川辺川新ダム、2035年度完成へ 国交省想定

 熊本県を流れる球磨川の支流、川辺川に建設される治水専用の「流水型・川辺川ダム」ついて、熊本日日新聞が国交省の想定しているダム建設の大まかな工程を伝えています。最初に川辺川ダム計画が発表されたのは1966年ですが、完成予定は2035年度とのことです。計画通りに進んだとしても完成までに70年を要することになります。

 川辺川ダムは民主党政権時代に政府が中止を決定しましたが、事業主体である国土交通省が中止手続きを行わず、2020年7月の球磨川水害を機に復活しました。水害発生後に、ダムを建設しなかったから大水害になったのだという言説が罷り通り、ダム容認の流れを作ったのですが、その後の研究者や市民団体の調査で、仮に川辺ダムが建設されていたとしても、50人に及ぶ犠牲者のほとんどは助からなかったことが判明しています。
 
 道路や橋、水没住民の移転代替地整備などの関連事業が進められてきた川辺川ダム事業には、すでに約2200億円が投じられていますが、これからさらに約2700億円が必要になると見込まれています。
 球磨川ではこの川辺川ダムのほかに、遊水池などの河川対策 に約1636億円が投じられることになっています。ありあまるほどの多額の税金を投じるわけですが、前例のない巨大な流水型(穴あき)ダムの河川環境の影響は未知数で、流域住民には今もダムに反対する意見が根強くあります。復興途上の球磨川流域はこれからどうなるのでしょうか。

◆2022年3月24日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/598651
ー川辺川新ダム、2035年度完成へ 国交省想定 事前調整5年、本体工事に9年ー

 熊本県の球磨川水系の氾濫対策として国土交通省が支流の川辺川で新たに建設する治水専用の流水型ダムに関して、2027(令和9)年度に本体工事に着手し、35年度の完成を見込んでいることが24日、関係者への取材で分かった。環境影響評価(アセスメント)などの事前調整期間として5年程度、その後の工事に9年程度かけることを想定している。

 新たなダム建設のスケジュールが明らかになるのは初めて。国交省は20年7月豪雨で甚大な被害を受けた球磨川流域の治水策を検討しており、その柱と位置付ける流水型ダム建設に向けた動きを22年度から加速化させる構えだ。政府の当初予算にはダム本体部分の地質調査に取り組む費用、環境影響評価に伴う水質と動植物の調査費などが盛り込まれている。

 国交省は26年度末までに、ダムの調査設計や環境影響評価、関係者との調整を終えることを想定。漁業権を持つ球磨川漁協との漁業補償協定締結も必要だが、中止になった旧川辺川ダム計画では交渉が難航した経緯があり、予定通りに進むか流動的な部分が残っている。

 27年度からの本体工事では、基礎掘削工事を4年程度で完了させた後、コンクリート打設などに移行。35年度に完成させる工程を描く。球磨川流域では今も水害リスクが高い状況が続いていることから、国交省はできるだけ工期短縮を図る考えだ。

 流水型ダムは旧川辺川ダム計画と同じ相良村四浦の峡谷に建設。高さ107・5メートル、総貯水容量約1億3千万トンで、国内最大の治水専用ダムとなる。

 環境への負荷を軽減するため、ゲート付きの放流口を本体下部と中段付近に設置。平常時は下部の放流口からそのまま水を流し、洪水時は下部のゲートを閉めて水をため、水位が上がれば中段のゲートを操作して放流量を調節する。

 事業費は、旧ダム計画の用地取得や住民の移転補償などにこれまで約2200億円を投じており、新たに約2700億円が必要になると見込んでいる。(内田裕之、中村勝洋)

◆2022年3月18日 毎日新聞西部朝刊
https://mainichi.jp/articles/20220218/ddp/041/040/008000c
ー川辺川 ダム事業2700億円 国交省発表 総額4900億円にー

 2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の支流・川辺川に建設する新たなダムについて、国土交通省は17日、今後必要となる事業費が概算で約2700億円に上ると発表した。ただし、09年に建設中止が決まった旧ダムの土地取得費などで支出済みの約2200億円を合計すると4900億円程度に膨らむ見通しで、旧ダムの建設費用として見込まれた約3300億円を大きく上回ることになる。

