さる10月12日、「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」等の3市民団体が国や熊本県の球磨川豪雨検証委員会に対して公開質問書を提出しました。
提出された「球磨川豪雨検証委員会 に関する公開質問状」は、右の画像をクリックするとお読みいただけます。
7月の熊本豪雨では、線状降水帯が停滞した球磨川流域で50人もの方が命を落としました。亡くなった方々の中には、土砂災害や球磨川の支流の氾濫による犠牲者や、通報が遅れたことによって逃げ遅れた人々、堆砂が進んでいる中流域の瀬戸石ダム(電源開発)が原因と考えられるケースなどが少なくないということですが、水害の検証委員会では、球磨川支流の川辺川で計画が止まっている川辺川ダムが建設されていれば、被害を大幅に軽減できたという国交省の検証結果のみがクローズアップされ、検証委員会が川辺川ダム計画を蘇らせる場となりました。検証委員会は8月25日と10月6日の二回開催されただけで終了しました。
◆2020年10月12日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201012/k00/00m/040/157000c
ー川辺川ダム防災効果「算出根拠示せ」 国・県の検証委に熊本の市民団体が質問状ー
熊本県で予定されていた川辺川ダムが建設されていれば、7月の豪雨の浸水被害を軽減できたとする国や県の球磨川豪雨検証委員会の推計に対し、県内の3市民団体は12日、ダムの効果の算出根拠明示などを求める16項目の公開質問状を提出した。
3市民団体は、清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会(岐部明広・共同代表)、子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会(中島康代表)、美しい球磨川を守る市民の会(出水晃代表)。
6日の検証委で国土交通省は川辺川ダムが建設されていた場合、氾濫自体は防げなかったが、熊本・人吉地区の浸水面積を約6割減少させられたとする推計を示した。市民団体は質問状で「どのような数値や手法をもとに導き出されたのか明らかにされないまま」として、効果の算出根拠を明らかにするよう求めた。
さらに、これまでの治水対策や避難の問題など、住民が命を落とした原因をなぜ検証しなかったのか▽人吉地点で算出されている球磨川のピーク流量はかなり過小ではないか▽2006年以降、人吉市内の河道掘削を実施しなかった理由▽川辺川ダムが緊急放流した場合の被害想定――などを問いただしている。19日までに文書で回答するよう求めた。
市民団体メンバーは「存在しないダムが主役になっているのはおかしい。まずは被害の検証をきちんとすべきだ」「科学的判断がなされたというなら、質問のすべてに答えられるはずだ」「川辺川ダムを造ってほしいという被災者はいない」などと対応した県職員に詰め寄った。県側は「知事に伝える」と答えるにとどめた。【山本泰久】
◆2020年10月13日 熊本日日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/272cdf48dd4f00c03df17879c06bc986fe751dd1?source=rss
ー「ダムありき再検討を」 川辺川ダム反対派3団体、検証委へ質問状ー
2回で終了した国と熊本県、流域12市町村による球磨川豪雨検証委員会に対し、川辺川ダムに反対する3市民団体が12日、「ダムありきの検討内容は被災者や住民の実感とも、多くの研究者の意見とも違う」として、検証のやり直しを求める公開質問状を提出した。
「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」(人吉市)と「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(熊本市)、「美しい球磨川を守る市民の会」(八代市)の3団体。
委員会宛ての質問状は計16項目で、7月豪雨の死者・行方不明者67人のうち、球磨川流域の犠牲者50人の「命が失われた原因を検証しなかった理由」、「被災者からの意見聴取や説明もないまま検証を終えた理由」について説明を求めた。
人吉地点などで従来の計算法とは違う方法でピーク流量を推定した理由や、「流量が過小ではないか」という点、川辺川ダムがあった場合の効果の算出方法や、「緊急放流」した場合の被害想定なども明らかにするよう迫った。19日までの回答を要求した。
県民の会の中島康代表(80)=熊本市西区=は「最初からダムありきの検証で、50人がどうして亡くなり、どうすれば助けられたのか検証されていない」と指摘した。(太路秀紀)
◆2020年10月12日 NHK熊本放送局
https://www.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20201012/5000010268.html
ー豪雨検証結果に市民団体が質問状ー
7月の豪雨で氾濫した球磨川の治水対策を検証する国や県などの委員会が、ダムが建設されていれば浸水被害を6割軽減できたなどとする検証結果を示したことに対し、市民団体が12日県庁を訪れ、判断の根拠となった数値などを示すよう求める質問状を提出しました。
質問状を提出したのは「川辺川を守る県民の会」など3つの市民団体のメンバーです。
7月の豪雨で氾濫した球磨川の治水対策をめぐっては、今月国や県などでつくる委員会が、支流の川辺川で計画が中止されたダムが建設されていた場合人吉市周辺の浸水範囲を6割減少できたなとどする検証結果をとりまとめました。
これについて提出された質問状では「ダムありきの議論だ」と指摘したうえで、根拠となった数値や詳しい算出方法などのほか住民の意見を聞く場を設けずに結論を出した理由など16項目にわたって説明を求めたうえで、検証作業のやり直しを要請しています。
「川辺川を守る県民の会」の中島康代表は「まず、被災者の声を聞かないと何もわからないはずで、検証をやり直すべきだ」と話しています。