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ダム緊急放流訴訟 国・西予市全面争う姿勢

 一昨年の西日本豪雨の際、国の野村ダムと鹿野川ダムが緊急放流後、ダム下流の肱川が氾濫し、甚大な水害が発生した件について、犠牲者の遺族らが国や地元自治体を訴えている裁判は、今月25日に三度目の審理が行われました。
 参考記事:6月の裁判➡「国土交通省、ダム緊急放流訴訟で原告住民と全面的に争う姿勢」
      9月の裁判➡「2018年西日本豪雨、野村ダム緊急放流めぐり遺族ら13人新たに提訴」

 関連記事を転載します。

◆2020年11月25日 NHK愛媛放送局
https://www3.nhk.or.jp/matsuyama-news/20201125/8000008184.html
ー緊急放流集団訴訟 遺族が意見ー

 おととしの西日本豪雨の際、大洲市と西予市でダムの放流のあと川が氾濫して8人が亡くなったことをめぐり、遺族などが国や2つの市に賠償を求めた集団訴訟の3回目の審理が行われ、遺族の1人が意見陳述を行いました。

 この裁判は、西日本豪雨で甚大な被害が出た西予市と大洲市の亡くなった住民の遺族や浸水の被害者らあわせて24人がダムの操作や緊急放流の住民への周知に問題があったとして国と2つの市に賠償を求めているものです。

 3回目となった25日の審理では原告の1人で、夫を亡くした西予市野村町の入江須美さんが、意見陳述を行い、国は異常洪水時防災操作が危険な放流ではないといえるのかとただしました。
 そのうえで、「亡くなった夫や亡くなった人たちに対してあなたの死は無駄にしないと誓っています。どう考えてもあのダム放流や情報提供はおかしいです」などと述べました。
 さらに原告側は、国が出している当時の流入量の予測結果の根拠となるデータを明らかにするよう求めました。

 この裁判では国と2つの市は、訴えを退けるよう求めていて、25日の審理でも国は、当時のダムの操作について規則どおりに行い違法性はないと、改めて主張しました。

◆2020年11月25日 あいテレビ
https://news.yahoo.co.jp/articles/d8f725d94238421afa4cd1c1648bcd45d15db923
ー“ダム緊急放流”訴訟 遺族「真実を明らかに」ー

 おととしの西日本豪雨で愛媛県を流れる肱川が氾濫したのは、ダムの不適切な操作などが原因だとして、遺族らが損害賠償を求めている裁判の第1回口頭弁論が25日開かれ、被告の国と西予市は全面的に争う姿勢を示しました。

 この裁判は、おととしの西日本豪雨で夫を亡くした愛媛県西予市野村町の入江須美さんら遺族や住民13人が、野村ダムの緊急放流を行った国と避難情報を出した西予市を相手取り、あわせておよそ2億6000万円の損害賠償を求めているものです。入江さんらは、野村ダムについて国が十分な事前放流をせず容量を確保していなかったほか、西予市が野村町に避難指示を出したのが緊急放流の1時間10分前で情報提供が不十分だったと訴えています。

 第1回口頭弁論では、入江さんが意見陳述を行い、「犠牲になった人の死を無駄にしないと誓っている。正しい審理で真実を明らかにしてほしい」と訴えました。一方、国や西予市はいずれも全面的に争う姿勢を示しました。次回の弁論は来年1月20日に開かれます。

◆2020年11月25日 日本テレビ
https://www.news24.jp/nnn/news110o9zzsu565hv0f62q.html
ーダム緊急放流訴訟 国・西予市全面争う姿勢ー

 西日本豪雨の際の、ダムの緊急放流を巡る裁判で、被告となった国と西予市は全面的に争う姿勢を示した。

訴えを起こしているのは、西日本豪雨の浸水被害で家族を亡くした西予市野村町の住民など13人。2018年7月の西日本豪雨では野村ダムの緊急放流後に肱川が氾濫し、大規模な浸水被害が発生して野村町では、5人が亡くなった。

訴えの中で住民らは、野村ダム管理事務所が事前の放流を十分に行わず大量で急激な放流をしたダム操作には重大な過失があるなどと主張している。

また、西予市は、住民への放流情報の周知を怠っていたなどとしてダムを管理する国と西予市にあわせて、およそ2億5600万円の損害賠償を求めている。

25日松山地裁で開かれた第1回口頭弁論で国と西予市は全面的に争う姿勢を示した。

野村ダムと鹿野川ダムの緊急放流を巡っては西予市と大洲市の住民らも提訴しているが、今後は、1つの原告団として併合して審理を進めていくことになった。