熊本県知事、ダム建設地・相良村で「流水型ダム」の説明会

 2年前の球磨川水害を機に蘇った川辺川ダム計画は、ダム堤に穴を開ける「流水型ダム」となる予定です。
 川辺川は球磨川の最大支流で、清流・球磨川における巨大ダム建設は、川辺川だけでなく球磨川の河川環境に致命的なダメージを与えることが懸念されています。
 ダムを推進する国土交通省は、洪水時以外は川の流れを遮らない「流水型ダム」とすることで、河川環境への影響を最小限にとどめることができると説明していますが、巨大な流水型ダムの影響は、国土交通省の説明ほど単純ではありません。
 川辺川ダムをめぐり、国土交通省に全面的に協力している蒲島知事は、先月は水没地を抱える五木村で説明会を開催、今月はダム建設地のある相良村で説明会を開きました。ダムによって一変する地域の住民に対して、ダム事業への協力を求めるための説明会ですが、ダム計画に反発する住民の声が相次いだようです。

〈参考ぺージ〉川辺川ダムを観光資源に、蒲島熊本県知事が五木村民に説明会
「川辺川の清流どう守るのか」流水型ダムに不安の声、相良村で説明会

◆2022年7月3日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/950407/
ー説明会で意見を述べる相良村の住民ー

 2020年の熊本豪雨から4日で2年を迎えるのを前に、熊本県は2日、球磨川支流川辺川に計画されている流水型ダムの建設予定地の相良村で、住民説明会を開き、蒲島郁夫知事が流水型ダムをはじめとする治水計画への理解を訴えた。住民からは、ダム建設による水質悪化を懸念する声が相次いだ。

 県が全村民を対象に、豪雨からの復興や治水策について直接説明するのは初めて。蒲島知事は冒頭あいさつで「命と清流を守るのが現在の民意」として、流水型ダム建設を容認することになった経緯を説明し「安全安心を守るために、ダムを選択肢から外すことはできない」と強調した。

 また、知事は治水策を進めるだけでなく、高台への宅地造成や避難路の整備など、村が計画する復興策について財政面などで支援していく考えを示した。

  国土交通省の調査で15年連続「水質日本一」に選ばれた川辺川には、アユ釣り客などが全国から訪れ、川の名前を冠した球磨焼酎の原料米も作られる。説明会の意見交換では、川辺川から生活の糧を得てきた1次産業関係者から、水質悪化への不安の声が上がった。

 「うまい米は、きれいな水がないと作れない」「全国に誇る尺アユへの影響は」。質問に対し、蒲島知事は「ダム建設後も清流が維持されることを、国や県、住民が一緒に検証する仕組みを作りたい」と述べた。

 参加したアユ漁師の井上則義さん(80)は「どうやって清流を守るのかはっきり示されず、不安は解消されなかった」と語った。(中村太郎)

◆2022年7月3日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/712089
ー「相良村の振興後押し」と知事 ダム建設で住民説明会ー

 国土交通省が相良村四浦の川辺川に計画している流水型ダム建設に関し、県は2日、同村で住民説明会を開いた。蒲島郁夫知事は、2020年7月の熊本豪雨を受けてダム建設に方針転換したことに理解を求めた上で、「県庁内の支援体制を整え、村の振興を後押しする」と決意を示した。

 県は6月上旬、五木村でも住民説明会を開き、ダムで旧中心部が水没する同村の新たな振興計画の概要案を示している。この日、相良村に対しては、被災後に村が策定した復興むらづくり計画を支援するほか、村の要望を踏まえた治水対策や道路整備を推進すると説明した。
 村の復興むらづくり計画は、安全な宅地造成や避難地・避難路、川辺川沿いの親水施設、木造仮設住宅を活用したコミュニティー施設の整備などを盛り込んでいる。
 蒲島知事は「村がやりたいと思っている取り組みがそろっており、財政面や技術面で後押ししたい」と強調。田嶋徹副知事をトップとする実務チームを庁内につくると表明した。

 蒲島知事は08年に旧川辺川ダム計画を白紙撤回したが、熊本豪雨を受けて「命と清流を守る」ために流水型ダムが必要と判断した経緯を説明。これに対し住民からは「地元はダムを望んでいない」「ダムで清流は守れない」と反対を訴える声の一方、「また災害が起きる。命を守るダムなら早く進めてほしい」など賛成意見も出た。

 吉松啓一村長は「流水型ダムの完成には10年以上かかる。それまでに取り組める災害対策を進めてほしい」と県に要望した。
 説明会は村総合体育館であり、村民122人が参加した。(中村勝洋、元村彩)

◆2022年7月3日 テレビ熊本
https://www.tku.co.jp/news/?news_id=20220703-00000002
ー流水型ダムめぐり建設予定地の相良村で説明会 住民から賛否の意見【熊本】ー

球磨川の支流・川辺川に建設が計画されている流水型ダムをめぐり、建設予定地の相良村で2日、住民説明会が開かれました。

説明会で蒲島知事は川辺川を生かした拠点整備など相良村の振興の積極的支援のため、県庁内に田嶋副知事をトップとする新たな態勢を構築する考えを示しました。

住民からは「1日も早くダムを完成させてほしい」「清流を後世に残してほしい」「ダム以外の治水対策を進めてほしい」など様々な声があがりました。

終了後、蒲島知事は「流水型ダムを含む緑の流域治水に多くの住民が理解を示してくれていると感じた。今後も丁寧かつ慎重に流域住民への説明を続けていかなければならない」と話しました。