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蒲島熊本県知事、球磨川治水で住民意見聴取 県南7市町村で

 蒲島郁夫・熊本県知事は、7月豪雨で氾濫した球磨川流域の治水対策などについて、県南7市町村の住民や各団体から意見を聴くことを明らかにしました。ダム計画の影響が最も大きな水没予定地を抱える「五木村は含まれておらず、蒲島知事は「五木村の方々の意向があれば検討する」と説明した」ということです。

 意見聴取を行った上で、川辺川ダム計画を治水専用の流水型ダム(穴あきダム)として復活させる方針に切り替えることを考えているように思われます。

◆2020年10月13日 熊本日日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/aa84b12909229cc3438ebe39ad33aeb839c65cca
ー蒲島知事、球磨川治水で住民意見聴取 15日から県南7市町村でー

  蒲島郁夫知事は13日、熊本県庁で臨時会見を開き、7月豪雨で氾濫した球磨川流域の治水対策などについて、県南7市町村の住民や各団体から意見を聴く会を15日に始めると明らかにした。11月中旬まで、知事が現地に出向いて20回程度開催する。

 7市町村は八代市、人吉市、芦北町、津奈木町、相良村、山江村、球磨村。県は「7月豪雨で犠牲者が出た自治体と住宅被害が多かった自治体を選んだ」としている。計画が中止された川辺川ダムの水没予定地を抱える五木村は含まれておらず、蒲島知事は「五木村の方々の意向があれば検討する」と説明した。

 初回は15日午前10時から、人吉市で人吉球磨地域の農林水産8団体と実施する。16日は八代市で16団体と面会した後、芦北町に移動し、津奈木町を含めた14団体と意見交換。別会場で両町の住民からも意見を聴く。

 県は聴取対象に流域12市町村の首長や議長、県議会を含めるほか、川辺川ダムに反対している市民団体にも面会する。

 蒲島知事は球磨川の治水対策に関し、年内に県の方向性を示す方針。川辺川ダムも「選択肢の一つ」としており、この日の臨時会見では「(住民、団体の)意見や提案を参考にあらゆる選択肢を排除せずに検討する」と重ねて強調した。県は、聴取した意見を復旧・復興プランにも反映させる。

 一方、国土交通省と県、12市町村による豪雨検証委員会で設置が決まった治水対策の新たな協議の場について、蒲島知事は「初会合を10月下旬に開く」と表明。メンバーは検証委と同じで、知事は「専門家を呼んで意見を聞くこともあり得る」と述べた。

 これに伴い、国と県、12市町村でダムによらない対策10案を検討してきた球磨川治水対策協議会は「発展的に解消する」(蒲島知事)とした。(野方信助、高宗亮輔)

◆2020年10月14日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/654087/
ー球磨川治水に「協議の場」 熊本知事 ダム案復活焦点にー

 熊本県の蒲島郁夫知事は13日の記者会見で、7月豪雨で氾濫した球磨川の治水策について、国や県、流域市町村で「新たな協議の場」を設置し、今月下旬にも初会合を開くと発表した。12年前に自身が「白紙撤回」した川辺川ダム計画については、国が「存在していれば被害が軽減できた」とする検証結果を公表しており、是非論が再燃しているダム案復活が焦点となる。

 蒲島氏は協議の場での議論などを踏まえた上で、「あらゆる選択肢を排除せずに、県としての治水の方向性を年内の早い段階で示す」と述べた。

 7月豪雨では県内の死者65人のうち、球磨川や支流の氾濫で50人が犠牲となった。国は8、10月の豪雨被害の検証委員会で、被害状況の分析や川辺川ダムが存在した場合の治水効果などを公表。「ダムがあれば浸水被害を大幅に軽減できる半面、ダムだけでは水害を防ぎきれない」とする検証結果を明らかにしていた。

 県は15日から、被災規模が大きかった八代市、人吉市、球磨村など7市町村の住民、団体を対象とする意見聴取会も始める。蒲島氏が出席し、11月中旬までに20回程度開く。要望があれば他の流域自治体でも開催を検討する。

 治水策と同時期に、豪雨災害からの生活再建と地域経済の再生を進めるための工程表「復旧・復興プラン」も策定する。 (古川努)

◆2020年10月13日 毎日新聞熊本版
https://mainichi.jp/articles/20201013/k00/00m/040/246000c
ー球磨川治水対策 国・県・自治体で新たに協議の場 年内に方向性ー

 熊本県の蒲島郁夫知事は13日、7月の九州豪雨で氾濫した球磨川の治水対策を検討するため、国と県、流域自治体による新たな協議の場を10月下旬に設置すると表明した。10月15日~11月中旬には蒲島知事が流域住民から直接意見を聴き、年内の早い時期に方向性を示すとしている。

 国や県による10月6日の球磨川豪雨検証委員会で、国は川辺川ダムがあれば人吉地区の浸水面積を6割減少させられたとする推計を提示。流域自治体がダムを含めた治水対策の検討を求めていた。県によると新たな協議の場では有識者からの意見聴取も予定している。また、これとは別に、人吉市や球磨村など被害の大きかった7市町村の住民や団体から知事が意見を聴く会を20回程度開く。

 蒲島知事は住民の意見も踏まえ、ダムを含め「あらゆる可能性を排除せずに決める」と述べた。「『村を離れるかどうか判断するために早く治水計画を示してほしい』という被災者の希望に応えるためには、時間的緊迫性が必要」と検討を急ぐ考えを示した。【清水晃平】