今月17日、元熊本県職員の南由穂美さんが記者会見し、球磨川では川辺川ダムより河床掘削を進めるべきだと訴えました。
南さんの提言のとおり、球磨川で必要とされる重要な治水対策は河床掘削であって、川辺川ダムではありません。
しかし、18日に開かれた球磨川流域治水協議会の資料を見ると、国と熊本県は河床掘削には前向きでないことがわかります。
〈関連ページ〉
「”川辺川にゲート付き流水型ダム案”提示した国交省の球磨川流域治水協議会配布資料」
◆2020年12月17日 くまもと県民テレビ
https://www.kkt.jp/nnn/news100vpwpkt005tokm1nk.html
ー球磨川掘削が治水効果大 元職員ー
7月豪雨をきっかけに川辺川ダム建設容認へと舵を切った蒲島知事の治水対策。これについてこれまでダム建設にも携わった元県職員が会見し、人吉地域では、球磨川を掘削する方が治水効果が大きいと訴えた。
会見を開いたのは、県の職員として宇城市の石打ダムや苓北町の都呂々ダムの計画に携わってきた南由穂美さん。南さんは、球磨川の勾配や深さをもとに計算した結果、川底などを掘削することによる治水効果は川辺川ダムを超える効果があるとしている。そのうえで、人吉地区の地層は重機などによる掘削が可能なので治水対策のひとつとして検討すべきと訴えた。
熊本県は県が管理する球磨川の支流については、堆積した土砂の掘削を行う予定だが、国が管理する球磨川についてはダムの建設を国に要望している。
◆2020年12月18日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/theme/kawabegawa/id26675
ー「川辺川ダムより河川掘削を」 元熊本県職員が会見ー
京都大工学部で学んだ知識を河川行政に生かしてきた元県職員の南由穂美[ゆほみ]さん(69)=熊本県八代市=が17日、県庁で記者会見し、7月の豪雨を受けて議論が進む川辺川でのダム建設について「河川掘削がより効果的でコストも低い」と訴えた。
県を退職した南さんは土木技術のコンサルタント会社を経営。川辺川ダムに反対する市民団体と球磨川の治水を検証している。
会見では、人吉市中心部の球磨川を200メートルの川幅で3メートル深く掘削すれば、流量を毎秒3600トン増やせるとの試算を説明。国が川辺川ダムでカットできるとした2800トンを超えるとした上で、「約240億円の工費はダム建設の10分の1以下だが、県はこれまで有効性を検証していない」と指摘した。
河川掘削は県が策定を進める球磨川の「流域治水計画」にも盛り込まれる予定だが、具体的な区間などは今後まとまる見通し。(堀江利雅)