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熊本県、豪雨被災地の復旧復興ロードマップを公表

 3月2日に熊本県が昨年7月豪雨の復旧・復興プラン工程表を公表し、重点10項目について当面3年間の到達目標を示しました。
 熊本県の発表内容は下記ページで見ることができますが、いまひとつはっきりしない工程表です。

 ★熊本県【3月2日】令和2年7月豪雨復旧・復興本部会議(第6回)
  https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/1/87561.html

 “緑の流域治水” の推進と復旧 ・復興に向けた重点10項目の資料1-①、②(3,4ページ)にロードマップが掲載されています。

 関連記事を転載します。

◆2021年3月3日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASP326RT0P32TLVB00D.html
ー豪雨被災地の復旧復興 県、ロードマップを公表ー

 熊本県は2日、昨年7月の記録的豪雨で甚大な被害が出た球磨川流域市町村の復旧や復興の工程表(ロードマップ)を公表した。流域治水の取り組みや被災者の生活再建、まちづくりや集落再生、道路や鉄道の復旧など重点10項目について今後3年間での到達イメージを示した。川辺川の流水型ダムや遊水地の整備は含まれていない。

 重点10項目はほかに防災のソフト対策、なりわいの再建や新産業創出、農林水産基盤の復旧、インフラの創造的復興、観光の復活など。県が昨年11月に公表した「復旧・復興プラン」から、目に見える成果が求められ、安全安心の確保や生活再建に直結する項目を選んだという。

 河川の対策では、今年の出水期までに県管理河川に堆積(たいせき)した土砂の撤去を完了させる。2023年度末までに計画的な河道の掘削や堤防や護岸などの河川施設の復旧を実施する。防災のソフト対策では、今年の出水期までに必要な世帯への戸別受信機設置を完了させ、21年度末までに全世帯への設置を目ざす。田んぼダムの取り組みは今年の出水期までに8市町村でモデル地区を選定。水稲や葉タバコへの影響などを検証し、人吉・球磨地域への普及を進める。

 住まいの再建は、被災者一人ひとりの意向に沿った支援策を用意し、23年度末までの仮住まいの解消を目ざすという。災害廃棄物は今年12月までの処理完了を示した。

 一方、JR肥薩線の復旧については具体的な工程を示していない。JR九州による復旧費用の算定や復旧方針の検討を受け、関係者で協議するとした。くま川鉄道に関しては、23年度末までに部分運行や全線運行に向けた工事の実施を掲げた。

 蒲島郁夫知事は会見でロードマップについて「球磨川流域の創造的復興に向けて目ざすべき目標であり、必ず復興を成し遂げるという私の決意の表れだ」と述べた。(伊藤秀樹)

◆2021年3月3日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/news/id131345
ー梅雨期まで治水優先 熊本豪雨の復旧・復興プランで熊本県が工程表ー

 熊本県は2日、昨年7月の豪雨で被災した県南地域の復旧・復興プランに盛り込んだ重点10項目の工程表を公表した。今年の梅雨期までに優先して取り組む治水対策のほか、蒲島郁夫知事の4期目の任期を踏まえ2023年度末までの「到達目標」を列挙。同年度末で、仮設暮らしなどを強いられている被災者の住まい再建・確保にめどをつける方針だ。

 工程表は、治水対策3項目、住まい再建やまちづくり2項目、産業再生2項目、交通インフラ整備2項目、観光復活1項目。

 球磨川などの緊急治水対策は、出水の危険性が高まる今年の梅雨期までに前倒しで実施。流域で要望が多い河道掘削や堤防整備、堆積土砂の撤去を急ぐ。避難情報を得る戸別受信機の設置やハザードマップ更新、時系列の防災行動「マイ・タイムライン」普及などソフト対策も強化し、「逃げ遅れゼロ」を目指す。

 水田に雨水をためて洪水被害を軽減する「田んぼダム」は、人吉市やあさぎり町など8カ所のモデル地区を皮切りに、21年度末で270ヘクタール、23年度末で540ヘクタールを確保する。

 住まい再建では、高齢者世帯の利用を想定した住宅ローンへの利子助成を推進。被災家屋の公費解体や災害廃棄物の処理は21年12月に完了する。災害公営住宅の入居は23年度末までに始める。

 産業関連では商店街の事業再開、農林水産基盤の復旧を23年度末までに実現させる。

 観光関連では、23年度末を目標に宿泊者数を被災前以上の水準とする。球泉洞や球磨川下り、ラフティングの再開は今年夏が目標。青井阿蘇神社など被災文化財は23年度末までに90%復旧させる。

 交通インフラは道路の復旧工事や仮橋の設置などで回復。ただ国道219号やJR肥薩線、くま川鉄道の復旧は「国やJR九州などが対応を協議中」として、具体的なスケジュールを示さなかった。

 工程表の対象地域は球磨川流域12市町村と津奈木町。蒲島知事は「流域住民の声を反映させた10項目は、復興を成し遂げる県の決意の表れ。私の任期中に実現する覚悟を示した」と話した。(潮崎知博)

https://this.kiji.is/739655259361263616?c=92619697908483575
ー熊本豪雨の復旧・復興プランを県が公表 治水、不明確な工程もー

 <解説> 熊本県が2日公表した昨年7月豪雨の復旧・復興プラン工程表は、重点10項目について当面3年間の到達目標を示した。ただ、プランの柱となる球磨川の治水対策が検討の途上にあるため、明確なスケジュールや完了時期を示せない取り組みも残った。

 「河川の緊急対策」を示す項目は、「計画的な河道掘削・河川施設の復旧の実施」との表現にとどめ、終了時期を示せなかった。国などが1月に示した球磨川水系の「緊急治水対策プロジェクト」で、河道掘削の一部が2029年度まで続く見通しのためだ。

 工程表では、川辺川への流水型ダム建設や県営市房ダムの再開発には触れなかった。県球磨川流域復興局は「これから調査・検討を進める段階で、短期的な到達度が示せる状況にない」とする。

 被災者の暮らしに直結する「住まいの再建」は、3年後の目標を「一人一人の意向に沿った再建・確保の完了」とした。県すまい対策室は「少なくとも居住先の確保にはめどをつけたい」と説明する。

 熊本地震の災害公営住宅(復興住宅)は発生から約4年で全て完成した。しかし、今回は宅地かさ上げなど国の治水対策を踏まえて建設するケースも想定され、建設時期が読みにくいという。

 いずれも住民の関心が高いテーマだけに、工程表のさらなる具体化と分かりやすい説明が必要だ。(内田裕之)

◆2021年3月3日 毎日新聞熊本版
https://mainichi.jp/articles/20210303/ddl/k43/040/282000c
ー九州豪雨 住民の本格的住まい再建へ 復興住宅23年度完成目指す 県が復旧プラン重点10項目 /熊本ー

 熊本県は2日、2020年7月の九州豪雨で被災し仮設住宅などで暮らす住民の本格的な住まいの再建・確保を23年度までに完了させる方針を示した。主要な災害公営住宅(復興住宅)の23年度完成、入居開始を目指す。

 県が住まい再建の方針などを盛り込んだ「復旧・復興プラン」の重点10項目を発表した。21年の梅雨までに球磨川支流などの堆積(たいせき)土砂を撤去することも明記。全線運休が続く第三セクター「くま川鉄道」(人吉市)は、一部区間の先行再開も視野に復旧を進める。

 蒲島郁夫知事は記者会見で「熊本地震の経験を生かしながら、県民の期待値を超えるような形で進めていきたい」と話した。【城島勇人】