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野田知佑さんの訃報

 日本全国の川にダムが次々とつくられ、もうダムの適地は残されていないと言われるほどに川が本来の姿を失ってゆく中、豊かな筆致で川の楽しさを伝え続けた野田知佑さんの訃報が届きました。野田さんはダムや吉野川可動堰等の大型公共事業によるかけがえのない河川環境の破壊を告発する一方で、川で遊ぶ子供たちを応援する活動に力を入れました。徳島県・吉野川での「川の学校」をはじめとして、多くの若者たちが野田さんの魅力に引き寄せられて川に集い、川ガキたちを育ててきました。

 野田さんは当会発足のきっかけとなった「加藤登紀子と仲間たちが唄う 八ッ場いのちの輝き」のステージに登壇され、会の代表世話人のお一人として活動を支えてきてくださいました。謹んで哀悼の意を表します。

 関連記事を紹介します。

◆2022年3月30日 共同通信
https://nordot.app/881839846817775616?c=39546741839462401
ーカヌーイストの野田知佑さん死去 世界の川を旅したエッセーで人気ー

 カヌーイストで作家の野田知佑さんが27日、病気のため徳島県の病院で死去した。84歳。熊本県出身。葬儀は親族で行った。

 早稲田大卒業後、雑誌記者などを経て作家に。北米のユーコン川をはじめ世界各地の川をカヌーで旅し、その経験を軽妙につづったエッセーで人気を博した。旅に同行した愛犬「ガク」もファンに親しまれたほか、エッセイストの椎名誠さんとの交流でも知られた。

 徳島県の吉野川可動堰建設反対運動など、内外で環境保全運動に尽力。徳島に暮らし、吉野川で子どもたちを対象にした川遊び講座を続けた。

 「日本の川を旅する」で日本ノンフィクション賞新人賞を受賞。

◆2022年3月30日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tokushima/20220330/8020014029.html
ーカヌーイスト作家 野田知佑さん死去 徳島で「川の学校」活動ー

 国内外の川をカヌーで旅したエッセイなどで知られる、作家でカヌーイストの野田知佑さんが亡くなりました。84歳でした。
 
 野田さんは熊本県出身で、国内外の多くの川をカヌーで下り、その経験をもとに書いた『日本の川を旅する』で昭和57年にノンフィクションの新人賞を受賞しました。
 その後も、各地を旅して数多くの紀行エッセイを執筆し、交流があった作家・椎名誠さんの私小説で、国語の教科書にも採用された「岳物語」に登場する人物のモデルになったり、テレビのCMで愛犬とカヌーで旅をする姿が放映されたりしてアウトドアの先駆者として知られました。
 野田さんは、開発が進んでおらず自然がよく残った川を探し求める中で、日和佐町、現在の美波町に移住し、子どもたちに川遊びの楽しさや自然の大切さを伝える「川の学校」の校長として活動を続けました。
 野田さんの事務所は、約40年にわたって野田さんがエッセイを連載してきたアウトドア情報誌のホームページにコメントを発表しました。
 それによりますと、野田さんは今月27日に84歳で亡くなり、葬儀は新型コロナの感染状況から近親者のみで執り行ったということです。

 【ゆかりの徳島の人たちは】
 野田さんの死去を受け、活動をともにした阿南市の自然スクール「TOEC」代表の伊勢達郎さん(62)は、「野田さんは、人の評価とか競争とか比較とかそういうところでは絶対に生きない。自由に生きるとはどういうことか、教えてくれた」と振り返りました。
 そのうえで「こんな時代だからこそ、野田さんにいてほしかった。本当の豊かさとか、専門家に任せず、自分の頭で考えることの大切さ、自由に生きることを教えてほしかった」と追悼しました。

 また、野田さんが校長を務めた「川の学校」の卒業生、新居拓也さんは、野田さんの思いを受け継ぎたいと「川の学校」のスタッフをするなど活動を続けています。
 新居さんは、「野田さんは川というものは自分たちのもので、自分たちの力で守っていかないといけないということを伝えてくれたと思う。吉野川で野田さんに育てられた人は本当に感謝の気持ちしかないと思います」と話しました。

◆2022年3月31日 朝日新聞 
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15251530.html?pn=3
ー野田知佑さん死去 カヌーイスト・作家ー

 カヌーで旅をする「ツーリングカヌー」の先駆者で、作家の野田知佑(のだ・ともすけ)さんが27日、死去した。84歳だった。葬儀は30日に近親者で行った。

 1938年に北九州市で生まれ、少年時代に熊本県江田町(現・和水町)へ疎開。町内を流れる菊池川で遊んだことが川と触れあう原体験となった。

 63年に早稲田大学文学部を卒業後、アルバイトでためた金で欧州を放浪。このとき、キャンプ道具を積んで川下りするツーリングカヌーの楽しさを知った。

 70年にフリーライターになり、82年に「日本の川を旅する」で第9回日本ノンフィクション賞新人賞を受賞。北米のユーコン川、カナダのマッケンジー川など世界中の大河を旅するなど、日本のカヌーイストの第一人者として知られた。

 川辺川ダム(熊本県)や長良川河口堰(かこうぜき)(三重県)、吉野川可動堰(徳島県)の反対運動にもかかわり、2000年には徳島県に移住。川遊びが好きな子どもを育てる「川の学校」の校長も務めた。ほかの著書に「カヌー犬・ガク」など。チキンラーメン(日清食品)のCM出演でも知られる。