石木ダムをめぐる長崎県知事の会見発言

 長崎県では、石木ダムに反対する住民と県との対話が実現しないまま、県が設けた話し合いの期限(8月末)が過ぎました。長崎県は行政代執行による住民の追い出しを否定しておらず、中村法道知事の記者会見ではこの問題に関する報道各社の質問が相次いだようです。
 関連記事はこちらのページにまとめています。
 ➡「石木ダム 対話実現せぬまま本体工事着工へ」

 記者会見における一問一答が長崎県ホームページに掲載されています。

★長崎県ホームページより「令和3年8月31日 記者会見」
 https://www.pref.nagasaki.jp/koho/governor/kaiken/20210831.html
 
5.石木ダム建設事業について(1)
○記者(西日本新聞社) 石木ダムの建設事業についてお尋ねします。反対住民側との話し合いの期限を県は8月末までと設定され、9月以降は工事を着実に進めていくということを示されていました。本体着工時期の目処についてどうお考えなのか、反対住民側と今後話し合いをされる意思がおありなのかお尋ねします。

○知事 現在、話し合いについては、その実現に向けて諸条件の調整についてお願いをさせていただいてまいりましたけれども、現時点でまだご回答をいただいていないところであります。
 この間、数度にわたって調整を進めさせていただきましたけれども、なかなかご理解をいただけない状況にあるということを残念に思っているところでありますが、これ以上、様々な工事の着工等を延期するというのも、なかなか難しい状況にありますことから、今後、本体着工、あるいはその他の工事についても、契約に向けた手続等を進めていく必要があるものと考えているところであります。
 なお、話し合いの機会については、条件が折り合えば、ぜひ今後ともそうした機会をいただきたいと願っているところであります。

9.石木ダム建設事業について(2)
○記者(NBC) 石木ダムに関連してお尋ねします。今月の大雨の際に川棚町にも大雨特別警報が出され、トータルで1,000ミリ近い雨が降ったと把握しています。
 そういった中で、川棚川本流では洪水や越水などは見られなかったと聞いております。それを踏まえて、あえて石木ダムを造る必要はないという疑問の声も上がっているようですが、これについての受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。

○知事 川棚川の治水対策というのは、これまでと同様の雨が降った程度であれば、基本的に対応できるだけの容量を確保して河川改修等に取り組んできたところでありますが、それよりもさらに大量の雨、いわゆる100年に一度の規模の雨が降った場合にも、安全・安心を確保できるような対策を講じるために、ダムの建設と一体的な整備を進める必要があると考えて、このプロジェクトを進めているところであります。
 今回も、前線が長期間にわたって停滞し、川棚川流域については、私も大変心配をいたしておりましたけれども、幸いにして越水等がなくて済んだということで一安心いたしているところであります。
 ただ、やはり雨の降り方によって危険度は大きく変わってきますので、万全の対策を講じて地域の安全を守っていく必要があると今回の大雨で改めて実感いたしました。したがって、一刻も早くこの事業は進めていかなければならないとの思いを強くしたところであります。

○記者(NBC) ありがとうございます。本流でそういった問題が起こらなかった一方で、河口で海からの逆流により冠水が発生していたという地元の声が聞かれています。石木ダムよりも防潮堤、防波堤の整備のほうが先ではないかという声も聞かれるのですが、それについての受け止めはいかがでしょうか。

○知事 それは、やはり今回の状況をよく調査・分析の上、必要な対策等について検討していく必要があるものと考えております。

○記者(NBC) あくまで防波堤、防潮堤よりも石木ダムのほうが優先順位としては高いと認識されていらっしゃるということでしょうか。

○知事 防潮堤を要するようなこれまでの災害というのは、私は聞いていなかったところでありますので、そのリスクがどの程度のものであるのかということは、十分現状を踏まえて分析していく必要があるのではなかろうかと考えております。だからといって、石木ダムの必要性そのものがなくなるということではないものと思っております。

11.石木ダム建設事業について(3)
○記者(長崎新聞社) 石木ダムについてお尋ねします。8月末までが対話の期限とされていますけれども、これまで反対住民との対話が実現していない要因について、知事はどのようにお考えでしょうか。

