◆2020年9月13日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200913/k10012615571000.html
ー八ッ場ダム建設で廃線の線路活用 「レールバイク」運行 群馬ー

 群馬県東吾妻町で、八ッ場ダムの建設に伴って廃線になった線路の上を自転車のようにこいで走るトロッコ「レールバイク」の運行が始まりました。

 群馬県にあるJR吾妻線の岩島駅から長野原草津口駅の一部の区間は、八ッ場ダムの建設によって水没するため、6年前にルートが変わり、以前の区間は廃線となりました。

 その廃線となった線路を活用してダム周辺の観光を楽しんでもらおうと、線路の上を自転車のようにこいで走るトロッコ「レールバイク」の運行が、12日から本格的に始まり、住民の代表などが試乗しました。

 コースは2種類あり、このうちの1つは国の名勝になっている吾妻峡の景色を楽しんだり、廃線になるまでは国内で最も短いとされた7.2メートルのトンネルを通ったりすることができます。

 企画した東吾妻町まちづくり推進課の武井幸二課長は、「いろいろな視点から吾妻峡を楽しんで、気分をリフレッシュしてもらえたらうれしいです」と話していました。

 「レールバイク」の運行は、金曜日から月曜日の週4日行われ、利用するには予約が必要だということです。

◆2020年9月13日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/culture/239821
ー「アガッタン」出発進行 自転車型トロッコ運用開始 東吾妻ー

 群馬県東吾妻町が整備した「自転車型トロッコ(愛称・吾妻峡レールバイク アガッタン)」の本格運用が12日、始まった。ダム建設に伴って線路が付け替えられた旧JR吾妻線を活用しており、利用者が自転車をこぎながら景色を楽しめる。記念式典が同日開かれ、関係者が八ツ場ダム(長野原町)周辺の新たな観光の門出を祝った。

◎当面は1.6キロ・45分の「渓谷コース」のみ
 式典で、東吾妻町の中沢恒喜町長は「町の新しい観光資源として皆さんに来てもらえるよう努める」とあいさつ。試乗した山本一太知事は「コロナ禍では、自然を活用したレジャーが時代の流れに合っている」、小渕優子衆院議員は「家族で楽しめる。ガッタンと線路を走るのが実感できる」と感想を述べた。

 トロッコは当面の間、渓谷コース(片道1.6キロ、所要時間45分)のみ運用。国名勝の吾妻渓谷の眺めや、鉄道トンネルで日本一短かった樽沢トンネル(7.2メートル)の通過が楽しめる。

 予約制で1日5回(1回につき4台)運行。料金は1台2000円。2人一組か、補助椅子を使った3人一組で乗車する。

 プレオープン期間(7月18日~9月6日)は土・日曜、祝日に営業し、約700人が乗車した。今後は月・金曜も利用できる。

◆2020年9月13日 上毛新聞(紙面記事より転載)
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/239841
ー村民の足 吾妻線を守れ 嬬恋村が活性化プロジェクトを計画ー

 村民の通勤や通学の重要な足となっている鉄路を守ろうと、群馬県嬬恋村は「JR吾妻線の活性化プロジェクト」を計画している。村職員が出張する際に優先的に電車を使うほか、鉄道を利用した村内観光を促進。吾妻線の終点で、秘境駅として一部鉄道ファンに人気の大前駅の活用策も探るなどして、鉄道の利用客増加を目指す。

 大前と万座・鹿沢口、袋倉の三つの駅がある嬬恋村では、少子化や自動車への依存が高いことなどから、鉄道の利用者が減少傾向にある。JR東日本がまとめた資料によると、長野原草津口―大前間の平均通過人数は1992年度に1日当たり865人だったが、2019年度は320人と半分以下となっている。

 生活を支える重要な公共交通を守っていこうと、村は今年4月、JR新前橋駅近くの駐車場に公用車1台を配置した。県庁などへ出向く場合に電車で到着し、その後は公用車に乗る仕組みだ。村外へ出張する際、これまでは自動車での移動が多かったが、電車を積極的に利用するよう職員に呼び掛ける。

 スキーや温泉などを楽しむために村を訪れる人の多くが車を利用しているが、今後、鉄道を利用して村内を観光するツアーを検討する。新たな需要を掘り起こし、活性化につなげたい考えだ。

 大前駅については、駅駐車場に周辺の散策コースなどを示した案内看板を新設したり、モニュメントとして設置するツリーにイルミネーションを施したりすることを構想している。

 村の担当者は「台風の際には、JR東日本には早期復旧してもらい大変ありがたかった。鉄道を後世に残していくため、利用客を増やせるようにさまざまな方策を検討していきたい」としている。

◆2020年9月21日 毎日新聞都内版
https://mainichi.jp/articles/20200921/ddl/k13/040/006000c
ー廃線の線路活用、自転車トロッコ 群馬・東吾妻ー

 八ッ場ダム建設に伴い廃線となったJR吾妻線の線路を活用した自転車型トロッコが群馬県東吾妻町で完成し、12日にオープン式典が開かれた。線路上で自転車のペダルをこぎながら、吾妻峡の景色や鉄道遺産を楽しめる。

 自転車型トロッコは「吾妻峡レールバイク アガッタン」と名付けられた。吾妻峡周辺地域振興センター周辺を始点に八ッ場ダム方面に向かう全長1・6キロの「渓谷コース」では、日本一短いトンネルとして知られていた「樽沢トンネル」(7・2メートル)を通ることができる。同コースは八ッ場ダム下まで0・7キロ延伸される予定。

 このほか、同センター周辺から中之条町方面に向かう0・8キロの「田園コース」も準備されている。問い合わせ・予約は同センター(0279・26・9431)。【妹尾直道】

—転載終わり—

 自転車型トロッコの始点となる「吾妻峡周辺地域振興センター」は、道の駅あがつま峡から吾妻川に架かっている橋を渡った所にあります。橋の上流側で吾妻川に合流するのが雁ヶ沢。吾妻川と雁ヶ沢の合流点が名勝吾妻峡の下流端、上流端はダムに沈んだ旧国道の八ッ場大橋です。