八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダムのリムトンネル貯蔵の酒、予約販売

 八ッ場ダム周辺では、ダムを冠した商品が数多く販売されています。地元・長野原町唯一の酒蔵、浅間酒造がPRしている日本酒「八ッ場の風」もその一つです。
 地元紙によれば、「八ッ場の風」はダム堤の脇につくられたリムトンネルで熟成させたことが”売り”だそうです。
 リムトンネルとは、ダム建設の際の「グラウチング」に使われるトンネルです。グラウチングとは、ダムを支える岩盤にある亀裂や断層にセメントミルクを埋め、岩盤を強化する工事です。
写真右=ダム堤の左岸側(川原畑地区)にあるリムトンネル。2020年7月撮影。

◆2021年7月13日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/309736
ー長野原・八ツ場ダム工事用活用 トンネルで地酒寝かす 夏でも15度程度「緩やかな熟成」 浅間酒造が予約販売ー

 八ツ場ダム(群馬県長野原町)の知名度を生かした名産品づくりの一環で、ダム建設時に岩盤強化工事で使った「リムトンネル」で日本酒を寝かせる取り組みが今月下旬に始まる。地元の浅間酒造(同町長野原、桜井武社長)が造った「八ツ場の風」を貯蔵し、予約者に販売する。

 リムトンネルは、岩盤の中の断層や亀裂をセメントなどで埋めるリムグラウチング作業のため、ダム堤体の両側の山に掘られた。同社によると、トンネル内の温度は夏でも15度程度で安定しており、日本酒の熟成などに適している。(関坂典生)

——転載終わり—–

 国土交通省八ッ場ダム工事事務所が発行した「八ッ場ダムニュース」(2015年10月)によれば、八ッ場ダム事業ではダム堤の左右岩合わせて約300メートルのリムトンネルを掘ることになっていた。
 リムグラウトトンネルの図面(国交省資料)
 リムグラウトトンネルの図面

 ダム堤内につくられたエレベーターで吾妻渓谷に下り、下流側から八ッ場ダムを見上げると、左岸側(川原畑地区)では酸性熱水変質帯から流れ出る地下水の影響か、コンクリートが赤茶けているのが見えます。右岸側(川原湯地区)では、吾妻渓谷の遊歩道の脇を流れていた栃ボラの滝の跡が見え、その下流側でも岩の割れ目から水がしみ出しているようです。

写真=2021年5月15日撮影。