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国土交通省 球磨川の河川整備基本方針 審議資料17カ所で誤り

 昨日(12月2日)、球磨川水系の治水方針を決める国土交通省の専門家委員会が再度開かれました。国土交通省の資料に、河川流量等の基礎データなど数十カ所の誤りがみつかったからです。
 2020年の球磨川水害の後、国土交通省は熊川の最大支流・川辺川に計画されながら中止された巨大ダム計画を復活させました。この専門家委員会では、川辺川の新たなダム計画を進めることを前提に、国土交通省が治水方針の変更案を提示し、11月に委員らに了承されています。報道によれば、委員長の小池俊雄氏は「これまでの審議結果に影響はない」と述べているとのことですが、誤りがあった箇所は17に及び、治水対策を検討する上で重要な誤りも含まれており、審議結果の了承に問題がないことを確認するための形式的な審議が行われたようです。

★国土交通省ホームページより
  水管理・国土保全トップ >> 審議会等 >> 河川整備基本方針検討小委員会 >> 第117回 配布資料一覧

 資料1 球磨川水系河川整備基本方針の変更に関する審議資料の記載の修正についてより2ページ「資料記載の誤りについて」

 関連記事を転載します。

◆2021年12月3日 毎日新聞熊本版
https://mainichi.jp/articles/20211203/ddl/k43/040/322000c
ー国土交通省 球磨川の河川整備基本方針 審議資料17カ所で誤り 九州豪雨 洪水痕跡60センチずれも /熊本ー

 2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川水系の河川整備基本方針の変更に関する審議資料について、国土交通省は2日、被災家屋の写真で示した洪水痕跡の高さが約60センチずれるなど17カ所で誤りがあったと明らかにした。

 河川整備基本方針は、長期的な視点に立った河川整備の考え方。有識者でつくる社会資本整備審議会河川分科会の意見を聴き、国交相が定める。

 誤りがあったのは、7月以降の小委員会4回と分科会1回で国交省が示した資料。球磨村の球磨川支流沿いの家屋が九州豪雨で約4メートル浸水した痕跡を示した写真では、実際より約60センチ低い位置に同省が線を書き込んでいた。誤りの理由について同省の担当者は「別の資料から写真を転載する際に線の位置がずれた」と説明。他にも過去の洪水時の降雨データや、洪水要因の記載なども誤っていた。

 基本方針は、小委員会の議論を踏まえた11月の分科会で、豪雨時の最大流量(基本高水流量)を引き上げるなどの内容で変更が了承された。同省は2日に改めて小委員会を開いて誤りを修正したが、小池俊雄委員長(土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長)は「これまでの審議結果に影響はない」と述べた。【城島勇人】

◆2021年12月2日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASPD26GRMPD2UTIL00R.html
ー国交省の委員会資料に数十カ所の誤り 同じ名前の鳥と貝、取り違えもー

 熊本・球磨川水系の治水方針を決めた専門家委員会に示した国土交通省の資料に、河川流量や動植物の生態に関わる基礎データなど数十カ所の誤りが見つかった。これを受けて2日に開いた再審議の委員会で、同省は「事務局案を作る際、検討途上の資料などをもとに作っていた。再発防止を徹底したい」と陳謝した。委員会は整備方針に影響はないとして再度承認した。

 国交省によると、誤りが見つかったのは、今年7~11月の5回の委員会などで示された資料のうちの計17ページ。同県八代市内の最大流量を示す資料では、計算過程の数値を別の数値と混同して低く記載していた。

 動植物の生育環境の変化などを示す資料で、鳥の「ミヤコドリ」と同じ名前が付く貝「ミヤコドリガイ」を取り違えて計上していた。いずれも外部からの指摘で判明した。

 会合には河川や生物の専門家のほか、蒲島郁夫・熊本県知事も臨時委員として参加し、これらの資料を基に議論。国交省が提示した基本方針案は11月に承認されていた。委員会の小池俊雄委員長(土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長)は、「基本中の基本であるデータのチェックが私自身不十分で、深くおわびする」と述べた。(山本孝興)