国土交通省四国地方整備局が建設をめざす山鳥坂ダムは、愛媛県を流れる肱川水系の三つ目の国のダム計画です。建設予定地は肱川支流の河辺川(かわべがわ)です。その山鳥坂ダムの計画変更が有識者会議で了承されたとのニュースが流れています。
八ッ場ダムもそうでしたが、長期化しているダムの多くがダムに不適な土地に計画され、工事の難航で完成予定がずるずると伸びます。
肱川水系に既にある野村ダムと鹿野川ダムは、2018年の西日本豪雨の際、肱川上流に線状降水帯が停滞したことにより豪雨のさなかに満水となり、緊急放流を行わざるを得なくなり、肱川の氾濫により流域住民8人が亡くなりました。肱川の治水対策は、山鳥坂ダム事業に予算をとられ、河川改修が疎かになっているとされます。
山鳥坂ダムは1986年に事業着手されたものの、2000年に自民・公明・保守の3与党が山鳥坂ダムの中止を勧告しました。ところが、加戸守行愛媛県知事(当時、故人)ら推進派の巻き返しにより継続が決まった経緯があります。当初計画では等にできているはずのダムですが、再三にわたる工期延長で完成予定は10年以上先となります。計画そのものに問題がある呪われたダムという声もあります。
国交省山鳥坂ダム工事事務所のホームページに、計画変更が了承された有識者会議の記者発表資料が掲載されています。http://www.skr.mlit.go.jp/yamatosa/kisya/pdf/211220.pdf
◆2021年12月20日 愛媛新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a0927f8d59217957cc7243a42072f5e505d132e
ー山鳥坂ダム予定地 400メートル上流に変更 岩盤地滑り対策見直しで 国交省発表ー
岩盤の地滑り対策に見直しが必要になったことを受け、肱川支流・河辺川で進む山鳥坂ダムの適正な建設予定地を検討していた国土交通省山鳥坂ダム工事事務所は20日、現在の予定地から上流約400メートルの位置に建設地を変更すると明らかにした。当初予定していた2026年度の完成を断念し、32年度完成を目指す。
同日開かれたダム事業費等監理委員会(委員長・森脇亮愛媛大教授、4人)で事務所が明らかにした。
事務所によると、工期の長期化や地滑り対策などの計画変更に加え、物価変動などの影響でダム建設の総事業費は約470億円増の約1320億円。これまでの予定地で地滑り対策などを施しながら建設を進めた場合は、完成予定は38年度で、事業費は約1600億円の見込みだったという。
予定地の変更に伴い、ダムの規模も変更。総貯水容量が290万トン減の2200万トンになるが、従来の計画と同じ洪水調節容量を確保するため、予備放流の実施で容量を補う。ダムでは事前放流の実施も予定している。
委員会の審議は非公開。事務所によると、委員は予定地の変更を「妥当」と評価し、工期短縮やコスト縮減の徹底を求めた。事務所の福田勝之所長は「ICT技術を積極的に導入し、早期完成に向け全力で取り組む」と話した。
山鳥坂ダムを巡っては、建設予定地の右岸側下流域の岩盤で大規模な地滑り対策が必要と判明し、事務所は26年度の完成を断念。対策に要する事業費や長期化する工期への影響を軽減するため、場所を変更する可能性を含めて予定地の精査を進めていた。(薬師神亮太)
◆2021年12月22日 毎日新聞愛媛版
https://mainichi.jp/articles/20211222/ddl/k38/040/399000c
ー西日本豪雨3年 山鳥坂ダム 建設地400メートル上流へ 地滑り対策 完成6年遅れに /愛媛ー
西日本豪雨で甚大な被害を起こした肱川の治水対策として計画されている山鳥坂ダム(大洲市)について、国土交通省山鳥坂ダム工事事務所は建設地点を現在の予定地から約400メートル上流に移すと決めた。地滑り対策を実施しながら事業費を極力抑えるため。2026年度に完成させる計画は難しくなり6年遅れの32年度を目指す。物価変動や工期の長期化で、総事業費は約470億円増の約1320億円となる見込み。
同ダムは肱川の支流の河辺川に建設予定で、工事が進む。だが、21年5月にダム本体の建設予定地付近で大規模な地滑りが発生する恐れがあると判明。他の候補地を探すなど計画を精査していた。
