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熊本県の川辺川ダム容認方針に抗議「県民集会」

 今月20日、熊本県の蒲島郁夫知事は2009年以来中止されていた川辺川ダム建設を「流水型ダム」として復活させるよう国交大臣に要請しました。これまで川辺川ダムに反対してきた熊本県内の市民団体や流域住民は、知事の180度の方針転換に抗議するため、22日に県民集会を開催しました。

 集会のお知らせはこちらのページに➡「川辺川ダムでは命も清流も守れない—7.4球磨川水系大水害を考える県民集会」ー11/22、熊本市

 集会の実行委員会のメンバーはこんなメッセージを発信しています。

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 県知事のダム容認方針が県民の怒りに火をつけました。
 1966年の計画発表以降の五木村の反対運動を第一次ダム反対闘争とするなら、90年代から2000年代にかけての、下流域で起こり県内や全国に広がった運動が第二次闘争、そして今回のダムを巡る運動が第三次闘争といえると思います。
 最終決着を付ける時が来ました。知事が容認したからと言ってダムが出来る訳ではありません。私たちの力で、ダム計画を葬り去りましょう!
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 関連記事を転載します。

◆2020年11月22日 NHK熊本放送局
https://www.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20201122/5000010635.html
ー市民団体がダム建設反対集会ー

 熊本県の蒲島知事が球磨川流域の川辺川でのダム建設を容認したことを受け、22日、建設に反対する市民団体が熊本市で集会を開きました。

 この集会は市民団体の「川辺川を守る県民の会」などが熊本市内のホールで開き、7月の豪雨の被災者を含めおよそ300人が参加しました。

 この中では、豪雨で自宅がおよそ2メートルの高さまで浸水した人吉市の林通親さんが「被災者は生活再建に精一杯で、ダムについて考える余裕はない。早々にダム建設を容認し、復興へ結束すべき時に賛成・反対の分断を生んだことに憤りを感じる」と声をあげました。

 そのうえで、「年々激しさを増す水害をダムでは防げないし、緊急放流の危険性もある。何より私たちには清流を次世代に残す責任がある」と述べ、ダム建設反対を訴えました。

 続いて市民団体のメンバーが、蒲島知事が環境への負担が小さいとして建設を求めている「流水型」のダムについて、「ダムの底部分に設置する金網に洪水時、流木や土砂がつまり、下流への水の流れが妨げられる可能性がある」などと問題点を指摘しました。

 集会のあと、参加者たちは市の中心部を行進し、ダム建設反対の声をあげました。

◆2020年11月22日 共同通信
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/603312
ー熊本・川辺川ダム反対派が集会 「分断と対立もたらす」ー

 熊本県の蒲島郁夫知事が7月の豪雨で氾濫した球磨川の支流・川辺川でのダム建設を容認したことを受け、ダムに反対する市民団体が22日、熊本市内で集会を開いた。約260人の参加者は「(流域住民の)分断と対立をもたらす」「命も清流も守れない」と声を上げ、建設中止を求めるアピールを拍手で採決した。

 アピールでは、蒲島氏が環境に配慮して流水型のダムを建設すると表明したことに関し、環境負荷は下がらないと疑問視。「魚の往来を遮断し、たまった土砂が流れ続ける」と主張した。

◆2020年11月23日 熊本日日新聞
https://this.kiji.is/703379776895353953?c=39546741839462401
ー「命も清流も守れない」 ダム反対派、熊本市で集会・パレードー

 熊本県の蒲島郁夫知事が球磨川の治水方針として国に、支流の川辺川への新たな流水型(穴あき)ダムの建設を求め、国も応じたことを受けて、ダムに反対する市民団体は22日、「流水型でもダムでは命も清流も守れない」として抗議集会を開き、熊本市内をデモ行進して県民にアピールした。

