パブリックコメント導入20年超、問題ケースに八ッ場ダム検証(東京新聞)

 導入から20年以上たつパブリックコメントが本来の役目をはたしていない現状について、東京新聞が大きく取り上げました。
 以下は一面掲載記事です。

 ★2021年5月31日 東京新聞
 「<民主主義のあした>パブリックコメント、目立つ政府の恣意的運用 導入20年超 法案作成で実施の義務なし」 

 この日の東京新聞は、17面のほぼ全面を使って、現状のパブコメの様々な問題を取り上げました。その中で、意見提出の手法に問題があったケースとして、八ッ場ダム検証時のパブコメが取り上げられています。

 17面記事(「パブコメ 磨けば光る「宝の山」 現状 形だけの「お墨付き」)から一部引用
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 「意見提出の手法が問題になった事例もある。(20)11年に行われた八ッ場ダム(群馬県)の建設是非を巡る国土交通省関東地方整備局のパブコメでは、埼玉県議会の建設推進派が「賛成」の意見を組織的に集めた。提出意見約六千件のうち96%が同県から出され、「世論誘導」と批判された。」

—引用終わり—

 2011年当時の報道によれば、国土交通省関東地方整備局のホームページに掲載された「パブリックコメントの結果」は、全体の96%以上が埼玉県民からの提出で、しかも同じく96%以上が同一の印刷文にただ署名しただけの「意見」であったということです。
 ➡「埼玉の”やらせ”パブコメ事件」(2011年12月9日)

 さらに詳しいレポートが「「八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会」のブログに掲載されています。
 ➡「インチキパブコメの集約先「県議会事務局」に行ってきました」

 問題となった同一の意見(5739人分)を関東地方整備局へ提出したのは、埼玉県議会事務局だったということです。
 『八ッ場ダム建設事業の推進を求める埼玉県議会議員連盟』会長の佐久間実県議(自由民主党)の依頼を受けた埼玉県議会事務局は、応募用紙を作成・印刷して県議会事務局の封筒に入れる事務作業を行いました。『建設推進埼玉大会』で配布されたこの「応募用紙」は、県議会事務局によって集約され、関東地方整備局へ送付されました。

 ダム行政では長年、ダム建設を推進するために、流域住民や識者の意見を反映させて、場合によっては事業を見直すきっかけとなる筈の検証作業が骨抜きにされてきました。パブリックコメントもそうですし、「有識者」によってダムの必要性が検証される筈の事業監視委員会もそうです。2011年の八ッ場ダムの検証、その後に続いた全国のダム検証そのものが事業者(八ッ場ダムの場合は国交省関東地方整備局)みずからが「検証」するという、自画自賛といっても過言ではない茶番劇でした。
 2011年当時の八ッ場ダムのパブコメ問題は、一部の新聞が取り上げたものの、一般には殆ど知られることなく終わってしまいました。中身に問題のある公共事業を本来の意味で検証するためには、検証作業の在り方そのものを見直す必要があります。