城原川ダムの整備は「流水型」か「貯水型」か?

 国土交通省が佐賀県に建設することになっている城原川ダムは、1971年に予備調査が開始されてからすでに半世紀以上の歳月が過ぎています。
 先月、その城原川ダムの水没範囲について、国土交通省が初めて地元住民に水没範囲を示したというニュースが流れましたが、ダム堤に穴をあける「流水型」にするか、通常のダムと同じ「貯水型」にするかがまだ決まっていないとのことです。

〈参考ページ〉〇「城原川ダム、計画から半世紀経て国交省が“水没範囲”明らかに」
       〇国土交通省九州地方整備局 筑後川国道河川事務所HPより「城原川ダムについて」
          >「流水型ダムの技術的検討結果」

 ダム堤に穴をあける「流水型」は、普段は川の水が流れるため、河川環境への負荷が「貯水型」より少ないとされます。水道用水等のために貯水するダムでは無理ですが、城原川ダムのように「洪水調節(治水)」のみであれば、洪水の時のみ貯水する「流水型」が可能です。
 しかし、長年のダム事業で犠牲になってきた水没地域の住民は、八ッ場ダム水没地域でもそうであったように、地域振興の切り札は「ダム湖観光」であると、ダム事業者から説明されてきましたから、ダム湖のないダムには反発があります。
 さらに「流水型」では、通常は空き地になっている貯水池の土地を利活用できず、「イノシシなどの運動場になっている。」という問題もあるということです。

 地元紙の関連記事を紹介します。

◆2022年4月20日 佐賀新聞
ー城原川ダム整備方式 知事「変更考えていない」 内川・神埼次期市長発言受け 水没地域の住民、意見交換要望ー

 神埼市脊振町に建設予定の城原川ダムの整備方式について、23日に神埼市長に就任する内川修治氏(69)が「流水型」から「貯水型」への変更を模索する考えを示した報道を受けて、山口祥義知事は19日、整備方式の変更について「考えていない」と否定的な見解を示した。水没地域の住民は会合を開き、早急に内川氏との意見交換の場を設けるよう市側に求めた。

 山口知事は同日の県議会の臨時議会後、取材に答えた。「水没される皆さんに寄り添ってずっと対応してきたので、そこが基本線だ。(整備方式の変更は)考えていない」と述べた。

 水没地域の住民らでつくる城原川ダム建対策協議会は同日、13人が集まって役員会を開き、今後の対応について話し合った。

 役員会は非公開で行われた。会合後、取材に応じた眞島修会長(84)は、地域がどれほど疲弊しているかを内川氏に視察してもらい、住民との意見交換会を早急に開くよう、市ダム対策課に要望したことを明らかにした。

 眞島会長は、内川氏の旧千代田町長や県議などの経歴に触れ、「ダムはある程度詳しいだろうが、再確認のために来てもらい、われわれの苦しみを直接聞いて」と率直な思いを吐露。「ためるダムに変わることを住民は心配している。(地元住民の)意見は一致しており、(変更反対を)強力に言っていく」と話した。

 内川氏は神埼市長選投開票翌日の18日、佐賀新聞などの取材に答え、脊振地域の活性化の観点からダムの整備方式は貯水型が望ましいとの考えを示した。住民の移転や生活再建は整備方式の変更とは分けて考え、先に移転を進めることで住民にも寄り添うとしている。(森田夏穂、栗林賢)

◆2022年4月20日 佐賀新聞
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/842240
ー城原川ダム「貯水型」へ変更模索 神埼市長に当選の内川氏意向ー

 神埼市脊振町に国直轄で建設予定の城原川ダムの整備方式について、17日投開票の神埼市長選で当選した内川修治氏(69)は、現行の「流水型」から「貯水型」への変更を模索する考えを明らかにした。ダム周辺の脊振地域の活性化の観点から貯水型が望ましいとし、変更が可能かどうかも含めて関係機関などと協議する意向を示した。水没地域の住民からは、移転など生活再建への影響を懸念する声が上がっている。

 18日、佐賀新聞社などの取材に対して答えた。内川氏は、国内の流水型ダムを例に挙げ「水がたまっていないので、イノシシなどの運動場になっている。将来像を描いた時に、やはり貯水型ダムの方が脊振を活性化しやすい」と指摘、「いろんな方に相談し、なんとか貯水型ダムに変更できないか(模索する)。ぜひ取り組みたい」と述べた。

 ダム計画は1971年に国が予備調査に着手し、県が2005年に「流水型ダム」としての整備を提案した。再検証の対象になるなど曲折を経て、18年に建設段階に移行。今年3月には国が地元住民に水没範囲を説明した。移転に関する今後の事業スケジュールは未定となっている。

 住民の生活再建について内川氏は「(整備方式変更の論議と)分けて考えている。移転は早めに、現行の予定でやっていただく」と説明した。

 水没地域の住民らでつくる城原川ダム建対策協議会の眞島修会長(84)は「皆さん高齢化していて、ダムの変更で移転時期が延びるのは待てない。50年以上苦しんできたことを理解していただき、最優先に移転をさせて」と訴える。(森田夏穂)