八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ツ場ダム堤のエレベーター、一般開放 

 昨年4月から運用を開始している八ッ場ダムの堤体にはエレベーターが設置されており、本日公開されるとのことです。

★長野原町オフィシャルガイドHPより「お知らせ」
 https://naganohara.com/news/yamba-dam-elevator/
 八ッ場ダム 多目的エレベータの開放について


 
 エレベーターの公開が一年遅れたのは、以下の記事によれば、ダム直下で行われてきた発電所の建設工事が遅れたためです。八ッ場ダムからの放流水で水力発電を行う群馬県営「やんば発電所」は今年3月にようやく完成しました。
写真=赤い管理橋の左岸側の地下に水力発電所が建設された。

 八ッ場ダムは名勝・吾妻峡の中に建設され、ダムに水没した川原湯温泉は、吾妻峡の上流側にそびえる山の麓の温泉街でした。ダム直下は吾妻川の最狭窄部とされる「八丁暗がり」です。両岸の岩山、「新蓬莱」(左岸側が大蓬莱、右岸側が小蓬莱)が迫る中を、吾妻川が身をくねらすように曲がりながら流れ落ちていきます。

 ダム堤の両岸には、川原湯地区と川原畑地区の水没住民の移転代替地があります。ダム堤は昨年7月に公開されましたが、川原湯地区の代替地とダム堤を結ぶ道路の完成が遅れ、これまでは川原畑地区からのみアクセス可能でした。今月、川原湯地区の道路が完成し、エレベーターも公開されることから、ようやく川原湯温泉と吾妻渓谷の往来が可能になります。
写真右=川原湯地区の代替地とダム堤を結ぶ道路の入り口。ダム堤は車両通行不可。両岸の代替地には、沢を埋め立てた大きな駐車場が整備されている。

◆2021年4月28日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/291010
ー八ツ場ダムのエレベーターあす一般開放 上下流の行き来を徒歩で 周遊観光に期待ー

 八ツ場ダム(群馬県長野原町)本体上からダム下までをつなぎ、管理や観光に使う多目的エレベーターについて、国土交通省利根川ダム統合管理事務所は27日、一般開放を29日に始めると明らかにした。ダム上流の同町側と下流に位置する東吾妻町側を徒歩で行き来できるようになる。ダム完成から約1年遅れの開放で、ダム下に延伸した自転車型トロッコの活用をはじめ、周遊観光への期待が高まる。

 ダム本体上からダム下まで観光客が行き来する手段はエレベーターのみで、利用開始の時期が注目されていた。本来の定員は24人だが、新型コロナウイルス感染防止のため当面は利用時に3分の1程度に制限する。利用時間は午前10時~午後4時。防災操作や月1回の保守点検時には利用できない。

 観光利用の管理をする長野原町は「コロナ下で大々的に観光に来てとは言いづらいタイミングでの開放となるが、感染予防を徹底して利用してほしい」としている。

 ダム直下の敷地と、ダム下で右岸と左岸に渡れる「管理橋」も開放され、ダム本体の迫力も楽しめる。

 東吾妻町が運営する自転車型トロッコ「吾妻峡レールバイク アガッタン」は17日、ダム本体のすぐ下まで約800メートル延伸した新コースの営業を始めている。エレベーターによりトロッコ乗車場所へのアクセスも向上する。東吾妻町観光協会の担当者は「エレベーターでダムの上から東吾妻町側を訪れる観光客も増えるだろう」と期待する。

 エレベーターを巡っては、ダム本体上が開放された昨年7月以降も、ダム直下で今年3月まで発電所の建設工事が行われていた影響でエレベーターの開放が延期されていた。発電所周辺の舗装工事などが終了したことを受け、開放できることになった。(関坂典生)

—転載終わり—

写真=ダム直下、左岸側に大蓬莱、右岸側に小蓬莱がそびえる、吾妻川の最狭窄部。

写真=川原湯地区の打越代替地とダム堤をつなぐ道からは、ろうそくのようにそびえる岩や美しい滝も見える。ダム建設で破壊された名勝・吾妻峡の中でかろうじて残された自然景観。