○知事 これまで協議をさせていただいたお返事の中で、工事を即時中断し、話し合いの期間中は工事を中断する必要がある、そうでないと協議に応じられないといったようなお話も頂戴したところでありますが、先ほどからお話をさせていただいておりますように、この事業そのものは、地域の安全・安心を確保する上では、一刻も早く完成させていく必要がある事業であると考えているところであり、話し合いだけが長引いて、工事が長期中断を余儀なくされるという事態は避けていかなければいけないと考えているところであります。したがって県からは、この話し合い、条件協議の場をいただけるようにお願いをしておりましたけれども、そういったことで、話し合いの当日については、工事を中断させていただいた上で協議に応じていただくようにというお願いをいたしておりましたけれども、そういったことについても、具体的なご回答をいただけない状況となっているところ、そういった点が、なかなかご理解いただけなかった点ではなかろうかと考えているところであります。

○記者(長崎新聞社) 9月以降は、着実に事業は実施されるということですけれども、今、本体工事については、9月末まで契約の延長をされていますが、9月中にも本体工事に着手するお考えはあるのでしょうか。

○河川課長 本体工事については、いつでも着手できるように石木ダム建設事務所で準備を進めているところでございますけれども、具体的にいつ着手するのかということについては、まだ決定してないような状況です。

○記者(長崎新聞社) 分かりました。対話が結果的に8月末まで実現しない中、今後、どこかのタイミングで本体工事に着手することになれば、ますます反対住民側の態度を硬化させるのではないかということを心配しているのですけれども、そういったことについてはどのようにお考えでしょうか。

○知事 やはりこの事業というのは、繰り返し申し上げておりますように、反対住民の皆様方のご了解をいただいて、円満に工事に着手することができるということが最良の方法だろうと思いますけれども、話し合いの条件についての協議の機会自体いただけない状況になっているわけでありますので、引き続き、対話に向けて努力は続けながら、ただ、これ以上、工事中断が長くなるということは避けていかざるを得ないという思いであります。確かに反対運動がさらに高まる可能性があるかと思いますけれども、安全を確保しながら細心の注意をもって事業を進めていく必要があるものと思っております。

○記者(長崎新聞社) 分かりました。行政代執行について、知事はかねてより、任期中に方向性を出したいとおっしゃられていましたけれども、3期目の任期が、あと半年になりました。残された時間は少ないですが、任期中に方向性を出したいというお考えにお変わりはないでしょうか。

○知事 出していける状況、そういった環境になれば、決断をしないといけないのではなかろうかと思いますが、これまでも申し上げてきたとおり、行政代執行というのは最後の手段であり、他に取り得る方法がないという状況になり、また、その他の工事の進捗状況でありますとか、その他の環境、訴訟の状況等も踏まえて、総合的に判断をしなければいけないものと思っております。
 私は、一人の行政の責任者として、与えられた期間が、任期が定まっておりますので、その中で判断を要しなければいけないという状況になれば、政治生命をかけてでも決断していかなければいけないという思いで申し上げてまいりましたけれども、やはりそういった状況を客観的、総合的に判断して決断を行う必要があるものと思っております。

○記者(長崎新聞社) 分かりました。

17.石木ダム建設事業について(4)
○記者(NBC) 石木ダムについて、1点追加でお伺いします。今回の大雨で、県が100年に一度の大雨と想定されていらっしゃる24時間で400ミリの雨を超える量の雨が川棚川の周辺で降ったとされ、それでも川棚川では氾濫危険水位は越えなかったと聞いています。それでも石木ダムの必要性は変わらないと認識されていらっしゃるのでしょうか。

○知事 100年に一度の雨と言いますのは、量そのものが多いというだけではなく、いわゆる降り方によって危険度が全く変わってきます。長時間にわたってだらだらと降る雨であるのか、急激にピークを迎えるような雨であるのか。したがって、最も危険な雨の降り方、これまでの降雨実績等から計算して、流域の安全性を考える際に、そういった危険性の高い雨が100年に一度くらいの規模で降る場合にも耐え得るようにという考え方で計画を策定しているところであります。