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発電再開めど立たぬ球磨川の瀬戸石ダム、Jパワーは公開質問に答えず

 7月の球磨川豪雨で機能不全となった瀬戸石ダム(Jパワー)のその後の状況が報道されています。
 瀬戸石ダムはもともと堆砂問題が深刻で、流域住民がダム撤去を求めてきました。7月の豪雨の際は、ダムの上下流で水害被害を拡大させたのではないかと流域住民が訴えています。このままの状態では危険なので、撤去を求める声はさらに高まっていますが、これまでのところJパワーは住民団体からの公開質問に答えていません。

★住民団体「瀬戸石ダムを撤去する会」からJパワーに対して質問の回答を催促する文書(2020年10月30日)
http://kawabegawa.jp/setoishi/20201030JPTOKUSOKU.pdf

 貴社宛て質問・要請書に関する一部質問の催促状
貴社宛てに、瀬戸石ダム問題に関する質問・要請書を2通(6月22日付け、10月8日付け)お出ししていますが、いまだ回答がありません。「なるべく早く貴会へ回答できるよう社内展開しております」(10月12日、貴社南九州電力所山脇圭司所長代理からのメール)ということですが、いつになるのでしょうか。貴社からの回答がなければ、流域住民への説明も出来ません。

 つきましては、10月8日付け質問・要請書の内、13 番目の質問(当会は、かねてから、ダム湖の堆砂問題を貴社や国土交通省に指摘し、もっと土砂撤去すべきであると指摘して来たが、残念ながら今回の豪雨で未曽有の水害が発生した。それはもちろん、ダム湖の堆砂が一因であるが、質問10で述べた通り、河川に巨大な構造物が存在すること自体がもたらした災害であることは明らかである。もはや、流域住民にとっては、百害あって一利なしの存在にすぎない危険なダムであり、早急に撤去すべきと考えるが、貴社はこのダムの撤去の意思はないのか。撤去するつもりがないならその理由は何か)についてのみ、先行して回答していただきますようお願いします。

 豪雨被害発生から3か月以上が過ぎ、既に貴社内部では瀬戸石ダムの撤去か存続かの方針は出されており、その方針に基づいて社内業務を行っておられることと思いますので、回答に時間がかかる筈はないものと思います。11月6日までに回答されますようお願いします。

—転載終わり—

上記の催促状は、6月22日、10月8日付けで送った質問の回答が送られてこないことに対して、10月8日付けの質問の最後の質問(ダムを撤去するのか存続するのか。存続する場合その理由を明らかにすること)のみ、先行して回答することを求めるものです(6月22日、10月8日付け質問は下記サイト参照)。

6月22日付け質問
http://kawabegawa.jp/setoishi/20200622JPSHITSUMON.pdf
10月8日付け質問
http://kawabegawa.jp/setoishi/20201008jpshitsumon.pdf

 関連記事を転載します。

◆2020年11月5日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/661253/
ー発電再開めど立たず 瀬戸石ダム 7月豪雨で主要設備が浸水ー

 7月に熊本県南部を襲った豪雨災害から4日で4カ月。球磨川中流にある瀬戸石ダム(芦北町、球磨村)は、豪雨により発電設備が水没した影響で運転停止の状態が続いている。管理する電源開発(Jパワー、東京)は「被害の詳細を確認している段階」とし、発電再開のめどは立っていない。

 同ダムは1958年に運転開始した発電専用ダム(最大出力2万キロワット)。同社によると、7月4日午前2時すぎ、大雨で急激にダムへの流入量が増え、毎秒2千立方メートルを超過。ダム下流域に大きな被害を及ぼす恐れがある「過去に経験したことがない流入量」だった。

 その後も流入量は増え、放流量を調整する五つのゲートを水面から離す操作を続け、自然河川に近い状態を保った。午前7時までにゲートを全開にし、操作員2人は避難した。

 豪雨後、ダム本体に異常は確認されなかったが、球磨川の氾濫で横にある発電所が浸水し、発電機などの主要な設備は使用不能になった。現在もゲートは開けたままだ。

 本体上部にかかる連絡橋(全長92・5メートル、幅3・9メートル)の接続部分5カ所で約70~15センチのずれが生じたが、8月上旬から住民や工事関係者に限って車で通行できるようになった。

 球磨川下流沿いにある放流を知らせる警報サイレン設備28カ所も浸水し、復旧できていない。雨で河川が増水する場合は、地域ケーブルテレビやサイレン車などで周知を図るという。

 球磨川流域の住民らでつくる「瀬戸石ダムを撤去する会」は「災害発生前からダム湖底に堆積していた土砂が水位上昇に影響し、周辺の被害を拡大させた」と主張。Jパワーにダム撤去を求めるよう国に要請した。同社は「被害とダムとの因果関係は調査中」としている。 (村田直隆)

◆2020年11月16日 毎日新聞熊本版
https://mainichi.jp/articles/20201116/ddl/k43/040/204000c?pid=14613
ー「瀬戸石ダム撤去」指導を申し入れ 九地整に市民団体 ー

 7月の九州豪雨で氾濫した球磨川の瀬戸石ダムについて、熊本県八代市の市民団体「瀬戸石ダムを撤去する会」が12日、ダム管理者の電源開発にダム撤去を指導するよう、河川管理者の国土交通省九州地方整備局八代河川国道事務所に申し入れた。

 瀬戸石ダムは球磨川中流の球磨村、芦北町にある。同会は国交省が公表した九州豪雨のデータを基に「ダム付近では水位が約5メートル上昇し、ダムから上流約7キロ地点まで水位を押し上げた。ダムがあることでダム湖周辺の被害が拡大した」などと訴えた。

 また、同会は、球磨川の治水対策で焦点となっている川辺川ダム建設について「ダムを造っても、どの程度の被害が防げるのか」と反対した。【山本泰久】

—転載終わり—

〈参考ページ〉

再び瀬戸石ダムへの道を。219号線利用では、何度も行くが、再び県道を利用して瀬戸石ダムへ行ってみた。7月18日、とにかく後片付けの済まないうちに瀬戸石ダムを確認しようと瓦礫の上を4㎞往復した。今回は車も通る。道路はきれいになったが、それだけ…

つる 詳子さんの投稿 2020年10月31日土曜日