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石木ダム付け替え道路工事 県、盛り土再開も進まず 防護柵設置に住民反発

 年末を迎え、石木ダム事業を推進する長崎県は、遅れている付け替え道路の工事を工期通りに進めようと焦っているようですが、住民の抵抗で進められずにいます。ダム建設によって水没する道路の付け替え工事が進まないと、本体工事には取り掛かれませんから、住民側の座り込みによる抗議行動が功を奏しています。
 石木ダム事業では、これまでも住民の隙をついて、深夜に強引に工事を進めようとしたことがありましたので、反対住民らは警戒を強めています。

 石木ダムに反対する佐世保市の「石木川まもり隊」が現場の様子を臨場感あふれる筆致で伝えています。
 長崎県は住民の抗議行動を阻止しようとゲートを設けましたが、住民は今日も座り込みを続けています。
 http://ishikigawa.jp/blog/cat05/6784/
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◆2020年12月12日 長崎新聞
https://this.kiji.is/710294756662362112
ー石木ダム付け替え道路工事 県、盛り土再開も進まず 防護柵設置に住民反発ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業に伴う県道付け替え道路の工事現場で、県は11日、反対住民らの座り込み場所での盛り土作業を約2カ月ぶりに再開した。前日に現場入り口など3カ所を防護柵でふさいでいたが、突破した住民らが重機の周りに座り込んで抗議したため、作業はほとんど進まなかった。

 付け替え道路工事は、住民らの座り込み場所付近約140メートルの区間で作業が遅れている。県は当該区間の盛り土工事に入るとして、住民らが持ち込んだいすやテーブルなどの私物の撤去を求めたが、住民側は応じず、これまでに3度工期を延長した。

 県石木ダム建設事務所によると、防護柵は10日午後4時以降、座り込みの住民らが帰った後、「安全に工事を進める目的」で設置。工期が25日に迫っており、住民らの私物に影響がない範囲で盛り土をした後、開放する方針だったという。

 11日朝、防護柵に気づいた住民が猛反発。回り道をしたり、周辺の柵を越えたりして現場に入り、重機の近くに座り込んだ。県は危険と判断。重機を撤退し、防護柵も開放した。

 7日に県河川課長が反対住民との対話の条件を確認するため、現場を訪れていた。住民の岩下和雄さん(73)は「結局、県は話し合うつもりなどないのだろう」と不信感をあらわにした。

◆2020年12月11日 NBC長崎放送
https://www.nbc-nagasaki.co.jp/nbcnews/detail/4698/
ー石木ダム座り込み現場付近にゲート新設で住民反発【長崎】ー

 東彼・川棚町に計画されている石木ダム事業をめぐり反対住民らの座り込み現場近くに立ち入りを規制するゲートが新たに設置され住民らが反発しています。

 ゲートが設置されたのは石木ダム関連の県道工事現場で高さ2メートルほどの鉄製の柵が数か所設置されました。
11日朝、現場に大型重機が入っていることに気付いた住民が駆け付けたところ現場入口に柵があり県職員らから立ち入りを規制されたということです。
その後は住民らが座り込んだため重機は作業をせず1時間半ほどで移動したということです。

(女性)
「山の方にもしたんですよ網を、行かれんごと張ってたんです。入ってくるけん我々はゲートがあっても、そこは赤道だから本当はされんとですよね」
(男性)
「(ゲート)を外してもらわんと、いつああいうような形で(工事に)やってくるか、それがちょっと心配ですね」

 ゲートの新設について県側は「工事の安全を確保するのが目的」としていて住民に対しては理解と協力を呼びかけていくとしています。

◆2020年12月9日 長崎新聞
https://this.kiji.is/709227288097865728
ー石木ダム建設 行政代執行 佐世保市長「長崎県の判断仰ぐ」ー

 定例佐世保市議会は8日、一般質問が始まり、計6人が登壇。県と同市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、朝長則男市長は行政代執行の判断について「川棚川の治水などを含め総合的な判断が求められる。市としては、公衆衛生や渇水を考えると事業の必要性、緊急性は高い。市の実情を県に伝え、判断を仰ぐ」と述べた。
 小田徳顕議員(共産)に答えた。
 小田議員は、先月の本紙のインタビューで朝長市長が行政代執行について、「市民や議会から求められれば、知事に相談するかもしれない」と答えた真意をただした。
 朝長市長は「事業の進め方は県が主体的に判断する。市民や議会の大方の総意として何らかの要請などがあれば、県にきちんとお届けするということ」と答弁した。

◆2020年12月18日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/674440/
ー県が柵設置、住民硬化 石木ダム県道4度目工期末 対話の糸口はどこにー

 長崎県が川棚町の石木ダム予定地で進めている県道の付け替え工事は、住民が座り込みをしている付近の盛り土の工期末が25日に迫っている。県は工事現場に住民が立ち入らないように柵を設置し、工事を始めたが、住民が柵を越えたため中断した。両者は話し合いを模索しているが、県がダム本体工事の入札を行ったこともあり、住民側は態度を硬化させている。

 付け替え工事は全長約3・1キロのうち約1・1キロで進んでいるが、座り込む場所一帯の約140メートルは遅れている。住民側は用地に持ち込んだ椅子や倉庫などの撤去要請を拒否しており、県は1月31日から3月27日までだった工期を8月31日、10月30日、12月25日まで3度延長していた。

 県は「安全に工事をするため」(河川課)、10日夕から幅約1・5メートル、高さ約1・8メートルの柵6基を工事現場への進入路2カ所に設置した。11日に住民側が柵を乗り越えたり、回り道をしたりして現場に入り、重機の前に立ちふさがるなどしたため工事は中断。4度目の工期延長を検討している。

 中村法道知事は3日の県議会で、住民が話し合いに応じる条件を確認する意向を表明。4日と7日に河川課長が工事現場を訪ね、対話の糸口を探っていた。それだけに、住民は柵を使った県の対応を「工事強行」と受け止めた。

 ダム予定地に暮らす岩下和雄さん(73)は「工事の中断が条件だと伝えた直後だった」と強調。ダム本体工事の入札が行われたことにも触れ「話し合いを求めながら事業を強行するのは筋が違う。県は話し合いをするつもりがないのだろう」と話した。

 (岩佐遼介、徳増瑛子)