新刊「八ッ場ダムと倉渕ダム」のお知らせ

 全国各地のダム問題を取材してきたジャーナリストの相川俊英さんが執筆された「八ッ場ダムと倉渕ダム」がこの度、緑風出版から刊行されました。

 国の直轄事業として群馬県長野原町に建設された八ッ場ダムと群馬県の事業として長野原町に隣接する旧倉渕村(現高崎市)で本体工事着工前に中止された倉渕ダム。利根川支流の吾妻川に計画された八ッ場ダムと同じく支流の烏川に計画された倉渕ダムは、同じ群馬県内に建設地がありながら、大きく明暗が分かれました。
 本書の核心は、なぜ、民主党政権が八ッ場ダムを止められなかったのか、緻密な取材によって政権内部で起こっていたことを解き明かしている部分です。
 流域住民が主体性を取り戻すにはどうすればよいか、情報公開や住民の自治力の必要性など、多くの示唆を与えてくれる本としておすすめします。

 緑風出版サイトより
 http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-2019-1n.html

 「八ッ場ダムと倉渕ダム」 相川俊英[著]
  四六判上製/204頁/1800円

 敗戦直後に計画された群馬県の八ッ場ダムは、時代が変わり、ダムの必要性が無くなり、民主党が建設中止を掲げ総選挙で政権を獲得しながらも、国の河川行政を転換できず河川官僚の陥穽にはまり、安倍政権によって完成されてしまった。一方、倉渕ダムは、地域住民主導で闘った結果、ダム建設を止められた。何が違い、何が間違っていたのか? 民主党はなぜ挫折したのか? そして今、「八ッ場ダムが台風の豪雨から首都圏の水害を守った」とのフェイクニュースがまき散らされている。
 本書は八ッ場ダムと倉渕ダムの歴史的顛末を追い、流域住民主体の流域治水への転換を考える。(2020.10)

■内容構成
はじめに
第一章 ダムをとめた住民と県知事
 地味で目立たぬ知事の「脱ダム宣言」
 保守大国で異例のダム反対運動
 代表の身銭で独自調査を敢行
 県の怪しい行動から真実を暴く
 県職員を徹底追及する敏腕記者
 住民説明会で露呈した役人の無知
 住民運動の分裂と新規参入
 県民に寄り添った官僚出身知事
 側近が感じた環境派知事の苦悩
 県の公聴会でやらせ発覚
 現職がダムを争点外しに出た高崎市長選
 ガチンコ公開討論会で県が住民側に完敗
 倉渕ダム凍結に推進派は沈黙
 ダムなしでの治水利水策を実施

第二章 国策ダムに翻弄される住民と地方自治
 敗戦直後に策定された巨大ダム計画
 ダム官僚の天敵となった群馬の町長
 ダムができて急速に衰退した故郷
 上州戦争が激化し、副知事不在に
 迷走する八ッ場ダム事業に知事の苦言
 現職知事を追い落とす保守分裂選挙
 県議会で八ッ場ダム必要論を論破
 八ッ場が政治課題に急浮上した背景
 政権選択選挙と八ッ場ダム

第三章 八ッ場ダム復活の真相
 準備なしの中止宣言で墓穴を掘る
 馬を乗りこなせない政治家たち
 ダム官僚の思う壺となった有識者会議
 民主党から出馬表明し、驚愕させた小寺前知事
 地元で痛いところを突かれる前原大臣
 民主党の敗北と失意の病死
 地に落ちた政治主導の金看板
 着々と進む建設続行への道
 中止を中止して万歳三唱した国交大臣
 民主党政権の失敗から学ぶべきもの

おわりに