従来の予定地のまま、地滑り対策を施して建設する場合、完成予定は38年度にずれ込み、総事業費も約1600億円に膨らむ恐れがあった。20日に開かれたダム事業費等監理委員会で、同事務所が予定地変更の方針を説明。委員は「妥当」と評価し、工期短縮や経費圧縮の徹底を求めた。【遠藤龍】
◆2021年12月20日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/matsuyama-news/20211220/8000011637.html
ー山鳥坂ダム 完成は令和14年度に遅れる見通しー
西日本豪雨で大きな被害が出た大洲市の山あいに治水対策として計画されている山鳥坂ダムについて、四国地方整備局は地すべり対策などの影響で当初の予定より6年遅れ、令和14年度の完成となる見通しを新たに示しました。
山鳥坂ダムは、大洲市を流れる肱川の支川、河辺川に建設される予定の治水ダムで、令和8年度の完成を目指していましたが建設予定地の周辺に大規模な地すべりが起きるおそれがある地盤が見つかったため用地の変更が検討されていました。
きょう、大洲市で開かれた専門家などによる監理委員会の会合では、四国地方整備局の担当者から地すべり対策の事業費を極力抑えるためとして、当初の予定地より400メートルほど上流側に変更する案が示されました。
その上で、物価の変動や働き方改革の影響も加え、工事の完成は当初の計画より6年遅れた令和14年度、総工費は470億円増えておよそ1320億円となる見通しを示しました。
委員会では「計画の遅れは非常に残念で、できるかぎり短縮に努めてもらいたい」などと意見が出された上で、変更が了承されたということです。
山鳥坂ダム工事事務所の福田勝之所長は「地元の方からも早期に建設してもらいたいという声をいただいている。住民の方に説明していくとともに工期の短縮、事業費の縮減に努めていきたい」と話しています。
◆2021年12月20日 テレビ愛媛
https://news.yahoo.co.jp/articles/634b1c298028420307bdf51ccf2cda54e45dd322
ー山鳥坂ダム 本体建設予定地を変更 当初予定地に地滑り発生の恐れ 完成は大幅遅れにー
肱川の治水対策として建設が予定されている山鳥坂ダムが、地滑りが発生する恐れがあるとして、ダム本体の建設予定地を変更することが決まりました。
山鳥坂ダムは肱川の治水対策として、現在、ダム周辺の工事が進められています。
しかし、今年5月、建設に伴う工事などにより、ダム本体の建設予定地近くで大規模な地滑りが発生する恐れがあることが分かり、国が対応を検討していました。
そして、専門家の会議が20日に非公開で開かれ、国は地質調査などを精査した結果、ダム本体の建設予定地をこれまでより約400メートル上流の場所に移す案を提示しました。
この場合、ダムの治水機能は維持したままで、計画をこのまま進めるよりも事業費が抑えられ工期が短くなるということです。
委員からは予定地の変更について異論は出ず、変更案は了承されました。
山鳥坂ダムは肱川の治水対策として35年前に事業着手され、2026年度中の完成が計画されていましたが、これにより完成予定は2032年度中と大幅に遅れることになります。
◆2021年12月22日 毎日新聞愛媛版
https://mainichi.jp/articles/20211222/ddl/k38/040/399000c
ー西日本豪雨3年 山鳥坂ダム 建設地400メートル上流へ 地滑り対策 完成6年遅れに /愛媛ー
西日本豪雨で甚大な被害を起こした肱川の治水対策として計画されている山鳥坂ダム(大洲市)について、国土交通省山鳥坂ダム工事事務所は建設地点を現在の予定地から約400メートル上流に移すと決めた。地滑り対策を実施しながら事業費を極力抑えるため。2026年度に完成させる計画は難しくなり6年遅れの32年度を目指す。物価変動や工期の長期化で、総事業費は約470億円増の約1320億円となる見込み。
同ダムは肱川の支流の河辺川に建設予定で、工事が進む。だが、21年5月にダム本体の建設予定地付近で大規模な地滑りが発生する恐れがあると判明。他の候補地を探すなど計画を精査していた。
従来の予定地のまま、地滑り対策を施して建設する場合、完成予定は38年度にずれ込み、総事業費も約1600億円に膨らむ恐れがあった。20日に開かれたダム事業費等監理委員会で、同事務所が予定地変更の方針を説明。委員は「妥当」と評価し、工期短縮や経費圧縮の徹底を求めた。【遠藤龍】