全国のダム堆砂の最新データ(2018年度末)を国交省が情報開示

 国土交通省より、全国のダムの堆砂に関する最新データが情報開示されましたので、お知らせします。

H30全国ダム堆砂データのサムネイル 右の画像をクリックすると、データが開きます。ダムの総貯水容量、堆砂容量、2018年度末の堆砂量と共に、ダムのある水系、河川名、管理者名、流域面積、竣工年月が掲載されています。

 ダム計画は100年分の堆砂容量を見込んでおり、少なくとも建設後100年はダムが使えることになっています。しかし、ダム計画を策定する際は堆砂のスピードは甘く見積もられがちであるため、想定よりはるかに早く堆砂が進むダムが少なくありません。堆砂量が堆砂容量を超えたダムは、貯まり続ける土砂で利水容量、治水容量を食われ、ダムの機能を果たすことができなくなります。流入する土砂は、川の流れが緩やかになるダム湖の上流側から貯まっていきますので、大雨が降るとダムの上流で氾濫が起きやすくなります。

 今回データが開示されたのは970基のダムでした。このうち、堆砂容量が設定されていないダムが120基ありました。こうしたダムの中には、堆砂量が貯水容量に近づいている岩知志ダム(北海道電力、沙流川、6ページ)、平岡ダム(中部電力、天竜川、9ページ)のようなダムもあります。
 残る850基のダムのうち、堆砂量が堆砂容量を超えているダムは197基ありました。これらのダムの完成時期を年代別にみると、以下の通りでした。

1920年代/4、1930年代/13、1940年代/14、1950年代/51、1960年代/59、1970年代/33、1980年代/18、1990年代/4、2000年代/1

H30全国ダム堆砂データ(HP)のサムネイル 右の画像をクリックすると、堆砂量が堆砂容量を超えたダムを黄色、堆砂容量が設定されていないダムの該当箇所を灰色で示した表が表示されます。以下で取り上げているダムは、青色で示しています。

 堆砂による水害や下流域の河川環境の汚染が問題となっている富士川水系の雨畑ダム(1967年、日本軽金属)では、堆砂容量の二倍を超える土砂が溜まっており、貯水容量1365万㎥、堆砂量1249.6万㎥と、数字からもダムが土砂で埋まっている状況がうかがえます。

 球磨川の瀬戸石ダム(1958年、電源開発)は、7月の熊本豪雨の際、球磨川の水害を拡大させたと指摘されています。これまでも堆砂が問題とされ、流域住民が撤去を求める運動を続けてきました。球磨川水害後、改めて撤去を求める声が上がっていますが、機能不全に陥ったまま放置されている状態です。2018年度末のデータでも堆砂容量を超えていますが、水害を経てどうなっているのでしょうか。
 球磨川の上流には1960年に完成した熊本県営の市房ダム(6ページ)がありますが、このダムも堆砂量が堆砂容量に近づいています。

 首都圏では相模ダム(1947年、神奈川県、1ページ)の堆砂量が堆砂容量の5倍を超えており、総貯水容量の1/3近くが土砂で埋まっています。
 利根川水系のダムとしては、鬼怒川の川治ダム(1983年、国土交通省、1ページ)の堆砂量が堆積容量を超えました。
  半世紀前に建設された利根川水系・神流川の下久保ダム(1968年、水資源機構、2ページ)でも堆砂が進んでいます。浚渫作業が行われていますが、堆砂量は981.7万㎥と、堆砂容量1,000万㎥に近づいています。想定のほぼ倍のスピードで堆砂が進んでいることがわかります。

 八ッ場ダムの上流に半世紀前につくられた品木ダム(1965年、、国土交通省、1ページ)は、八ッ場ダムのために続けられてきた吾妻川の中和事業によって生じる中和生成物を貯める、という特異な目的をもつダムです。堆砂量は総貯水容量の86%以上に達しており、濃縮されたヒ素が含まれています。国土交通省はこれ以上堆砂量を増やさないために、年間3億円をかけて浚渫し、集水域の処分場に埋め立てています。

 全国の巨大ダムでは、天竜川の佐久間ダム(1956年、電源開発、10ページ)で堆砂容量の倍近く、貯水容量の1/3以上の土砂が溜まっています。ダム観光で有名な黒部ダム(1960年、関西電力、8ページ)、吉野川の早明浦ダム(1975年、水資源機構、2ページ)も堆砂量が堆砂容量を超えています。

 地すべり対策によって完成が大幅に遅れた奈良県の大滝ダム(2013年、国土交通省、1ページ)は、完成後まだ10年経過していませんが、堆砂量がすでに堆砂容量の1/2を超えています。