 国交省が熊本市で開いた球磨川水系の治水対策に関する学識者懇談会で示した。国は、一般的な貯水型ダムより環境への影響が小さいとされる「流水型ダム」を、同県相良(さがら)村の旧ダム建設計画地に造る方針。河床部と中段部の計2カ所に開閉可能なゲートを設置して平時は川の水を流し続け、洪水時は水をためて下流に流す水量を調節できるようにする。規模は高さ107・5メートル、幅約300メートル、総貯水容量約1億3000万トンで、国内最大の流水型ダムとなる。

 国交省によると、旧ダム建設のためこれまでに約98%の土地が取得済みで、周辺の道路などもほぼ完成。これらの費用として既に約2200億円が投じられている。基本的には新たに建設が決まったダムの用地や道路として使われることになるが、この日発表した約2700億円の概算費用には含まれていない。

 国交省はまた、約2700億円のダム費用に河道掘削や堤防整備なども加えた球磨川流域の治水対策全体の概算費用は約4200億円になると発表。10年後には球磨川の中流区間や人吉区間の宅地かさ上げや河道掘削は完了しているとの見通しを示した。ダムの着工時期や完成時期は明示しなかった。【吉川雄策】

◆2022年3月25日 毎日新聞西部朝刊
https://mainichi.jp/articles/20220325/ddp/041/040/012000c
ー熊本・川辺川 ダム完成、35年度目標 本体着工は27年度ー

 2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の支流・川辺川に治水対策として建設する新たなダムについて、国が35年度の完成を目指していることが24日、関係者への取材で判明した。新たなダムの建設スケジュールが明らかとなるのは初めて。

 関係者によると、22年度から5年かけて環境影響評価(アセスメント)などに取り組み、27年度からダム本体工事に着手して35年度の完成を目指している。国土交通省や熊本県は23日に水没予定地の同県五木村議会などに説明した。

 国は、一般的な貯水型ダムより環境への影響が小さいとされる「流水型ダム」を、同県相良(さがら)村の旧ダム建設計画地に造る方針。規模は高さ107・5メートル、幅約300メートル、総貯水容量約1億3000万トンで、国内最大の流水型ダムとなる。【吉川雄策】

◆2022年3月25日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20220325-OYTNT50027/
ー熊本・川辺川、流水型ダム2035年度の完成が目標と判明ー

 2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の治水対策で、支流・川辺川に設置が検討されている流水型ダムについて、国が35年度の完成を目指す方針であることがわかった。

 複数の関係者によると、国土交通省が23日、水没予定地がある熊本県五木村と同村議会の関係者に方針を説明した。調査設計や環境影響評価などに5年程度、ダム本体工事に9年程度を見込んでいるという。

 川辺川ダム計画は、旧建設省が1966年に発表。当初350億円とされていた事業費が膨らんだことなどから、「脱ダム」を掲げる民主党政権が2009年に中止した。しかし、九州豪雨を受けて、県が流水型ダム建設を要望したことから、国交省が流水型ダムを柱とする河川整備計画の策定を進めている。

◆2022年3月25日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15245571.html
ー川辺川流水型ダム、35年度完成見込み 国計画、27年度着工ー

 2020年7月の記録的豪雨で氾濫(はんらん)した球磨(くま)川(熊本県)支流の川辺川で国が計画する治水専用の流水型ダムについて、国が35年度の完成を見込んでいることが25日、関係者への取材で分かった。整備の具体的なスケジュールが示されるのは初めて。国は球磨川水系の河川整備計画を検討する28日の学識者懇談会でこのスケジュールを示し、意見を求める予定。

 関係者によると、国は22年度から5年かけて環境影響評価(アセスメント)や漁協との調整に取り組み、27年度からダムの本体工事を始め、35年度の完成を目指すという。ダム計画で一部が水没地となっている五木村議会などに、23日に説明した。

 川辺川へのダム建設をめぐっては、旧建設省が1966年に計画を発表したが、反対の声が根強く、蒲島郁夫知事が2008年に白紙撤回し、中止された。しかし、20年の豪雨災害を受けて、熊本県が建設を国に要望した。

 国は、一般的な貯水型ダムより環境への影響が小さいとされる流水型ダムを、従来のダム建設地である相良村に建設する方針。概算事業費は4900億円。総貯水容量は1億3千万トンで、国内最大の流水型ダムとなる。(長妻昭明)