 市民団体などでつくる実行委主催。市国際交流会館であった集会には約350人(主催者発表)が参加した。

 7月豪雨でいずれも自宅が全壊した被災者3人が登壇し、「それでもダムには反対だ」と意見表明。人吉市下薩摩瀬町の林通親さん(71)は「暮らしを取り戻すのに必死な時期に、考える時間も与えずに地域を分断するダムを決めた」と嘆いた。球磨村渡の境目照久さん(63)は、球磨村長や人吉市長ら流域の首長が「簡単に国の圧力に負けてダム賛成に転じた」と反発。八代市坂本町の本田進さん(86)は「球磨川流域から遠く離れた場所にいる人たちがダムを推進している」と憤った。

 「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」の木本雅己事務局長(69)=人吉市=は、河川に堆積した土砂の撤去など、ダム中止後に会が訴え続けた対策を行政が実施してこなかったと批判。「やっていれば今回ほどの被害は生まなかった」と訴えた。

 中島熙八郎・県立大名誉教授(73)=熊本市=は、国や県などの検証委員会が「仮にダムがあったら人吉の浸水面積を6割減らせた」とした点を「仮定の話には答えられない、というのが行政の姿勢ではないのか」と皮肉った。さらに、ダム問題に議論を集めることで「支流の対策など、自分たちがやってこなかったことをダムに押し付けようとしている」と指摘した。

 大会では「穴あきダムでも環境に多大な悪影響を及ぼす」とするアピール文も採択。新市街や下通アーケードなど熊本市中心部約2キロをデモ行進し、「ダムはいらない」と買い物客らに訴えた。(太路秀紀、堀江利雅)

◆2020年11月23日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASNCQ6QG9NCQTLVB003.html
ーダム容認方針に抗議「県民集会」ー

 熊本県の川辺川へのダム容認方針に抗議する市民団体が22日、熊本市中央区の市国際交流会館ホールで「7・4球磨川水系大水害を考える県民集会」を開いた。約300人が集まり、「ダムでは命も清流も守れない」などと訴えた。

 集会では、水害の被災者が体験談を報告。消防署員からロープで救助されたという男性は「まだみんな暮らしを取り戻すために必死の状況のなか、ダムを造るという論議が進んで来た。復興のために結束が必要なときに、分断をもたらすダムを急いで造らなくてはいけないのか」と発言した。

 また、熊本県立大の中島熙八郎名誉教授からは「必要なかさ上げや高台移転ができればダムが無くても安全なまちづくりは可能。復興を担うのは被災した地域の人。その意見を必ず入れて具現化し、住民決定による復興を手にすることが課題だ」などと指摘した。

 集会では「急ぐべきは被災地の復旧・復興であり、被災者の生活支援。住民の望まないダムを押しつけることは税金の無駄遣いで、再び流域に対立と混乱をもたらす」と訴えるアピール文を採択。集会終了後、参加者らは「ダムで川辺川を壊すな」「ダムで命は守れない」と書かれた横断幕やプラカードを掲げて市中心部をパレードした。

 市民団体の中島康代表は「知事が『ダムは民意だ』と公言しており、今回のダム反対運動は非常につらい状況になっている。この集会をダム反対運動の口火にしたい」と話していた。(白石昌幸)

◆2020年11月23日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/666727/
ー「命も清流も守れない」 川辺川ダム反対住民ら集会 熊本市ー

 7月豪雨で氾濫した球磨川治水対策として熊本県の蒲島郁夫知事が容認表明した支流の川辺川へのダム建設に反対する住民集会が22日、熊本市であった。豪雨で被災した流域住民も参加し「ダムでは命も清流も守れない」と訴えた。

 同市中央区の国際交流会館で開かれた集会には、県内各地から約300人が参加。ダム建設容認表明後、知事が国に求めた「流水型ダム(穴あきダム)」について、事務局側から説明があり「環境負荷が小さいとされるが川底に土砂がたまることで水は濁る。今いる生き物もすめなくなるなど、環境への影響は大きい」と強調した。

 人吉市や球磨村、八代市坂本町の被災者らは、ダムが緊急放流された場合の懸念や豪雨災害の検証の不十分さを指摘。人吉市の男性は「結束が必要な時になぜ分断をもたらすダムが必要なのか」と訴えた。

 集会後には、参加者で「住民不在のダム反対」などと書かれたプラカードを掲げながら市中心部をデモ行進した。 (長田健吾)